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年を分かつ



soundcloudにて「sift a year EP(band)」を配信した。
ざっくりいうと、前作ひとりで作った音源を、バンドでアレンジした作品ある。
ここから1700字くらい語らいがはじまるけど、
一聴に如かずということで、ひとまず聞いてくれるとうれしいです。


ギターを持ってパソコンと相談しながら、自宅の隅でひとり制作していく宅録スタイルは、なんでもできちゃうんだが、ひたすらぽすぽす打ち込む修行のような日々だった。もちろんそれもまた一興ではあるが。
しかし、自分の音楽の根底にある、バンドをヤりてえ マインドが冷めることはなく、同志を集めることにした。大学時代のサークル仲間の所在を近いところから聞いて、声をかけていった。自分はギターで、残りのベースとドラムをやってくれるメンバーがありがたいことに見つかり、先日スタジオに入ることに成功した。

発起人ではあったが、バンドで作っていくことや他のパートに関しては初心者であったので、構想している部分だけ伝えて、基本おまかせにした。
だれかに委ねるというのは、不確実で、先が読めない。けどやってると、ひっぱられるように体が動いて思わぬところにたどり着く。
ブランクを抱えた三人が、感覚を確かめながら、ひとつのものを作っていくのが、とてもたのしかった。
基本的にはこのスタジオ感を残したかったので、1曲ずつ録音したものをバランスだけととのえた。


【ライナーノーツ的なもの】

M1:yuukyuu

有給ってローマ字にすると美しいので、流行ってほしい。


M2:sift a year 

正月によく聞く曲から着想して、ひろげていったのが表題作になっている。
sift は「ふるいにかける」とかの意味がある。移り変わるシフト「shift」のスペルを誤検索して出てきた単語だったけど、こっちの方がイメージが膨らんで面白いとなって採用した。
年は、こなごなに分かれて、月となり、日となってくらしに溶け込んでいる。しかしそんなことは(年齢を重ねていくと特に)気にもせず、ただただ時が過ぎていく。流れるものに、抗うことはできないけど味わうことはしていたいという願いをこめている。
歌詞はまだ、はにゃ語で雰囲気だけある。


M3:驟雨

しゅうう【驟雨】
急に降り出してまもなくやんでしまう雨。一様に長く降る地雨(じあめ)の対。

コトバンク『驟雨』

にわか雨は、そこに居合わせたひとしか感じえないし、やんでしまえばすぐ忘れちゃうものだが、降ったことは確かに存在していて、なんらかの影響を与えている(急いで家に帰ったら運よく宅配便を受け取ることができたとか、コンビニで傘を買ったらすぐ雨が止んで後悔するとか)。
一人で作ったときは左右にギターを振って、掛け合いの美しさみたいなのをやりたかったが、三人でやってみると、じとじと感が増したというか、(まだ降るのかよ・・・)という嘆きの成分がめちゃめちゃ増えた。
2本想定のギターをひとりでやるのでいそがしい。
漫画『東京喰種』でカネキがヒナミにこの漢字を教えるシーンがやけに記憶に残っていて、スコールが降るたびに思い出すので、今回タイトルとしてひっぱってきた。


M4:砂は鳴く

散っていく砂ように、とにかくステレオ感出したく、とにかくリヴァーブ(お風呂の中みたいな反響)をかけている。はらはらと散っていくというところでは、sift a year とつながりがある。
立つ鳥跡を濁さずの精神で、去っていくことをイメージして最後にもってきた。すぐ去っていくのは驟雨のマインドに近い。
最後に徐々にゆっくりさせていくのは、毎回その時々で変わっている。楽器たちのリズムがずれてんじゃねえか!とも言えるが、このほぐれていく感じがまたいいなあという気持ちが上回った。



【制作時見聞きして影響を受けた・参考にした作品】
じぶんの居場所をつくっていくこと、そのための制作(音楽でも文学でも日記でもすべてにおいて)について指し示してくれた作品が多かった。サウンドについては、アンビエントの要素を残しつつ、バンドを成立させる方向を模索していった。

音楽
downt 『Ⅲ』
Ginji『Wither』
HELLEC『HELLEC』

映画
無気力シンドローム
ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

本・漫画
土門蘭『死ぬまで生きる日記』
荒井裕樹『生きていく絵』
西川正『あそびの生まれる場所』
赤瀬川原平『四角形の歴史』
大橋裕之『夏の手』

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