投資は元手が大きい人こそ有利である2つの理由、そして元手が小さい人はどのように投資に取り組むべきか

理由1:投資効率がよく誤った意思決定をしづらい環境にあるため

投資を始めたばかりの人は元手が少ないことが多いですが、この元手が少ないという事実こそが投資初心者を苦しませます。

例えば元手30万円で元手の10%の3万円にてある投資商品を購入した場合、200%価格が上昇したとしてもたった6万円、税引き前で3万円の利益にしかなりません。

投資を始める人はお金が欲しいからこそ投資を始めるわけで、かつ少ない元手しか用意できない人こそ、そのインセンティブが強いのです。

そのため投資した金額である3万円が6万円になり税引き前で3万円儲かったとしてもそれは嬉しくないのです。

それでは投資初心者はどのような行動をとるかというと元手が30万円であれば1つの商品を30万円分購入します。

しかし元手30万円で一つの商品を購入してこの商品の価格が-50%になったらどうなるのでしょう。資産の評価額は30万円から15万円になっています。

この人は投資のルールにしたがい損切りできるでしょうか?元手30万円が15万円になった損失の事実を確定させ、次に進めるのでしょうか。

答えはNoです。ただでさえ少ない自身の資産が半分になってしまった事実をこの人は受け入れられないでしょう。結果、損切りできず塩漬けされ、さまざまな投資機会を逃していくことになります。

ここで元手が1億円の人の事例を見てみましょう。

元手1億円で10%の1,000万円にてある投資商品を購入した場合、200%の価格上昇だとすると2,000万円になり税引き前利益は1,000万円になります。元手30万円で同じ比率で同じ上昇率でリターンを得ても3万円の利益でしたが、元手1億円の場合は1,000万円の利益となります。

税引き前利益で1,000万円は少なくない金額と言えるでしょう。そのため1億円の元手を持っている人はリスクを犯し1つの商品に全ての元手を投下するインセンティブが非常に弱いです。結果的に元手1億円を用意できる人ほど小さい比率で一つの商品を購入し、その後価格が下がっても損切りしやすく塩漬けのインセンティブが弱い状況で投資をすることができるようになり、結果的に勝率が上昇します。

これが投資は元手が大きい人こそ有利である理由の一つ目です。

理由2:投資について学習するインセンティブが強いため

先ほどの例のとおり、元手が大きいと同じ価格上昇率でもリターンの絶対額はとても大きな違いとなります。もう一度、元手の10%で1つの投資商品を購入し、それぞれ200%の価格上昇があった場合を見てみましょう。

元手30万円の場合 元手30万円 * 10% * 200% - 元手10% = 3万円
元手1億円円の場合 元手1億円 * 10% * 200% - 元手10% = 1,000万円

前者と後者ではそれぞれ3万円と1,000万円で997万円の差があります。

ここで投資に対する学習のインセンティブについて考えてみましょう。仮に投資について100時間本を読むなど学習しそれによって元手の10%を200%にする機会が期待できるとしましょう。

元手30万円の場合 得られる利益3万円 / 学習に費やした100時間 = 学習1時間あたりに期待できるリターン0.03万円
元手1億円円の場合 得られる利益1,000万円 / 学習に費やした100時間 = 学習1時間あたりに期待できるリターン10万円

前者は1時間の学習で300円のリターンが期待できますが、後者は1時間の学習で10万円のリターンが期待できます。

前者と後者でどちらが投資について学習するインセンティブを高く保てるかは一目瞭然です。現実の投資の現場では、いついくらの利益が出るかでないかもわからない手探りの状態で学習を続けばならず、そのためには強いインセンティブが必要です。

後者は学習の先にある高額な利益をリアルに想像することができますが、前者はむずかしいでしょう。

これが投資は元手が大きい人こそ有利である理由の二つ目です。

元手が少ないひとも有利な面がある

元手が少ない人が投資をする場合の不利な側面について触れましたがここで有利な面についても触れておきます。

元手が少ない人が有利な面は、それは投資の学習における費用対効果が小さいということです。

「理由2:投資について学習するインセンティブが強いから」にて元手が大きい人ほど投資の学習について強いインセンティブを保てると説明しましたが、ここで学習における機会費用についても説明しましょう。

元手が30万円しか用意できない人は、本業である仕事の報酬が低いケースが多いです。なぜなら本業の報酬がそれなりに高いのであればもっと多くの元手が用意できるはずだからです。

しかし報酬が低いということは必ずしも悪いことばかりではありません。本業の報酬が低いということは投資の学習における機会費用も小さいということだからです。同様の理由で、多くの元手を用意できる人は本業の報酬が高くその分投資の機会費用が高いケースが多いです。

仮に時給1,000円の人と時給1万円の人を比較した場合、後者はより多くの元手を用意できると予想されますが、前者の方が投資の学習における機会損失が小さいです。前者は100時間学習しても10万円の機会費用しか発生しませんが、後者は100時間勉強すると100万円分の機会費用が発生します。

そのため高い報酬を期待できる人こそ多くの元手を用意できるが、機会費用が大きいがために投資の学習に時間を費やしづらいというパラドックスが生まれます。

これが元手が少ない人が有利な面です。

少ない元手しか用意できない人はどのように考え投資すべきか

まず1つ目。本業の報酬を増やすなり家計の支出を減らすなりし、1円でも多く元手を増やすべきです。

元手を増やせば増やすほど同じ勝率でもリターンの絶対額は上昇し、かつ前述のとおり心理的な環境においても勝ちやすい環境を構築することが可能になります。

次に2つ目。損切りしやすい・塩漬けしづらい仕組みを取り入れるべきです。

冒頭で説明したとおり、口酸っぱく損切りが重要だ、塩漬けしてはいけないと言われている中で意に反して損切りできず塩漬けしてしまう人の特徴は、1つの商品に元手の多くを投下してしまうことです。そして元手が小さいひとほどこの傾向が強くなります。

元手が-50%になればどれだけ意思力が強い人でも損切りすることは困難です。論理的な強い確信がない場合は分散して投資する、購入時に損切りの指値を入れておくなど、そもそも損切りしやすい仕組みを心掛けるべきです。

「損切りするという強い意思を持つ」のではなく「損切りしやすいポートフォリオを組む」のような仕組みを取り入れることが重要です。自身は弱い人間で意思力は期待できないと仮定し、意思力が弱くても正しい意思決定が行えるような仕組みを取り入れることを心がけましょう。

最後に3つ目。投資について学習し続けましょう。

投資の成功で得られるその先にあるものに強い執着があるのであれば、最初は学習によって期待できるリターンが小さくても費用を投下しつづけるべきです。

学習開始時は得られるリターンがとても小さく割りに合わないものになりますが、元手が増え学習効率が上がるにつれ、費用対効果は見合ったものになってくるでしょう。費用対効果が見合わないから取り組まないのではなく、費用対効果が見合う水準まで取り組み続けることが重要なのではと考えます。

バフェットだっていまでは世界有数の金持ちですが最初は元手が小さく学習効率だって悪かったはずです。しかし学習効率が悪いことで学ぶことを棄てていてはいまのバフェットはないわけです。学習効率が上がり費用対効果が見合うまで学び続けることが重要です(逆に学習できない、学習し続けられない投資商品はそもそも投資対象として合ってないので対象から外すべきです)。

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