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【24/04/03】外資系法人の銀行口座開設

今週は、関西支部長・認定専門家(会社設立手続き)
井上 佐知子によるコラムをお届けします。
https://glocal-solutions.org/expert/expert-1667/

海外の企業の日本での銀行開設のお話しです。国際的な取引を行う日本企業にとっても知っておくべき内容ではないでしょうか?

是非ご一読ください。

外国人や外国企業が出資して設立した日本法人(ここでは「外資系法人」と記載します)の銀行口座開設は以前から難しかったのですが、当職の体感として昨年の秋ごろから更に厳しくなってきています。

当職が面談につきそい、会社設立の経緯などを説明したり、付き合いがある銀行にお願いしても開設を断られるケースが多くなってきました。

銀行側は拒否の理由を一切開示しないことになっており、そのために対策も難しい状況が続いています。

JETROや地方自治体が支援するような企業や業態であれば、事前に行政側の審査が済んでいるので、銀行口座開設で断わられるケースはほとんどありませんが、逆に言うとこのような支援を受けられない「個人が出資しての設立」や「一般貿易業など地方自治体の支援する事業以外の事業」では銀行口座開設が大きなハードルとなっているのです。

日本でビジネスをしたいと在留資格まで取って日本に来てくれる人たちはビジネスに対して真剣ですし、経済界活性化にもプラスになることですのでとても残念なことです。

断片的ながら、銀行がどのような点を気にしているかわかったことがあります。それはなにも外資系法人に限ったことではなく、日本のスタートアップ企業にも関係することですので心にとめておいていただければと思います。

銀行というか金融庁が恐れているのは「マネーロンダリング」と」「銀行口座の売買」です。
ということはそのいずれにも該当しないということをいかにアピールできるかというのが大切ではないかと思います。
 
1,どんな事業であるのか具体的にわかること(登記簿上の事業目的、ウェ
ブサイトやパンフレットが重要。日本語サイトの日本語レベルが低いな
どは✕)
2, ビジネスの拠点がきちんとあるかどうか(現地に見に行くようです)
3,許認可が必要なビジネスなら許認可を取得しているか
4,実際に取引先があるかどうか(納品書や取引のわかるような資料)
5,実質的支配者のバックグラウンド(素性や経歴)
6,日本語ができるスタッフがいるかどうか
7,日本に住所があるかどうか
8,登記簿上の事務所とビジネスの拠点が同じであること
9,登記簿上の住所と在留カード上の住所が同じであること
 
上記すべてをクリアしていても拒否されるケースもあり、ほかにもいろいろチェック項目があるようです。

会社設立登記を済ませても日本に口座ができなければビジネスは難しいので、会社設立の相談を受けたときから口座開設に向けてのアドバイスもしておりますがチェック項目がすべて開示されていない以上アドバイスにも限界があるという状況です。

銀行側としてはあえて火中の栗を拾いたくないということで、消極的になるのもわかりますが、現在の状況はある意味異常ではないでしょうか。

「鎖国」ということばが私の頭の中をチラッとよぎります。

慎重であることは必要なことですが、本当にビジネスをやろうとしている外国人たちを応援する仕組みがもっと発達してもいいのではないかと思うところです。
 
司法書士事務所神戸リーガルパートナーズは司法書士・行政書士が在籍する事務所で国際的な法律手続き、相続・事業承継に強い事務所です。

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