北風と太陽

こんなことを言うと
「そんなつれないことを言いなさんな」
と言われてしまいそうだけれど、
「人は助け合いが大事」とはいえ、
私は基本的に自分の荷物は
自分のものだと思っている。

悲しみや寂しさなどは特にそうだ。
自分が悲しいからといって、
その悲しみそのままを誰かに背負わせるのは
ちょっと違うんじゃないの?
という気がするのである。

そして、賢い人は匂いを嗅ぎ分けて
自然とそういう人とは距離を置いているし、
近くにいても、持っているふりをして
持っていない。

喜んで悲しみを背負う人は、
いつしかその人の悲しみを食い物にして
その人に不幸が訪れるのを
今か今かと待っている。

だから、不幸に自分の身を
任せないようにするためにも、
荷物は自分で持たねばならないのである。

でも、だ。

実はここには面白いことがある。
自分の荷物は自分のものである、
と自覚すると、不思議とその荷物を
そっと支えてくれる人が現れるのである。

その人たちはとてもスマートで、
荷物を支えていることをほとんど感じさせず、
ただただ面白い話をしてくれたり、
他愛のない話に付き合ってくれたり、
日常とほとんど変わらないでいてくれる。

そして、それは大抵賢い人だ。

ねえ、
どうしても行きたい場所にたどり着くには
回り道のようなルートが、
実は一番の近道だったりするのかもね。

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