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株主や市場とシンクロし グローバルな挑戦を:Galapagos Supporters Book⑧

シリーズAで累計13億円の資金を調達したAIR Designのガラパゴス。
そこには株主や顧問、社外取締役という形でガラパゴスを支える、たくさんの支援者の存在があります。
ガラパゴス・サポーターズブックでは、そのような外部の支援者と、ガラパゴス代表・中平の対談を通して、ガラパゴスとAIR Designの魅力をお伝えしていきます。

第八弾は前回のプレシリーズAからガラパゴスに株主としてご参画いただいた、Globe Advisors Venturesの秋山さんです。

秋山さんプロフィール (1)

■秋山友紀 プロフィール
Globe Advisors Ventures | パートナー
早稲田大学卒業後、UBS証券会社へ入社。その後ヘッジファンドのSpeedwell/ Nezu Asia Capital Managementで、アジア株と日本株のアナリスト・ファンドマネージャーとして、企業分析・株式運用に携わる。2011年からシンガポール、2013年から香港にて勤務。
2017年、東京に戻りMillennium Capital Management Asia Limitedに入社。引き続き日本株のポートフォリオマネージャー。2019年に京都へ拠点を移し、株式運用を卒業。京都と東京を行き来しながら、スタートアップへの投資を行う。

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上場の適齢期を見据えたサポート役

ーーまずは自己紹介をお願いします。

秋山:2007年に新卒でUBS証券というスイス系の証券会社に入り、翌2008年にヘッジファンドのSpeedwell/ Nezuに移りました。11年の間に東京、シンガポール、香港で勤務し、日本株・アジア株(上場株)の運用業務を担当。2017年に日本に戻ってからはMillennium Capital Management(米大手ヘッジファンド)で投資運用に携わっていました。

中平:スタートアップへの出資をするようになったのは?

秋山:2019年の11月です。当時、もう少し長い目線で経営に近い立場から投資をしたいと思ってはいたんです。ちょうど結婚をしてベースを京都に移すことになったタイミングで、UBS証券時代のメンターで暁翔(アキト)キャピタル(国内有数のヘッジファンド)の創業者であり、グローブアドバイザーズベンチャーズの出資者でもある山口さんに「ベンチャー投資やらない?」と誘ってもらって。まさしく希望に沿う仕事でしたし、京都でも東京でも自由にやっていいよと言ってくださいました。

中平:時代に先駆けたリモートワーカーですよね。

秋山:そうなんです。コロナ前からですね。

中平:VC業界へ2019年11月に入られて、最初にコンタクトとらせてもらったのは...、2020年の頭くらい?

秋山:いえ、予定を見返してみたら、なんと2019年11月でした!

中平:マジですか(笑)じゃあキャピタリストになりたてホヤホヤの時ですね。

秋山:そうです。一度お話を伺いたいと思っていましたので、すぐに面談をお願いしましたね。

中平:正直、最初はあまり僕らの会社に興味ないのかな、って思ったんですよ。動じないというか、冷静に対応されている印象があったので。

秋山:そうなんですね(笑)でも私は一発目のミーティングで投資するとほぼ決めていましたよ。当時まだAIR Designもローンチ直後で解像度も高くなかったし、顧客も限られていたんですが、とにかく中平さんが強気で。

中平:(笑)

秋山:やっぱり新しいサービスを作るには絶対的な自信が必要だから。市場や需要もわかりやすいしデザイン業界のアナログさは知っていたので、AIR Designの世界線が実現できたら面白いと思ったし、大きくなる未来が予想できました。

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中平:なるほど。すごく印象に残ってるんですが、初めてお会いした直後にお客様向けの勉強会をやると伝えたら、ひょっこり来てくれましたよね。

秋山:VCが行くのもどうかと思いつつ、乗り込んじゃいました。自分もデザインの専門家ではないし事業を近くでやっているわけではないから、プロダクトやサービスへの理解はそこまで深くない認識があって。プロダクトの説明や、お客さんとなり得る方達の反応を肌で感じることが、投資判断する上で参考になると考えていました。

中平:嬉しかったですよ。それが年末年始あたりで、最終的には2月くらいに出資を最終決定してくださいましたね。

秋山:私にとって一社目の案件だったので、心は決めていたものの「こんな最初から投資決めちゃっていいのかな?」とも思っていたんです。

中平:ファーストインプレッションで、いきなりですもんね(笑)

秋山:そのあたりの土地勘があまりなかったので、念入りに質問や確認をしていました。私たちは出資者を含めても少人数で運営しているので、最終決定は全員でするんです。中平さんには決定前の打ち合わせに参加してもらって、わりとすぐに結論が出ましたね。

中平:あまりゴタゴタせず、スムーズに行ったイメージです。ちなみによもやま話なんですけど、僕らGAVさんには一度、出資を断られてるんですよ。本当に、ビジネスはタイミングと相性ですね。

秋山:まさに。でもガラパゴスさんは、投資後一年ちょっとで本当に組織もAIR Designのサービスも大きく変わりましたよね。半年1年で投資判断が変わることは、十分あり得ますよ。

中平:お世辞ではなく、本当にタイミングが合って秋山さんに投資してもらってよかったと思ってます。表現が適切かわからないけど、母のように温かく包んでくれる。僕らは未上場のスタートアップなので、上場後の世界・お作法なんて全然わからない。それを丁寧に全部教えてくれる秋山さんは、とてもありがたい存在です。

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▲生き馬の目を抜くようなご経歴とは裏腹に、柔らかい雰囲気の秋山さん。和装の趣味がとてもお似合いです。

秋山:もちろんそれは、こちらがやるべきこととして。

中平:VCって基本的には上場までが物語だから、その先はある意味おとぎ話的な部分もあると思うんです。ただ、GAさんの場合は上場後のことも知るプロという点が明確に違う。過去に「ロングオンリー投資家とヘッジファンドの違い」について質問した時も、長文で優しく教えてくれて「そうだよこれだよ!」って。深く理解している人がちゃんと教えてくれることが本当に貴重だし、おかしいことを指摘してくれるのもありがたい。

秋山:上場株投資をしていると、正直「なんでこのステージで上場したんだろう」と思うケースがあるんです。上場タイミングを間違えたために、成長が止まるスタートアップを見るとすごく残念で。その状況を改善したい気持ちもあって、未上場株投資をやり始めた経緯があります。最終的には上場して、その先に大きく羽ばたいてもらいたい。

一方で、上場後の一般的なお作法をすべてのスタートアップに当てはめることもできないんです。例えばガバナンスについて。アーリーステージであれば、ガバナンスよりも強い経営者のパワーでガンガン突き進んだ方がいいケースもある。ステージごとにガバナンスの姿も変わるので。思うことは伝えて、最終決断以降はしっかりお手伝いするスタンスでいたいですね。

中平:お気遣いなく言ってください。僕も経営を13年やっているので、取捨選択についての自信はありますが、選択肢がないのはよくないので。選択肢を並べてちょっと先を見た時に、はじめて「これにしよう」と選べる。

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秋山:ちょっと先の世界をちら出しする」役割と感じています。

中平:仰る通りですね。引き続き、そのスタンスでサポートいただけたら嬉しいです。

やりきる力と信頼関係、人に対する貪欲さ

中平:お付き合いが始まってからの1年4ヶ月、当社にはどのような評価をされていますか?

秋山:期待以上です。一番魅力なのは「やり切り力」。可視化、対策の検討、実行から仕組み化まで再現性高い状態に持っていくサイクルのやり切り力がすごい。一方、AIR Designの難しさも感じました。価値が伝わる、使いこなしてもらうのには時間がかかるんだな、と。だからこそガラパゴスにしかできない。元々業界への課題もサービスの必要性も感じていたから、ガラパゴスのやりきり力をもってしかできないと、プレシリーズAの時よりも確信しています。

中平:起業家冥利に尽きます。そばで丸裸にされてきた伴走者の人たちに確信度を高めてもらうことが大事だと思っているので。

秋山:お互いにとって一番幸せなパターンですよね。

中平:今回の資金調達では中の人(既存株主)の賛同を強く意識しました。全起業家に伝えたいことですが、中の人が賛同しないのに、外の人(新規株主)が賛同するわけないですから。

秋山:やっぱりこの一年数ヶ月、すごく信頼関係ができたと思うんです。KPIが未達の時、BAD NEWSがある時、いち早く開示してくれるし、詳細の要因とアクションプランまでちゃんと開示する。投資家としては安心感があり、信頼できます。

中平:普通のこととしてやるべきですよね。

秋山:ここまで真摯に、丁寧にできている企業は少ない気がします。あとやっぱり解像度が高いですね。

中平:株主との信頼関係という意味では、首藤さん(ガラパゴスの元執行役員)の退任が当時大きなBAD NEWSで。その危機感を株主限定のslackに入れたら、秋山さんから「紹介しますよ」ってすぐ反応いただいて。そういう出来事があると、起業家からしても開示しようと思えます。「この人たちはいつでも支えてくれる」、なんてハートウォーミングなんだろうって。

秋山:ガラパゴスの株主はみなさんハートウォーミングですよね。退任や退職はどの企業にもあることで、その残念な状況をどうプラスに活かしていくのか。これを機会にみんな成長しよう、そんな思いを共有してる気がします。

中平:もう一つ、秋山さんはフェーズに応じて必要な人を紹介してくださる、これがありがたくて。

秋山:ガラパゴスは上場に関して未知の部分もあるので、そのあたり経験している人とつなげたら良い効果が生まれそうだなって。その点で、中平さんさすがと思ったのは、巻き込み力なんです。人タラシだなって、もちろんいい意味で。貪欲に質問していくし、結果報告をして、さらに次どうしたらいいか、という宿題までも求めると他の方も仰ってました。

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中平:貪欲ですね(笑)

秋山:本当に。シリーズAで追加出資した理由の一つで、まだまだ成長するとすごく思いました。

多様なキャリアを取り込み、世界に羽ばたく企業へ

中平:今後当社に期待する姿について教えていただけますか?

秋山:世界に羽ばたく企業になってほしいです。2008年頃、日本企業がグローバルの観点で競争力が下がっていくのを目の当たりにして。台湾企業に対して欧米の投資家が、「競合企業が日本だからシェア取りやすいね」みたいなことを言っていたんですよね。日本人の私が横に座ってるんだけど…って(笑)悔しい思いをキャリアの初期のタイミングでしていたので、サポートした日本の企業が大きくなって世界に羽ばたいてくれたら本当に嬉しい。

中平:日本人の強さの根源は改善力で、日本人ならではの強みを持ってやり切れば、デザインの世界でも輸出できるんです、確実に。期待には必ず答えたいし、できる確信があります。そのためには道先案内人が必要なので、土地勘のある方をつないでいただけたらありがたいです。

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秋山:最近思うのは、未公開市場と上場市場の橋渡しをしたいということで。スタートアップの人達って上場投資家のことをあまり知らないようにも感じていて。IRを考えても、投資家の投資哲学や投資戦略を知らないと資本政策上だいぶネックになりますよね。あと、IPO時の公開価格が低すぎるという話題も、「証券会社は一般的に公開価格を抑えたい」「スタートアップは上場株投資家の感覚を持ち切れていない」と、それぞれに要因がある。両社の溝を埋めることで改善していけると思うし、適宜良いタイミングで良い方をお繋ぎしたいです。

中平:例えば上場株を扱っている人たちと協議をして、どういう原理原則で意思決定するのかを理解しておくと、解きやすいですよね。

秋山:そう思います。

中平:起業家たちと、投資家たちがガチャっとお見合いできるような場があっても面白いかもしれない。

秋山:実は最近そういう機会は増えてるんですよ。証券会社もスタートアップのカンファレンスとか開いていますね。

中平:投資家と起業家の距離、近づいているんですね。

秋山:大きな流れとしてはすごく良いことです。それにしても、1年半前に投資した時は、こんなに早くIPOを想定するタイミングがくると思っていなかったですよ。素晴らしいです。

中平:一般的に10年かかることを2年でやっている感覚です。でも、その都度課題が出てくるんですよね、例えば組織についてとか。

秋山:そうは言いつつ組織はこの数ヶ月で格段に良くなりましたよね。プロダクトと同様、明確に可視化できている。仕組みづくりが本当に上手なんだなと感じます。それはサービスだけでなく人に対しても。

ーー最後に、ガラパゴスに興味を持ってくれている人に対してメッセージをお願いします。

秋山:外資金融出身者がスタートアップで働く選択肢が昔はあまりなかった気がしますが、今はすごく増えましたし、実際たくさんのことが学べると思います。私がVCに移ったのと同じように金融経験後、事業会社に行ってまた金融に戻る選択肢もあるかもしれないし、ずっと事業会社という選択肢もあるかもしれない。本当に、色々な人にスタートアップでのキャリアに挑戦してほしい。そういう意味でガラパゴスさんはとても鍛えられる、成長できる良い場所だと思うので、ぜひ挑戦してもらいたいです。

中平:ともに世界を変えようと、デザイン産業革命を起こそうということですね。僕らは小粒の上場なんて考えてないですから。ダイナミズムを持って働ける環境だと自負していますし、ぜひ挑戦していただきたいですね。

ーー秋山さん、本日はお忙しいなかありがとうございました!

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▲京都と東京の二拠点生活を送る秋山さん。その自由な働き方は、フルリモートワークを採用するガラパゴスにとっても、理想の形です。

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(文責:武石綾子・髙橋勲)