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フェイクこそ本物が見たい

10/1
今井真実さんの春巻きをつくる。鶏むね肉を皮で包んで焼く仰天スタイルだった。簡単だけど手間かけるところはかける分おいしい。
フライパンで焼いてるときに、油を掬って春巻きにかける感じが、植物に水をやる感じというか無償の愛があって、謎の達成感があった。今井さんの料理には、調理自体のなかに楽しさを見出すことができる。
もちろん味も最高だった。鶏むね肉なのにパリパリ、春巻きなのに塩山椒をつけてという、裏切りがおいしさにつながった。また作ろう。


10/2
人生2回分ぐらいのみょうがをもらう。
帰りに豆腐をかって冷奴にかける。うまい。
これで1年分はこなしたけど、まだまだまだある。
ひとまずいくつかを刻んで冷凍庫に入れた。


10/3
前進はしているだろうが手ごたえのない作業を何度も繰り返した。


10/4
曇り空の隙を狙ってシェアサイクルに乗ったら、ゲリラ雨を食らいに食らう。テンションが下がり、その後の予定への意欲が減る。別のことに没頭したらそっちは捗った。ことわざにありそうな流れなんだけど出てこない。雨降ってなんたら、でもないし、急がばなんたら、でもない。


10/5
寒いが勝った朝。こうなると布団でやり過ごすしかない。


10/6
映画『戦慄怪奇ワールド コワすぎ! 』を見に行く。
過去作は今はもうなくなってしまったTSUTAYAでDVDを借りて見てて、劇場で見るのははじめてだった。作品のタイムラインに自身がおいついたと思うと、しみじみする。
ホラー映画のなかにあるエンタメの魅力を教えてくれた作品でもある。口裂け女を捕獲しようとしたり、河童と拳を交えたりと、霊的な存在に物理的なアプローチをかますのが、怖さを上回って面白さを生み出している。
前作から8年越しの新作で、私も、世界も変わってしまった。そこには悪い記憶や後悔なんがもある。しかし、そういった過去にまっすぐ対峙しそれを背負って、今を生き延びてやるぜ!!という、過去すらもパワーに変える作品だった。どうしたコワすぎ!?

(10/10追記)
思えば、フェイクドキュメンタリーの真っ当なアップデートを見れた気がしている。
今年に入って「このテープもってないですか?」というジャンルとしては同じフェイクドキュメンタリー作品を見たけど、その時は何か違和感があった。おそらくハラスメントまわりの表現を昔のテイストそのままでやっていたからだと思っている。
フェイクだからって、いやフェイクこそ本物(あるべき姿)が見たいなという希望があるのかもしれない。ラーメン発見伝の芹沢社長も近いこと言ってた(気がする)。


10/7
池袋に音楽プログラム『とおくのアンサンブル』を体感しにいく。
街の吹き抜けの何か所に配置された16人トロンボーン奏者による演奏。
音には「方向」の要素があって、日常の生活にも大いにとけこんでいる。例えば「デカいBGMが聞こえてくるあっちがイベント会場だな」とか「プリウスの運転音静かすぎて、こわい」とか。
そんな音の方向性(定位ともいう)を作品として表現するのが、もう面白い!となって訪れた。
今回の会場は池袋の駅ビルの吹き抜け(西口公園に出るところ)だったので、街や道交う人々による音がベースにあって、その中に紛れた奏者の音を聞くというところにアンビエント的なたのしさもあった。
奏者間も距離がある分、物理的なディレイがあって、そこでしか発生しえない音楽を堪能したのであった。


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