【漫画】いじわるキツネとピュアなクマ51「妙に疑うキツネ君」
ただいま〜!
おいクマ遅いぞ。今何時だと思ってる!
え?まだ6時だけど?っていうか、いつも僕この時間に帰って来るじゃん。
お前まさか、俺に内緒で仕事帰りに駅前で、果物たっぷりクレープとか食べて来たんじゃないだろうな?
まさか。第一、今クレープなんて食べたら、夜お腹いっぱいで晩御飯が美味しく食べれないでしょ?
う〜む。どうも怪しいぞ。
そういえば、今日昼休みにコンビニへ行ったら、イチゴモンスターズのストラップがついた、ジュースが売ってて。キツネ君、このキャラ好きだったでしょ?あげる。
おいおい。そもそも、今日は俺の誕生日じゃないぞ。
はは〜ん。わかった!さては俺におべっかして、何か後で頼みごとでもあるんだろ?その手には乗らないぞ!
まさか、全然そんなことないよ!ただ、今日偶然見つけて「キツネ君にあげたら喜ぶだろうな」って思っただけ。疑い過ぎだよ。
むむぅ。怪しい怪し過ぎる。
(今日のキツネ君どうしちゃったの?いつもより、やけに僕の行動を疑って来るみたいだけど。)
(いいぞ、いいぞ。奴の顔にどんどん俺に対する不信感の気持ちが浮かび上がって来る。奴にはもっと苦しんでもらわないと、俺もイタズラの甲斐がないからな。)
(人間、誰しも最終的には「相手から疑われ続ける」のがもっとも不快な状態。このままどんどん奴の行動を逐一疑い続け、より一層奴を深い苦痛の沼の中に陥れてやる。)
そういえば、今日はまだテレビつけてないんだね。テレビつけてみてよキツネ君。何か面白いのやってるかな?
は?なんで俺がお前のためにテレビの電源入れなきゃいけないんだ?
あ!わかったぞ。さては、ハードルが低いところから、俺への頼みごとを増やして行って、最終的には、なんでも自分の思い通りのままに、俺を支配しようと企んでるんだな。俺はそこまでバカじゃねーよ!俺を見くびるな!
そんなことあるわけないじゃん!心配し過ぎだよ。
じゃあ、お前がテレビをつけろ。その行動こそが、俺に対する誠意ってもんだぜ。
はいはい。わかりました。
(ククク。クマの奴、良い感じに煮立って来たな。そろそろ最後の一手。究極のフィナーレと行きますか。)
これで満足ですか?キツネ先生。
は?なんで料理番組なんて見るんだ?
あ。さては、俺に料理のレシピを丸ごと覚えさせて、後で全部俺に作らせようと企んでるな?俺をそう簡単に騙せると思うなよ。このクマ公!
(決まった!これぞ究極の疑いコンボ。奴はもう俺が用意した罠から逃れられない。さぁ、永遠に鳥かごの中で苦しみ続けろ。苦悶の表情を一生額に貼り付けたままな!)
フフフ。バレてしまっちゃしょうがない!
は?急に何言ってんだ?
僕が数日前から、徹夜に徹夜を重ねて綿密に用意した「君を欺く戦略」も、IQ1400の君の頭脳の前では、全て無力だったようだね。
俺を欺く戦略って。じゃあ、まさかお前本当に俺を騙そうとしてたのか?
なんてね?どう?僕の迫真の演技。キツネ君の検事役にも負けずとも劣らなかったでしょ?
へ?演技?
おいおい、俺のは最初から演技なんかじゃねーぞ!コラ!
はぁ、お腹すいた!キツネ君もお腹ペコペコでしょ?凍てつく裁判所が舞台の演劇はこれぐらいにして、早く美味しいご飯を食べよ。
くそぉ。勝手に良いように解釈しやがって。見てろ。そう簡単に俺から逃げられると思うな。
おい、クマ。俺の席にだけ、おかずの皿が一個少ねーぞ。まさか、お前俺に内緒で自分だけ、美味いもん食おうとしてるな!そうはさせねーぞ。さっさと俺の分の皿も持って来い!
(フッ。決まった・・・!)
え?良いの?キツネ君ナスが嫌いって前に言ってたから、おひたしキツネ君の分だけ回収したんだけど、そんなことならお安いごよう!
へ?ナスのおひたし?あの・・・それは結構です。
遠慮しなくて良いの!いやぁ、キツネ君がとうとうナスを食べれるようになったとは、僕も今まで頑張って来た甲斐があっったよ。
ちょ、まっ、やめ・・・!
(くそぉ。こんなことなら、最初からクマを疑うフリなんてするんじゃなかったぜ。チクショー!)
おしまい。