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復活は祝福されるべきか?『仮面ライダーオーズ 復活のコアメダル』

リメイク、リマスター、リファイン。気づけば子供の頃に触れた作品が色々な名目で復活されている。だがこれはリメイクでもリファインでもなく、新作。10年越しの新作にして完結編と銘打たれた作品。『仮面ライダーオーズ 復活のコアメダル』。

正直、映画の告知を見た時は期待半分不安半分。なにせあのアンクとの別れからどう復活するのか、見当もつかない。映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドWithレジェンドライダー』では一時的ながらアンクが復活、映司との再会を果たした。これでも十分すぎる実質続編だっただけに、今回の映画にどれだけのドラマが待っているのか、素人が考えられる範疇を超えている。もしかしたら平ジェネを超えるものが出てくるかもしれない。でも、そうでないかもしれない。そんな心境で映画館へ向かった。


結論から言うと、「仮面ライダーオーズという物語の完結において自然な流れの作品」であると同時に「私の欲望を叶えてくれなかった作品」でもあった。

映司の願いは叶った

アンクを生き返らせる。手に届く範囲の命を全て救う。火野映司のそれらの願いは叶った。自らの命を引き換えにして。自分の命を躊躇なく投げ出す姿勢は危険視されていたが、ついにこの日がやってきてしまった。仮面ライダーオーズ、火野映司は復活した800年前の王の攻撃から少女を守った時に死んだ。それは映画の早い段階で判明し、その際のわずかな願いがアンクのコアメダルを復活させていた。映画のラストでは自らの欲望を叶え満足げな顔で逝く映司とともに終幕する。

公式の欲望と一視聴者の欲望

やっぱさ~~~~~~~ラストはなんだかんだ言って、ハッピーエンドが一番良いじゃん?

確かに、納得はいく。火野映司とアンクはどうなるのか、本編から考えたら「二人は永遠に会うことは無い」が美しい。再び会うことの無い運命でも、一筋の望みに賭けて希望を探し続ける最終回の映司の姿に心打たれたワケだし。

仮面ライダーの使命とか、ヒーローのあるべき姿とか、そういうのに縛られずに「火野映司の欲望の果てにあるもの」を描いたのはやはり公式スタッフ陣がオーズを愛しているからなのだと思う。オーズは欲望がテーマの作品。公式がこの作品の終わりはこう、と出したのなら、その欲望自体には(自分が受け入れられるかは置いといて)「ハッピーバースデー!」と祝福するほかない。

それでもやはり一視聴者としては、運命を超える姿を見たかった。絶望的な運命を覆すヒーロー、仮面ライダーの姿を見たかった。最後は映司とアンクが肩を並べて未来へ歩き出す…そんなシーンを見たかった。それが映画を観た率直な想いでした。

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続編を、それも10年越しに作る難しさを感じた。ストーリーで評価されている作品ならなおさら。年月とともに積もり積もるファンの想いと製作側の生みの苦しみ。ここをすり合わせるのは容易ではないことは、エヴァンゲリオンでも味わった。だからこの作品が世に出たことをまずは祝福したい。


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