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「星見島 悲しみの復讐鬼」を遊んで思い出した小学校時代の悲しみ

「金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼」は1998年発売の、セガサターンのテキストアドベンチャゲーム。ファミコン探偵倶楽部とか、探偵物のアドベンチャゲームがいくつもある中で、このゲームは「探偵を欺き、殺人を成功させる」のが目的という珍しいゲー。20年くらい前、小学生の頃持っていてクリアしたものの、今となっては全然覚えていなかったので、思い出したくて購入。


主人公は二人いて、どちらかを選んですすめる。

「なお」編は、自分を失墜させた奴らに復讐をしていく。かなり大胆で現実離れした行動が求められて難しかった。

「阿佐桐」編では、恋人の由布の自殺の原因となった奴らに復讐していく。なお編に比べると落ち着いていて、地味で難易度低めな印象を受けた。殺すたびに「由布、またお前のもとに一人送ったからね。」みたいなことを言っていて、そんなの由布からしたら普通に嫌だろう、とか思った。

小学生時代ぶりに久々にやってみたけど、登場人物の顔と名前は普通に覚えていた。でも誰を殺すのが目的だったか、とか、どんなトリックを使うか、とかは全然覚えてなかった。自分が、人の顔と名前を覚えるのが得意だった、ということだけはわかった。

やってみると、テキストアドベンチャなのに、めちゃくちゃ死にゲ。選択肢の中に正解ルートが決められていて、それ以外を選択したらゲームオーバ確定になるものと思われる。殺し方のルートは色々用意されているんだと思うけど、自由度は全然なし。
そして、思ったのは、このゲームの脅威となるのは、金田一ではないということ。血の気の多い登場人物が多く、ちょっと変な動きをすると、こちらを殺しに来る。逮捕されてゲームオーバになるよりも、ナイフで刺されてゲームオーバになる方が圧倒的に多かった。

ゲームオーバになると、原作に出てきた怪人が「あそこはこうするべきだったな」とか教えてくれる。それでルートを修正して何度も挑戦して進めていく。やり直して同じシーンを何度も見ることになるのが煩わしかった。ああ、このめんどくささ。そういえば、こんな感じのゲームだったな、と思い出してきた。ていうか、お前ら全員金田一に負けたくせにアドバイスなんてできる立場かよ。

エグいのは、セーブポイントでセーブするよりも前の選択肢の段階で、すでに詰んでいる場合があること。ひとつ前のセーブデータを残していればそこからやり直せるけど、上書きしてしまっていた場合は完全に詰みになってしまう。「セーブデータを使いこなそう」って、これが説明書にヒントとして書かれているのがちょっとおもしろい。3つのセーブスロットをうまく使って詰みを避けられるか?!とか、変なところにゲーム性持たせてんな。

殺されてゲームオーバになった時に会えるのは、2号ではなく1号であるべきなのでは?

原作で使ってたトリックと同じものは金田一に通用しない、とか、原作を知らないとわからんだろ、って思った。

殺人シーンや逃走シーンでは、アクション要素もいくつかあり、何気に難易度が高く、シビアな操作を要求される。テキストばかりでダレてきたところで良いアクセントになることもあるけど、難しい上に失敗して即ゲームオーバになったりと、イライラ要素でもある。クリアできたとしても、その時点でストーリ的に詰んでいる場合もあるので、「何でやらせたんだよ」と思うものもあり。

小学生の頃は感じなかったけど、今遊んでみると思うこともあった。「殺人を成功させた犯人は、この後、ちゃんと生きていけるのか?」とか。
小学生の頃、堂本剛のドラマが人気で、このゲームが出ていた頃には、たぶんアニメも始まっていて、金田一人気がすごかった。そんな中、「犯人になって金田一に見つからないように殺人するゲーム持ってる」とか学校で話したら、やってみたいといって、家に5人くらいわーっと集まってきたことがあった。自分はもうクリアしていたし、暇だったので、操作してるやつにふざけてちょっかい出したりしてた。そしたら、後日「クラス内にいじめは無いか?」みたいなテーマの学級会で、そのちょっかい出された奴ではなく、それを見ていた別の奴が、見ていて不快だったとか言ってそれを取り上げて、俺が被告人の裁判みたいになった。それだけでなく、過去にもその人の悪口を言ってたとか、あることないことを告発された。先生に怒られたことなんて、人生でそれくらいしかないので、かなり印象的な出来事として覚えている。その時に、他人とコミュニケーションを取ろうと思ったら、自分は他人を傷つけるようなことしかできないんだ、って思った。自分がアクティブではなくなって、全然人間とコミュニケーションを取らなくなったのはそれからだった。そんな昔のことでも、いつまでも嫌な思い出として頭から離れなくて悲しくなるのに、このゲームの犯人は3人(または4人)も殺しておいて、本当にちゃんと生きていけるのだろうか?

そういえば、「犯人たちの事件簿」ってこのゲームに近いのかな。2巻まで読んだことあるけど、犯人たちは切羽詰まってるはずなのに、なんかシリアスさが感じられなくて苦手だった。また読んでみようかな。

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