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【企業情報】Panasonic/浮上に苦しむ巨艦

経営の神様 松下幸之助で有名なPanasonic。日本初の数々の電化製品で有名です。しかし、2010年前後から経営危機が訪れ、2012年に-7721億円、13年に-7542億円の営業赤字を記録し、主力事業であった13年にプラズマディスプレイ、16年に液晶ディスプレイ事業から相次いで撤退し、近年も半導体事業、住宅事業や車載電池事業の株式を売却した上で、共同経営に切り替えるなど行い、構造改革に取り組んでいます。

1.Panasonicの概要

その一方で、利益を稼ぐ力は回復せず、柱となる事業も未だに見つかっていません。プロ経営者として著名なパナソニックOBの樋口氏を出戻りで迎えるなど、経営陣のテコ入れも図っていますが、業績不振に苦しんでいます。

2020年度の業績見通しは売上)77,000億円、営業利益)3,000億円、営業利益率)3.8%に留まり、非常に物足りない数字になっています。2012年に社長に就任した津賀氏は赤字事業からの完全撤退を掲げ、継続的な構造改革に執念を見せますが、新たな稼ぎ頭の萌芽は今のところ見当たりません。従業員の痛みを伴う人事制度の刷新にも取り組み、やるべき事には手を付けているように見えますが、成果に結びついていないのが現状です。

2.Panasonicの給与

そんなパナソニックの年収ですが一般的には以下の通りになります。

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人事制度の刷新により住宅手当は本籍地より80km圏外でないと支給されないなど、福利厚生面に関しては大手企業の中ではやや劣るのではないでしょうか。また、30歳前後に昇進する主務になるまでは基本給は抑えめになっています。

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30歳を超えてくると、基本給が38万円スタートの主務に昇格し、基本給もぐっと上がり年収も700万に到達する傾向にあるようです。残業代も基本給とは別に支給されるため、残業が多い方ほど収入は増える傾向にありそうです。

3.Panasonicについて

2016年前後まではPanasonic Homesとテスラと協業していた車載電池事業を事業の柱に据えるため、経営資源を集中させることを明言していましたが、Panasonic Homesは事業規模が日本国内でも小さく限界が見え、また車載電池事業も設備投資費用が重くのしかかっているため、(テスラ向けの電池事業を除き)、事業売却に踏み切っています。

2019年の中期経営計画ではソリューションビジネスを基幹事業に据え、車載電池事業を再挑戦事業と位置づけましたが、ソリューションビジネスの姿形が判然とせず、非常に曖昧に見えます。モノづくりプラスαをコンサルティングで補い付加価値にする戦略を考えているのは分かりますが、筆者としては、例えば証明器具を活用した「空間ソリューション」が大きなポテンシャルを秘めているようには思いづらく、手詰まり状態ではないかと感じています。恐らく、Panasonicの強みとは何か模索をしている最中なのでしょう。

創業者である松下幸之助 氏は、将来を予測することよりも、将来のトレンドを自社で作り出し、社会を牽引する気概が必要であると説いていますが、今のPanasonicは、事業整理に追われており未来を創造するイメージがないのではないでしょうか。

また、現在保有している事業単独で競争力が無いのであれば、シナジーを生む可能性がある企業を買収するのも一つの選択肢と筆者は考えます。

4.総括

復活に向けて挑戦中のPanasonic。人事制度の刷新で実力主義色を強めるなど、成長に向けて挑戦を続けています。過去の負の遺産を整理し、成長路線に戻ることができるのか。経営手腕が問われていると筆者は思います。

また、構造改革を終えた後にどのような経営戦略を描くのか興味は尽きません。伝統と革新の両輪を回しているPanasonic。今後の飛躍に期待です。

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