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『両手いっぱいに芋の花を』プレイ感想

 芋の種を追いかけてきました。

ネタバレあり感想です。めっっっっっちゃ面白かった……


なんで買った?

 なんかおもろいらしいので買った。終わり。いや、もうちょい書こう。どうも聞こえてくる限りでは面白さをギュッと詰めてあるタイプのゲームっぽいぞと。ゲーム映像を見た感じでも、シンプルなターン制バトルのように見えた。これで面白いなら好きになれるだろうと。3DダンジョンRPGと呼ばれるジャンルらしいが、この手のゲームを遊んだことの無い僕でも、シンプルにまとめてあるなら楽しめそうだと思った。

ゲームを信頼するまで

 最近の僕の中のトレンドとして、【ゲームを信頼する】という考えかたがある。曖昧な感覚だけど、なんかそういうのがある。ゲームを信頼できていないと「楽しまなきゃ!楽しもう!」みたいな強迫観念や焦りに駆られる。逆に信頼が高まれば、リラックスしてゲームに身を委ねられる。ある種の癒やしすら発生する。細かい部分で言うと、たとえば隠しアイテムを見つけて「こういうのがあるんだったらこれからいろんな箇所を調べていかないと……」とげんなりしたり、あるいは「このゲームはそういうことしない」とか、「このゲームならここになにか仕込んでくる」とか、そういうプレイスタイルへの影響もおよぼす。いずれにせよ、プレイヤーとして最大限ゲームを信頼できるように努力するし、その信頼に応えてもらうのを期待してゲームを遊ぶ。

 どんなゲームなら、どういうゲーム展開ならプレイヤーはゲームを信頼していくのか。まず初めにゲームを遊ぶ前からこの“品定め”は始まっていて、やはり見た目の綺麗さ、整っているかどうかは重要だと感じる。購入前でもそうだが、『両手いっぱいに芋の花を』では、シンプルな画面構成が目に入ってくる。そしてシンプルなウィンドウUI。白枠で黒背景。ドラクエで育った人間なので、このシンプルさが好感触だった。見た目はしっかりと整えられていると感じた。

続いて丁寧なチュートリアル。一回の戦闘において説明は一つだけにしてあって、しっかりと図を添えてあるので、うんざりすることが無い。また、基本的には遊んでいるうちに分かるようになっているゲームシステムだし、そうさせる敵配置や成長速度になっている。チュートリアルながらちゃんとボスが居て、終わったときにしっかり達成感があるのが嬉しいね。そしてオープニングムービーが始まる。

興味深いと思ったのが、ミニチュアのような切り取られた空間にキャラクターを配置することで、他のゲームにおけるムービーを演出していたところ。なるほどこんな表現もあるのか。ここもチープさはまったく感じさせられない。このゲームに最も適した表現方法のようにさえ感じられる。そしてタイトルコール。おおー。

で、いきなりキャラメイクが始まる。は?このゲームでただ一つだけ面食らったのがここだ。といってもゲームが悪いのではなく、僕がキャラメイクを苦手としているからだ。正解が存在せず、創造性が求められる道のりを、ただ自分の力のみで進めなければならない。さいわいなことにこのゲームはチュートリアルキャラに名前が付いていて、そこからヒントを得られた。チュートリアルキャラの名前は雷雨、紡ぎ手とかだったので、それに見倣って春風、語り部、などと名前を付けていった。種族やクラスは上から順番にテキトーに選んだ。各パーツはデフォルトで進める。

悩めるキャラメイクを乗り越えて、さっそくダンジョン探索開始だ!ダークエルフのチーフが手を振ってくる!え、なにそれ可愛い。ミッションの説明も受けたが、ここでなんとなく「しっかり気合い入れて世界観構築してそう」と思った。だって地図が出てくるんだよ?ファンタジー小説とかで最初のほうのページに載ってるようなヤツ!かなり本気のゲームかもしれないと感じた。

 最初の敵は……大ネズミだと?ふん、いっちょ揉んでやるか……一匹ていど、テキトーにボタン連打で攻撃すれば倒せるな。楽勝だぜ!ネズミ風情が何匹来ようが相手にならないんじゃないこれ?三体くらい居ても連打で余裕やろ。ドカッドカッ。あっ。え?前衛のナイトが死んだ!ガードせずに二発ほど敵のネズミの攻撃を受けるとあっさりと死ぬ。「レベル0と表示されてるようなデカいだけのネズミにこんなあっさり殺されるの?!」って唖然としたね。その先で大コウモリの集団に全滅させられて笑った。ただデカいだけのコウモリに負けちゃうのかよ。

とはいえ、序盤はやれることが少ないので、攻撃を予告されたキャラが防ぐようにしているだけで勝てる感じ。なので序盤の戦闘は少し退屈な部分もあった。そこから石の重りを活用した鉄格子のギミックが出てくる。こういうのもあるのか。なるほど。ちょっと考える要素があっていいね。

そして、鉄格子ギミックの先に待ち構えているスライム君主が率いるスライム軍団にやられた。少し考えた結果、パーティーの攻撃手段をスライムの弱点としている斬撃攻撃に絞るのが効果的だと考えた。推測どおり、勝利をおさめることができた。なるほど。相手に合わせて戦術を決めるのが大事なのかな?と思った。また、このときに何度かやられたものの、それまでに開けてきたショートカットのおかげですぐに復帰できた。ここでデスペナルティの薄さも体験できた。あっさり死ぬけど問題無い。しかもバトルは情報がしっかりと開示されるフェアなもの。そのうえとても簡単に戦闘から離脱できるので、じっくり落ち着いて攻略することができる。つまり、しっかり学んで一つ一つ乗り越えていくゲームなんだと理解した。

続くリザードマンとの戦いでは、敵がガードするとこんなに厄介なのか!という体験を味わう。そしていよいよ大ボス、ミノタウルス登場。大ボスは体力が一定値に減ると丁寧に演出が入って強い技を繰り出してくるので、緊張感がある。ゲームプレイは変わらず単純なんだけど、しっかりと脅してくるのがよかった。それを乗り越えて倒すと、これまた簡素ながらグッとくる爆発演出がある。それからレバーを倒してずっと道を塞いでいた鉄格子を上げると、「ヨシ!進めた!」という感情が自然と湧いてきた。ここで僕はこのゲームを信頼してやっていけそうだと感じた。クリアまで楽しんで進められそう!

 あらためて整理すると、まずシンプルで整っていると感じるグラフィックがよい。それから、なんとなく進めてるうちに分かるようになってくるゲームシステムと説明の仕方がある。ダークエルフのチーフ可愛い。世界観しっかりしてそう。気を抜くと簡単に死ぬバトルは緊張感がある。頻繁なショートカットの開通による達成感、進んでる感覚がある。それでいてデスペナルティはほとんど無く、帰還も一瞬で移動も快適だ。ミノタウルスの闘士を倒すところまで進める過程でこれらを経て、このゲームは信頼できると思った。この時点では戦闘は単純に感じられ、その点はまだ物足りなかった。ただ、将来的には技能獲得による戦術幅の広がりがあると予測できて、それを発揮できそうなまだ勝てない強敵を何体か見かけていた。これらによって戦闘の物足りなさはいずれ解消される期待があった。

というわけで、ここからはどんどんゲームが面白くなっていったので、ひたすら褒めモードに入る。いろいろ書き散らかします。

遊び

 遊びについて思ったことをざっくりと。

バトル

 遊びのペース配分がとてもいい。まずバトルの基本的なサイクルとして、

①基礎 ‐ 新しい雑魚グループとの遭遇
②応用 ‐ 数の増加や他の敵との混成部隊
③総合 ‐ 中ボス(部隊もしくは単体)

これを何回か繰り返したのちに、大ボスが出てくる。そして、このサイクルすらも繰り返すわけではなく、ちゃんと変化を付けてくる。バジリスク→グリフォンみたいに、大ボスが連続するような大きな山場があったりする。ラストエリアのボスラッシュは興奮した!

加えて、戦闘に入る前にも考えることがある。側面や背後を取れば有利になる。少しだけ考えるポイントが用意されている。これだけでもかなり丁寧に作られていて楽しいが、さらにそこに各エリア独自のギミックが添えられている。石の重り⇔鉄格子、水被り、水位変更、鐘鳴らし、エレメント、バリスタなどなど。これらのギミックのほとんどが、しっかり観察して時間をかければ有利になるようになっている。裏を返せば、上手いプレイヤーならほどほどに無視して時間短縮しつつ正面から苛烈な戦闘に挑めるわけだ。よーできとる!水被りが個人的にお気に入り。【水を被って正面から挑む or 水を被らずに側面から挑む】と焦点が分かりやすい二択が提示されるところ。対策して正面からどっしり構える──相手の強みに対応する戦いか、不意打ちで側面から一気に攻め潰す──自分たちの強みを押しつける戦い。

そう、このゲームのバトルは大きく分けて二つの方向性がある。相手の強みに対応する戦いと、自分たちの強みを押しつける戦い。前者なら敵の攻撃から被害を抑えられる装備や技能を考える。後者は敵の耐性値から有効な装備や技能を考える。どちらも同じ手段ではあるが、考えかたが変わる。覚えることは少ないけど、幅がある。だからシンプルでありながら、遊びごたえをしっかりと感じた。戦闘そのもので考えるよりも、戦闘に入る前にどれだけ準備できているかどうかが大事なように感じた。ちゃんと考えるとちゃんと有利になるゲーム。途中から【まず一度向かい合って情報を得てから逃走して考える】といった立ち回りになってた。これも【体力が戦闘終了後に全回復&いつでも簡単に逃走可能】な仕様が為せる立ち回り。

ここまでバトルについて語ってきたが、こうやってずっとバトルしてると疲れるし、飽きてくる。そこでいったん帰還して“間”を取っている。そのために効力を発揮するのが精神力の消耗とたいまつの消耗だ。これなー。これも好き。なんというか、めっちゃ控えめじゃない?精神力の消耗はともかく、たいまつの消耗は無視しようと思えばできるレベル。かなり緩やかな帰還の促しなんだよな。「拠点に戻れ!」じゃなくて「ちょっと一回帰ってみませんか?」的な態度。水を差される感覚が薄い。丁寧だな~と思った。

育成

 「技能を自由に修得していってね」こういうの苦手~~~~。なんだけど、このゲームの場合、ちゃんとガードしてないとあっさり殺される。なので防御系が重要だと考えて、まずは防御系を取っていった。こうやって最初の一歩を分かりやすく提示してある。とっつきやすい。助かる。そうやって進めているうちに「こういうの欲しいな」と需要を自覚できてくる。育成で途方に暮れることがない。困ったらとりあえず保留してても問題無いからね。装備に関しても同様で、技能(クラス)から得意武器があるていど決まってるので、素直に従って遊んだ。

キャラクターはレベルアップ時にステータスアップするが、この成長値は固定とのこと。また、もらえる技能ポイントも1つずつ。パーティー編成(クラス選択)と、技能ポイントの振りかたでプレイヤー毎に違った体験が得られるようになっている。やはりこちらもバトル同様、基本的なサイクルだけでも楽しめそうだ。が、ここにもしっかりと調味料が振りかけてある。それが敵のランダムドロップアイテムだ。この中には戦術を決定づけうる装備が存在する。もちろん、ダンジョンに配置されている宝箱から出てくる装備も戦術に組み込まれる可能性がある。

戦闘勝利時に死んでるキャラにも経験値が入る。神。最高。この世に存在するありとあらゆるゲーム全部この仕様にしてほしい(過激思想)

再入手不可装備を教えてくれる。配慮しすぎ。行き届きすぎている。一流ホテルのルームサービスか?

経験値取得量にレベル差補正がかかる。これ好き。ベンチメンバーのレベルをあとから簡単に揃えられる。一方で、これはちょっとした“穴”も生んでいる。レベル30→レベル35みたいに育てるよりも、いったん人員整理してレベル1→レベル35のほうがラクになる。人員整理&補充にデメリットが無いからね。ただ、この“穴”はメリットと表裏一体になっているので簡単には塞げなさそう。このレベル差補正によって、おそらく上手いプレイヤーなら強敵をいきなり倒して一気にレベルを上げるといったことも可能なハズだ。

探索

 既に書いたが、戦闘に入る前に考えるポイントが用意されている。これが探索のメイン要素と言っていい。ギミックもほとんどは「有利に戦闘に入るためにはどうすればよいか?」に集約されている。戦闘のための探索。そういう位置づけに感じた。

雰囲気作りが素晴らしい。基本的に天井が低くてダンジョン特有の圧迫感がある。石畳をコツコツと進んでいく感覚はワクワクできる。鉄格子による先のチラ見せや、扉を開けて先が見える瞬間、ところどころにある暗闇、ダンジョン探索にとって欠かせない要素をきっちりと抑えている。たいまつは基本的に見やすさのためでしかなく、ゲーム的に大きな意味は薄い。ほとんど利は無いが、壁の燭台に火を灯していくのは楽しい。視覚的に“征服感”がある。エリア毎に色味を変えて、同じダンジョンでありながら受ける感覚を変えているのもお見事。

あとこれも既に流れで書いたが──ゲームの遊びってそれぞれが混ざり合ってることが多いので分離して書きづらい──精神力の消耗とたいまつの消耗による緩やかな帰還の促しが控えめで好き。いつでも帰れるのも相まって、探索におけるめんどくささがまったく無い。探索してる感はありつつも、やはり戦闘を有利にするために動き回るのがメインな印象がある。ゲームにとって重要な部分にフォーカスして、それ以外の箇所はサラッと流せるようになっている。遊びやすい。

さらにゲームが進むと探索が強化される要素が解放される。二段上から飛び降りられるようになったり、梯子で一段昇れるようになる。また、隠し通路の存在も教わる。これらが解禁されるタイミングも完璧すぎるんだよなー。定期的に新しい要素が解放されるので飽きない。マップの更新演出も気持ちいいね。

開戦の仕方に選択肢があって、ショートカットも頻繁にできて、エリア毎にギミックもあって、障害を乗り越えた先に宝箱があって、すぐに挑戦しなくていい強敵もいる。これだけ要素があるのに、各ダンジョン、各階のサイズはほとんど同じで真上から見た形状も正方形に統一されているのはどんな魔法なのか。なんでこれができるのか分からない。ウィザードかソーサラーがこのゲームを作っているんだろうか。

気持ちよかったところ

 気持ちよくなれるところがあると楽しい。ザーッと書き連ねてみる。

スライム君主率いるスライム軍団相手に、斬撃武器で対抗できたところ。勝てないときは弱点を突け!これを学んだ。

中盤に出てくる骨の二人組を見て、ソーサラーを育成して炎攻撃を試してみた。これが強すぎて笑った。それまで60ダメージとかでやり取りしてたのに急に200ダメージとか出るんだもん。そこからしばらく炎無双してた。気持ち良すぎた。魔法系クラスはウィザードもかなり強く、武器強化や追い風でサポート、凍結→石つぶての一人コンボとかやりたい放題。つーか石つぶて強すぎる。

ヒポグリフ相手に槍使い要因としてシャーマンを育成してボコボコにできたときもよかったな。事前の対策がきっちりハマると完勝と言っていい成果が出るのが本当に気持ちいい

ナイトの盾の突進でスタン取って敵の詠唱技キャンセルさせるの気持ちよすぎ。詠唱技はだいたいこれでカモってた。詠唱してくる敵が出るたびに「またカモが来たねえ^^」ってやってた。あと、ナイトだと挑発 or 口上でターゲッティングさせてガードで捌くのが王道ながら楽しい。

世界観・ストーリー

 世界観やストーリーを体験して思ったこと。

気合い入ったファンタジー

 さっきちょっと書いたけど、最初のほうで地図が出てきたときに「おっ、気合い入ってるなこれは」と思った。ファンタジー小説の最初のほうのページにあるヤツじゃんそれ。ゲームプレイではほとんどダンジョンしか描かれない。けど、テキストで“外の世界”が語られる。想像させてくるスタイルがいいな。上手くいけばローコストハイリターン。とはいえ、このゲームではミニチュア的な図も添えられるので、そこまでローコスト感は無いんだけど。

気合い入ってると思ったところその2、ちゃんと歴史がある。当たり前なんだろうけど、歴史がちゃんと用意されてると立体感というか、奥深さというか、ハリボテではないと思わせられるよ。成り立ちが描かれると、現在の情勢に納得感がある。この世界は何度も滅亡に瀕した過去があり、その過程で文化の再構成がされたので、あらゆる種族が垣根無く共存する社会になっている、とか。かつて芋の種を運び込んだとされる錬金術師達の足跡をたどるのもワクワクする。それから、ダンジョンで出会う人それぞれに事情がある。これも人それぞれの歴史と言っていいかもね。

さらに、組織がある。その土地を支配する組織がある。権力争いなり、政治的なやりとりがある。歴史が縦の広がりだとするならば、こうした人間関係は横の広がりと言えるかも。これがストーリーにも絡んでくる。組織構造の変化によって芋の種プロジェクトの閉鎖が予見される。中盤は明るいチーフが気落ちして不安になってる。深刻な雰囲気が伝わってくる。これを解決する要因が、同じ横の広がりになるのはよくできてる。「あのとき弔った兄ちゃんが……?!」というおどろきと、それまでにやってきたことが無駄じゃなかったと感じさせてくれる展開。端的に言うと報われる。報われるのは嬉しい。素直に感動できる。

正直言うと、武者修行してるダークエルフ騎士くんが実は【剣の鋤】の諜報員かなにかで、最後の最後でミッション達成の前に立ち塞がってくるラスボスなんじゃないかと疑ってました。完全に真逆でラスボス戦で協力してくれる人だった。ごめんなさい。「実は手練れなのに偽装して無害そうに振る舞ってる?」みたいな疑念が出ちゃった。汚れたヒューマン……これだからヒューマンは……

ダークエルフのチーフ

 この人を好きにならない人とかいんの?

冒頭で軽く見物に来たダンジョンにうっかり閉じ込められてしまうところから始まるんだけど、そのときにものスゴく低姿勢で謝り倒してくる。廃墟になった町跡にある家屋を拠点にするときに、ぐしゃぐしゃの家を一人でせっせと掃除するオープニングシーンがある。素直で、真面目で、勤勉だ。口調がとても親しみやすい。親しみやすすぎてちょいちょい言い回しが可愛いときがある。手を振ってくるの可愛い。調査員の安全を第一に考えてくれる。島の人間の仕事を無償で手伝ったりしてる。図抜けて優しい。褒めて伸ばしてくれる。「みんなのおかげだよ」的なことを何回も言ってくれるし、強敵が現れても、「ここまで来たみんななら勝てるよ!」とか励ましてくれる。ゲーム的にも豊富な知識でサポートしてくれるので頼もしい。ここまで挙げた要素だけでもう既に支えたい人柄なんだけど、ダメ押しに動機が語られる。かつて幼い頃に受けた誰かの善意を、また別の誰かに渡すためだと。もうそんなんズルいやん。【薄暮衆】がパトロンになってくれることになったときに、「ダークエルフのチーフの評判がいいので反対意見がまったく出なかった」というハナシを聞いたときに「だろぉ!!!いい人なんだよウチのリーダーは!!!」と吠えた。

最後あやうく号泣するところだった

 ラスボスが災厄の象徴であるのがアツい。汚染された土壌の毒を吸って強くなったドラゴン。入念な準備を経て挑むので、気持ちが込められる。騎士くんの助けを借りて放たれるバリスタがむちゃくちゃカッコいい。最後に使ってくる技が葉の嵐!チーフの台詞がものスゴくグッとくる。最後の戦いを勝つだけでも相当な感動がある

それなのに、既に宝物庫は荒らされたあと!ここでズドーンと落とされる。でも……希望はちゃんと遺されていた。過去の錬金術師達の想いも乗っかってくる。種を持ち帰って、植えて、みんなで世話をして、ついに芽が出て、チーフの落涙……うわあああああああああ……!!ここであやうく涙腺が決壊するところだった。てかもう半分くらい泣いてた。

「世界を救う!」みたいなヒロイックな使命感に満ちた旅じゃない。もちろんそれも少しはあるんだけど、それだけじゃない。誰かに受けた善意を、また別の誰かに渡すため。ただ善い人であろうと、世界を少しでも良くしようとする人々の営みが描かれるんだ。

エンディング後にダンジョンの人々の台詞もちゃんと変わるの、ものスゴく丁寧な仕事。最後までしっかりと作ってあるからこそ、最後まで遊んでよかったと思えた。クリアしたあとしばらく呆然としたよ。本当に素晴らしいゲームでした。ありがとう……


おわり


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