【漫画】いじわるキツネとピュアなクマ54「挨拶無視」
キツネ君、おはよう。
・・・。
もう行くの?行ってらっしゃい。
・・・。
おかえり。今日は案外早かったね。
・・・。
おやすみ、キツネ君。
・・・。
(いやぁ。やっぱり挨拶を無視するのは気分が良いなぁ。特にクマの野郎の挨拶を無視するのは!)
(人間、挨拶を無視されるのが一番ムカつくこと。これから毎日、クマの挨拶を永遠に無視し続けて、奴の不満ゲージをどんどん溜めまくってやる。ククク。面白くなって来た。)
もう起きてたの?早いね。おはよう、キツネ君。
・・・。
もう新聞取った?今日は休みの日じゃないよね?
それならここにあるぞ。ほい。
ありがとう。
今日は一日中雨か。嫌だなぁ。洗濯物全然乾きそうにないぞ。
ま、そんな日もあるだろ。次洗濯機買う時は乾燥機つきの奴買わないとな。
そうだね。
あれ?もう出かけるの?
今日は出張があるから。
そう。気をつけてね。行ってらっしゃい。
・・・。
(くそ。クマの野郎、平静を装いやがって。)
(だが、苛立つ感情を隠していられるのも今の内。じきに我慢できなくなって、怒りが爆発するぞ。ククク、楽しみだ。)
(しかし、行ってらっしゃいと言われると、ついついいつものクセで「行って来ます!」って言いそうになるな。言わないように気をつけないと。計画が丸潰れだ。)
ただいま。
あれ?キツネ君もう帰ってたんだ。おかえり。
・・・。
そういえば今日結局雨降らなかったね。こんなことなら、普通に朝ベランダに洗濯物干しておけば良かった。
(クソ。マイペース野郎め。俺が挨拶を無視し続けてること。ちゃんと理解してんのか?)
(仕方がない。ここは一つ、俺から直接探りを入れて見るか。)
おい。クマ。そろそろ。苛立ちが限界に来てんじゃねーのか?
へ?何が。
俺がお前の挨拶を全部無視してることにだよ!
え?本当に?全然気づかなかった!何かのドッキリ?それとも検証?
は?なんで気づかないんだよ。
あぁ、そうか。お前はどうせ普段から人の話を全く聞いてないノロマだからか?ハハッ!
キツネ君、仕事で疲れて帰って来た時でも、いつも真っ先に僕に「ただいま」って行ってくれるから、その調子で逆に言われてないことに気づかなかった。ごめんね。ところで、検証は上手く行った?
・・・。
バカ。大失敗だよ。
じゃあ、これからは逆にもっと大げさに挨拶するとしよう。お前が寝る時も布団まで着いて行って、大声で「おやすみ」って言ってやるから。
そこまで言われたら、逆にビックリして眠気が全部吹っ飛んじゃいそうだよ。
おしまい。