見出し画像

スキルを大安売りした私が喫茶店のママになった話。

「自分のスキルは無料で売らない方がいいって思うけど、自分はやっちゃう。」

企画メシ第二回のゲストに来てくださった放送作家、大井洋一さんの言葉だ。
後に、この言葉が私の運命を変えることになる。



思えば私の人生は、スキルの安売りの連続だったように思う。

悩みを相談されれば、その人とどんな関係だろうと朝まで付き合うし。
アドバイスを必要とされれば、思いつく限りのアイデアを出す。
具合の悪い人がいれば、食べやすい料理をダッシュで届ける。

たとえその反動で、自分が疲れ切ってボロボロになったとしても
そこにお金が発生しなかったとしても
自分ができる限りのことで誰かが幸せになれるなら、こんなに嬉しいことはない。
そんなことを本気で考えてる人間だったように思う。

そんな私を友人は「血だらけノーガード」と呼んだ。
自分が傷だらけなことに全然気づいてなくて、
ボロボロなのにニコニコ笑ってる。
当時の自分は、その意味がよく分からなかった。

やがて、血だらけノーガード時代は終わりを迎えることになる。
「尽くされるのが嫌な人もいる」と気づいたのだ。

あの雷に打たれたような衝撃は今でも忘れられない。
今考えれば「そりゃ嫌いな人もいるやろ」の一言で済む話だが、
当時の自分には大問題だった。

「尽くされるの嫌な人っているの!?」
「何のためにずっと頑張ってきたんだろう…」
「これからどうやって生きていけばいいんだ…」

今までの人生が全否定されたような気持ちになって、
生きる意味が分からなくなった。
その人も、そんなつもりで言ったんじゃなかろうに。
私はすっかり自分を見失ってしまった。

そこから時間をかけて、少しずつ自分を取り戻していった。その結果…
血だらけノーガードは、カサブタちょいガードに進化することができた。
自分を大切にすることを覚えたのだ。

とことん他人軸だった人間が、自分軸へと傾く。
それだけで世界の色がこんなにも変わって見えるんだ!

「もうスキルの安売りはしないぞ!自分のことも大切にするんだ!」
胸を張れるようにもなった。
そんなある日、大井さんの、あの言葉に出逢うことになる。

「自分のスキルは無料で売らない方がいいって思うけど、自分はやっちゃう。」

え?やっちゃうの!?
やっちゃって大丈夫なの??

スキル大安売りの、他人軸だった日々を思い出す。
平静を装っていたが、頭の中はかなり混乱していた。
大井さんのお話の中に出てきたキーワード

・圧倒的に場数が増える
・敵が少ないところで勝負できる
・全員にハマる
・時代の流れを知る

お話にあった、この言葉たち。
これって、「スキルの安売りによって得られたもの」なんじゃないかな。

血だらけノーガードの私。
その時は気づけなかったけど、
当時の私が得られたものも、きっと沢山あったんだ。

昔の自分があって、今の自分がある。
他の誰かのためにとことん頑張れた自分も誇りに思うし
自分を大切にしながらも、他の誰かを大切にできる今の自分も好きだ。

あぁ、私は私でよかったんだ。大井さんの言葉で気づくことができた。
これからは無理のない範囲で、自分に出来ることを誰かに還元しながら、
自分自身のことも大切にしていきたい。


自分を認められた結果、ひとつの大きな夢が出来た。
それは、みんなの居場所を作ること。

「ここへ帰ってくるとホッとするなぁ。」
「また明日から頑張ろうって思えるよ。」
そんな実家のような場所を作りたい。

それってどうやったら叶うんだろう?
漠然とした夢だったけど、とにかく沢山の人に話してみた。

「喫茶店やればいいんじゃないですか?向いてそう」

「いいじゃん!じゃあ私は喫茶店の情報集めるね!」

「料理はこの人に任せたら?飲み物はこの人が詳しいよ!」

「相性良さそうな人がいるから紹介しますね!」


夢の話を初めてしたのが二日前。
人が人を呼んで、縁が縁を繋いでいった。
すごい速さだった。物事ってこんなに早く進むものなの!?

そして二日後の本日。
私は本当に、カフェで働くことになった。

住宅街にある小さなカフェ。
好きな時に行って、好きな時に働けばいい。
お客さんがいない時間は、持ち込んだ別の仕事をしてもオッケー。
ボランティアなので無給。
でも、ここには色んな人が集まってくる。その出逢いが新しい仕事に繋がっていく。
そんな不思議な場所。

元々接客コンテストに出ていた私。接客は大得意。
無給で働くなんて、きっとスキルのバーゲンセールだ。
でもなんだろう…このワクワクした気持ち!
たった二日で、こんなに大きな夢が叶うなんて!

私はこれから、ここに集まる人たちと、色んなものを作ってみたいと思ってる。
誰かと繋がることで生み出される、新しい何かだったり。
誰かと誰かの縁を繋いで、その二人に合った企画を提案してみたり。
私が今まで歩んできた道のり、経験が全部活かせる気がして。
それが今は楽しみで仕方がない。

もう少し落ち着いたら、ぜひみんなにも遊びに来てほしい。
このワクワクを共有できたら、きっと楽しい!
みんなにとっても、居心地の良い場所になれたら嬉しいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?