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労働契約書・労働条件通知書の内容が変わります

採用時に書面等で必ず通知しなければいけない労働条件があります。通常は、労働契約書や労働条件通知書を渡して通知することが多いです。
必ず通知しなければいけない内容は労働基準法などで定められていますが、法改正によりその内容が追加になることになりました。

厚生労働省では、令和6年4月1日から施行される「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第39号)」などによる改正事項のうち、「無期転換ルール・労働契約関係の明確化等」関係について、専用のページを設けて各種の資料・情報を紹介しています。この度、その専用のページ(令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます)の資料について、追加や更新が行われました。


労働条件の明示

  • 労働契約を結ぶ(更新の場合も含む)際、使用者が労働者に対し、契約期間、就業場所や業務、労働時間や休日、賃金、退職などに関する事項を明示することです。
    無期転換ルールにより無期労働契約が成立する際、無期転換後の労働条件を明示する必要があります【労働基準法第15条】。

  • 労働条件のうち、特定の事項については、書面の交付による明示が必要です。なお、労働者が希望した場合は、書面の交付によらず、ファクシミリの送信、電子メール等の送信により明示することも可能です。

労働条件を明示する書面の様式は自由です。厚生労働省では、モデル様式を作成・公開していますので、ウェブサイトをご参照ください。


明示事項【労基則第5条】

①~⑥(昇給は除く)については、書面を交付して明示しなければなりません。
なお、⑦~⑭については、使用者がこれらに関する定めを設ける場合は、明示する必要があります。

  1. 労働契約の期間

  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準

  3. 就業の場所及び従事すべき業務

  4. 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日等

  5. 賃金、昇給

  6. 退職

  7. 退職手当

  8. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及び最低賃金額等

  9. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他

  10. 安全及び衛生

  11. 職業訓練

  12. 災害補償及び業務外の傷病扶助

  13. 表彰及び制裁

  14. 休職


改正事項とその対象者

「労働基準法施行規則」(以下「労基則」)と「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(以下「雇止めに関する基準」)の改正に伴い、労働条件の明示事項等が変更されることとなりました(2024年(令和6年)4月1日施行)。


働く方すべてに対して(有期契約労働者を含みます。)

1. 労働契約締結及び有期労働契約の契約更新のタイミング

雇入れ直後の就業場所・業務の内容に加え、就業場所・業務の「変更の範囲」※1の明示
【改正労基則第5条第1項第1号の3】
 
※1 「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の範囲を指します。


 有期労働契約で働く方に対して

2. 有期労働契約の締結時及び契約更新のタイミングごと

  • 更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)の有無とその内容の明示
    【改正労基則第5条第1項第1号の2】

  • 更新上限を新設・短縮する場合は、その理由をあらかじめ(新設・短縮をする前のタイミングで)説明することが必要になります。
    【改正雇止めに関する基準第1条】

更新上限を新設・短縮する場合の説明【雇止め告示※2の改正】
下記の場合は、更新上限を新たに設ける、または短縮する理由を有期契約労働者にあらかじめ(更新上限の新設・短縮をする前のタイミングで)説明することが必要になります。
・最初の契約締結より後に更新上限を新たに設ける場合
・最初の契約締結の際に設けていた更新上限を短縮する場合

※2 有期契約労働者の雇止めや契約期間について定めた厚生労働大臣告示(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準)


3. 「無期転換申込権」が発生する有期労働契約の契約更新のタイミングごと※3

※3 初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約が満了した後も有期労働契約を更新する場合は、更新のたびに、今回の改正による無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の明示が必要になります。

労働基準法第15条に基づく労働条件の明示に加え、

  • ①無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)の明示

  • ② 無期転換後の労働条件明示【改正労基則第5条第5項・第6項】
    (①+②)

  • 無期転換後の賃金等の労働条件を決定するに当たって他の通常の労働者(正社員等のいわゆる正規型の労働者及び無期雇用フルタイム労働者)とのバランスを考慮した事項※4(例:業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲など)の説明に努めなければならないことになります。【改正雇止めに関する基準第5条】

※4 労働契約法第3条第2項において、労働契約は労働者と使用者が就業の実態に応じて均衡を考慮しつつ締結又は変更すべきものとされています。


(注)無期転換ルールの適用を免れる意図をもって、無期転換申込権が発生する前の雇止めや契約期間中の解雇等を行うことは、「有期労働契約の濫用的な利用を抑制し労働者の雇用の安定を図る」という労働契約法第18条の趣旨に照らして望ましいものではありません。



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