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<脱線>エディットするため、今回はキャンプ場を選んだという話。

編集の仕事をしつつ、突然キャンプ場をほぼDIYでつくりはじめた橋本です。

まず、キャンプ場開設計画の現状ご報告。

3月後半にウッドデッキを仕上げた(と思った)ものの、標高500メートルという環境では、日射がきつい日もあるし、風も雨もある。当然劣化が早くなる→それって安全? という気持ちになり、日帰りでウッドデッキの天板をもう一層張りました。

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板の上に防腐剤を2層塗ったのですが、もともとクリアで塗るはずだったのに、2層目用に買っていた缶はブラウンでした・・・。
こういう凡ミス、たまにやります。

この週末に職人さんたちがバイオトイレ(写真のトレーラーハウスの上奥に見えている黒い物体がバイオトイレのタンクです)の小屋をつくり、給水の整備、風呂の土台づくりに入ります。
私はファイヤーピットづくり、調理スペースの整地、トレーラーハウス内の補修(なんせ60年前のものなので)、農園入り口の看板製作、です。

並行して予約サイトの制作チェック、お客様用のパンフレット制作も!

オープンまであと1か月もないので、間に合うのか?というドキドキの真っ只中にいることだけは、間違いありません。


目的と目標と手段の話。

さて、今日の本題です。

キャンプをするようになってかれこれ30年。ソロキャン、ファミキャン、クッキングキャン、そんなことをやってきました。
だから「キャンプが好きだから、いよいよつくるんですね」なんて言われることもありますが、実は、そうではありません。

キャンプ好きである前に、僕は編集を生業とする者であり、プロデューサーになることもあるしディレクターとして現場に入ることもあります。自分では「生み出す側の仕事」を手にしているのだと常々考えています。

編集という仕事は、対象者とエンドユーザーとを結ぶ「だけ」の立場です。雑誌や書籍をつくってヒットを飛ばす、人気媒体の編集人になる、とか、花形的なポジションもありますが、根本は「だけ」の立場。ここに全身全霊をかける価値があり、それを追っていると自負しています。決して、キャリアを積み上げ、それを誇るのが編集者ではありません。
もちろん、その道を選ぶ人もいるし、それは個人の自由だと思いますが。

仕事という大海原を泳いでいると、事業を立ち上げたりプロジェクトを任されたり、いろいろな「つくる」を経験しますよね。
その時に誰しも考えるのは「目的、目標、手段」ではないでしょうか。
僕が生業としている編集はこの3つのうちの「手段」であり、読者やエンドユーザーに、何かをきちんと届けることが「目標」。そうして、たとえば雑誌として情報を届けるなら「読者が、暮らしにちょっとでもプラスになったと思ってもらえること、またそう思って行動すること」が最終的な「目的」です。
目的を遂行するためにはたくさんの手段があるわけで、そのために編集を仕事とする者は、とにかくいろんなことにふれています(僕だけでなくおおくが、そのはずです)。
だから、「目を開けているときはすべて、何かを吸収している時間だ」と思っています。
そうして、来るべきアウトプットのタイミングに、出し惜しみしないようにする。どれだけ引き出しを持ち、そこに鍵を掛けないでおくか、ですね。

これって、編集という仕事だからということではなく、どんな仕事でも、同じなのだと思います。
ちなみに引き出しとは、目線とも言います。
この目線の持ち方が、編集という仕事をする者の、唯一の特異性かもしれません。これは人によって異なるので、あくまで僕の場合ですが、善悪が分かれるニュースを見ても街を歩いていて何かを見かけても、そのまま受け入れません。一度自分の中でかみ砕いて、ナナメから見たり横から見たり、いろいろな角度からひとつのこと、ものを見ます。
そうすると、何かしらの〝解〟が見えてきます。


キャンプ場開設における目的、目標、手段。

では、そんな私がなぜキャンプ場をつくろうと思ったのか?

発端は、近年話題のグランピングに疑問を持ったから、です。
多くを語る口は持っていませんが、もはやグランピングではなくアウトドアホテルだよね、と。

しかし、それだけでは腰を上げなかったと思います。動こうと決意した、
理由のひとつは、みかんと農薬のことを知ったから。
もうひとつは、省農薬という農業を通して伝えたい想いを持つ農園主に出会い、心が動かされたから。その後自分でたくさん調べて、それでも農園主の思いの実現をお手伝いしたいと思えたから。
そして、この農園の中にキャンプ場を開設することが、僕の理想とするキャンプの形に近かったから。

キャンプ場とは、地域の自然や食、そして生産者と、都会に暮らす人や若い世代とを「つなぐ場」だと思います。これって、編集という立場に似ています。そこで、一気に計画を立てました。

目的/省農薬農園で、食の安全について考える人を増やすこと。今回のフィールドとなる「下津きょうだいみかん山」のファンを増やすこと。

目標/そのために、一人でも多くの人を農園に呼ぶこと。

手段/キャンプ場をつくることで、農園に訪れてもらいやすくすること。

で、手段にはいろいろな仕掛けが必要だと考えました。
快適は最低限にし、自分で楽しみ方を見つけてもらえる場にする。工夫して楽しむことは、きっと防災の観点からも重要なことだと思います。だから薪で沸かす風呂をつくります。
また、水って大切だね、土壌を汚すことは結局自分たちの胃袋に還ってくるのだから、気をつけなきゃと感じてもらうため、トイレは一般的な水洗トイレではなく、水洗のバイオトイレを導入します。

↑ここがエディット、です。
デザインすることと似ていますが、キャンプ場における編集とは、行動にまで落とし込んでいく作業です。
ただ、いろいろウンチクがありすぎるのも、利用者としては疲れてしまいますね。究極は、この自然豊かな場でのんびりしてほしい。
そこで、広いウッドデッキを、標高500メートルから海まで見える場所に設けました。
もちろん、内容を決めるまでには地元の農業委員会に相談して、農地ではない場所を明確にしていく、県の建築課に相談して、事業内容の法律的な部分をクリアにする、といった作業もふまえます。

あとは、告知ですね。オープンしてから広めていたのでは運営を軌道に乗せるのが遅くなりそうなので、クラウドファンディングに挑戦しました。まぁ、予算が足りないという懐事情もあってのことですがw。

ひとつ前の記事で、クラファンについて書いています。ご支援待っています♪

特別なことは、別にないのです。

風変わりな仕事の人が一風変わった挑戦をしているように捉えられがちですが、僕は、誰にでもできることだと思います。

やりたいことがある、そのために実現可能な方法を考える、考えたら動き方を計画する、不得手な部分は外部にフォローしてもらう、などなど、道はいくらでもあります。
要は自分の心が折れずに進めるか、そのための肉体的・精神的なしんどさを大変だと思わずにいられるか、かなぁ。

お金と時間があって、いろいろなことができるのは当たり前で、お金が無くて、時間が限られていても、自分の心と目線次第で、結構なんとかなるもんです。定めた目標から絶対に目をそらさないこと。そこさえ守れれば。
コロナ禍の影響で会社の仕事の9割がなくなりました。それでも、まだまだ進めます。それは、「思い」があるから、そのために工夫する「目線」を失わないように気をつけているから。

壁やハードルは、進むからこそ目の前に生まれるものです。
でも、それを乗り越えた先の景色が、楽しみなんだよなぁ。



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