打順。

最近、「打順」という言葉をよく使う。
主に、私の頭の中で頻出する。
恥ずかしいので、
口をついて出てくることは少ない。

もっとも、よく使うとはいっても、
野球を始めたというのではない。

使うのは、話について考える時である。

誰かに意図をうまく伝えようとしたり、
あるいは誰かから上手に言葉を引き出したり
したい時は、この「打順」が重要な鍵を握る。

最初に確実なやつを置いて、
次も手堅いやつを置いて、
いよいよだぞ、というやつを置いて、
ようやく、ここぞというやつが出てきて、
カキーン!と心地よいヒットが放たれるのだ。
沸き立つ観客、上がる歓声。
これほどまでに気持ちの良いものはない。

最初からホームラン打者を置いたとして、
ホームに戻ってこれるのは1人だけだ。
出だしは好調で「おおっ!」という声が
聞こえてきそうだが、その後が続かないと
見ている側はやがて退屈してしまう。
「なあんだ、最初だけか」という声は
想像するのにたやすい。

だから、
このホームランまでのステップを組むのが
実はとてもとても大切なのである。

回りくどいなあ、と感じるかもしれないが、
よーしよし、と思える最初の一投を用意して、
観客の注意が向けられてくるのを感じながら、
来る4番までを打っていく。

そして、満塁になった時、
文字通り、満を持してカキーン!である。
各塁では期待に輝く瞳がこちらを見据えており、
観客もまたその瞬間を
今か今かと心待ちにしている。
そこに心地よいヒットを放ってやるのである。
沸き起こる歓声は、きっと
最初にホームランを打つより何倍も大きく、
会場は一体感に包まれることとなる。

これは何も野球に限ったことでは
ないのではと思うようになったのである。
急がば回れ、というわけではないが、
いわゆる外堀を埋めることは、
案外大切なことなのである。


と、まあ、
ここまで書いておきながら、
野球には詳しくないのですけれどね。
だから頭の中だけでのホットワードなんです。

きっと野球好きか、あるいは
少しでも知っている方にとっては
バレバレだったかもしれませんね。

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