18.2.14.

学生時代にお世話になった方に会いに行った。
人の伝伝で、口にしたことが
実現したような結果だった。

お会いしたのは約半年ぶりだったけれど、
その恩人は私の顔をまじまじと見て、
言葉を失っていたようだった。

「誰? と思っているでしょう?!」

髪型を変えたばかりだった私がそう茶化すと、恩人は

「ちがうよ!」

と即座に否定を口にした。
言葉を失っていたのが嘘のような速さの
返答であったが、その速さは普段のその人の
調子に戻ったことを意味していた。

「ずいぶん、顔つきがしっかりしたなあと思ってね」

目を丸くしたまま続ける。
本人はというと自身の顔は鏡がないと
見えないし、かといって年中眺めているので
ピンとくるわけでもない。

「いい環境で働いているということだねえ」

噛みしめるように言うその言葉は、なにかを
数字よりも深く説明していたように思う。

「まあ、その反面、寂しくも…ということはあるけれどね」

そう苦笑する恩人の、
心のままに表現されていく様は
私が好きな彼の一面でもあるのだ。

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