【漫画】いじわるキツネとピュアなクマ52「ブーブークッションと罠の匂い」
クンクン。妙に良い匂いがするな?晩飯はなんだ?
あぁ、キツネくん!今日はハンバーグにしようと思って。キツネくん好きだったでしょ?
大好物だぜ!よっしゃ、これで明日も元気に生きられる!
もう、キツネくんったら大げさなんだから。じゃあ、もう直ぐご飯できるから、それまで良い子にして待っててね。
はーい!
(「良い子にして」は余計だ。俺はいつでも良い子の模範優等生だっつーの!)
ご飯できたよー!
待ってました。もうお腹ペコペコ怪獣だぜ。
さ、早く席に着いて!
おう。では早速。
(ん?ちょっと待てよ。何か違和感が・・・)
(そうだ!いつもはないのに今日に限ってなぜか、俺の椅子の上だけにクッションが置いてある。怪しい、怪し過ぎる!)
(わかったぞ!これはきっと罠にだ。よく見ればクッションの真ん中が少し膨らんでいるように思える。クマのやつめ俺にイタズラをしようと、俺の席にブーブークッションを仕込みやがったな。)
(バカめ。イタズラを続けて早10年。イタズラのプロであるこの俺に、こんな簡単な罠が通用するとでも思っているのか。逆に返り討ちにしてやるよ!)
あれ?クマ。なんで俺の席だけ豪華仕様なんだ?クッションが置いてあるじゃねーか。
あぁ、今日出かけた時にお店で見かけて買って来たんだけど、サイズが合うかわからなくて。試しに一個だけ買ってみたんだ。キツネ様への特等席でございます。
(特等席か。上手いこと言いやがって。俺を良い気分にさせて、まんまと罠にはめようって魂胆だな。見え見えなんだよ!)
(あらかじめ台本を用意して俺の質問にスラスラ答えられるように仕組んでおいたようだが、まだ詰めが甘い!)
いいよ。いいよ。俺だけ良い席に座るなんて気が引けるし、せっかくお前が買って来たんだ。この席にはお前が座れ。今日だけ交換だ。ささ、早く。料理も交換したぞ!
そう?じゃあお言葉に甘えて。
(どうだクマ!俺の方が一枚上手だったろう?さぁ、ここからが一番の見せ場だ。自分の仕組んだ罠にはまって恥をかいてもらおう。)
うん。なかなかの座り心地ですことよ。キツネ男爵?
(あれ?ブーブークッションが作動しない?おかしいな。)
(わかった!さては空気椅子だな。空気椅子で音がならないように、わざと腰を浮かせているんだ。)
おい。クマ!もっと深く座れ。
へ?何が?
良いから、もっとクッションに体重をかけろ!
あ、わかった!さてはキツネくんクッションの下に、ブーブークッションを仕込んだでしょ?僕わかっちゃったもんね。不発だから、焦ってるんだ。
(バカな。クマ自ら「ブーブークッション」って言葉を口にするだと!?じゃあ、まさかイタズラは本当に俺の勘違い?)
(確かめねば・・・!)
おい。クマそこをどけ。俺が座る!
わわっ!急に何するの!
ブーッ!
わーい!引っかかった。作戦大成功!やっぱり、キツネくんをはめるなら、これぐらいのことはしないとね。
嘘だろ。まさか本当に俺をはめるために、ブーブークッションを?やられた!
実はこの間キツネくんの部屋に入った時、偶然、タンスの隙間にこれが落ちてたのを見つけたんだよね。だから、そっちがその気なら、やれれる前にやってやろうと思って。
完全に負けた。俺の疑いをスルーする話術、空気椅子で音がならないように座る我慢強さ。恐れ入った。
くそぉ。こんなことなら、最初からブーブークッションなんて買うんじゃなかったぜ。チクショー!
おしまい。