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モノからコトへ(4) 〜 ラーメン屋のサブスクは儲かるのか?

 ラーメン屋の原価構造こそサブスクビジネスを成立させるキモだと私は言いました。今回はその原価構造がどうサブスクに影響を与えるかについて解説をしたいと思います。

 まずラーメン屋の原価構造を分解してみます。Noteでラーメン屋の開業されている「ラーメン4.0@開業日記」さんがいらっしゃいましたので引用させていただきます。

 食材費30%、人件費30%、家賃10%、営業利益10%とのことです。厳密にいうと開業時の設備購入の固定資産や内装外装の工事費等の減価償却費を加味すると営業利益の10%が限りなくゼロになるくらいでしょうか。この中で食材費は売上におおむね正比例するため人件費と家賃を下げていく方向性で検討すると、売上を上げることこそ収益性を高めることになります(食材費を切りつめて品質を落としつつ利益率を上げることも検討できますが、今回は対象外とします)。売上を上げるにはやはりお客様の回転率を挙げて1日に入る顧客数を増やすこと単価を上げることが考えられます。

 ラーメン屋のサブスクは顧客の来店頻度を増やします。一方で心配なのは原価割れしないかということです。具体的な例として「ばんからラーメンパスポート」で収益性分析をしてみたいと思います。

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 ばんからラーメンパスポートは1ヶ月6,800円で1日1杯までラーメンが食べられるサブスクサービスである。ばんからラーメン(770円)つけ麺(850円)とんこつ(800円)の3種類のラーメンが定額で食べ放題とのこと。 今回はシミュレーションとして一番値段の高いつけ麺850円で計算をします。仮に30%が食材費とすると原価は255円になります。6,800円を255円で割ることで、つまり26.67回以上つけ麺を食べると原価割れを起こします。週6以上ラーメンを食べれば原価回収できるということでしょうか。身体を壊しますね。言い換えると仮に毎日本当にラーメンを食べたとしても最大でもせいぜい800円程度の赤字に過ぎないということです。

 むしろ「大前提としてサブスクというのは、何度も何度も買ってくれるいわゆる最上級のお客様に向けたサービス」という日本サブスクビジネス振興会の佐川理事長の言葉を思い出していただきたいのですが、ラーメン好きの人からどう収益を貢献していただけるかを検証してみます。

 仮に週3ペースでラーメンを食べている人がいるとします。週1回はバンカラ、それいがの2回は一風堂など別のお店としましょう。そのお客様がパスポートを購入することで週3来店することになるとします。週1の場合は3,400円、パスポートの週3の場合は6,800円と売上は倍増します。粗利でいうと週1の場合は2,380円でパスポートの週3の場合は3,740円と利益が増加します。

 ということでラーメン好きのロイヤルカスタマーをロックインする手段としてサブスクが有効で、かつ利益も上げることがわかりました(もちろん個々の事情は異なって、うちは儲からないんだというお店もあると思いますが、その際はご容赦ください)。 

 次は自動車のサブスクに再度戻って儲かるモデル案を検討してみたいと思います。

 (つづく) 

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