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【CHC】カブスの前半戦を振り返ろう

サムネイルはMLB30球団合同note企画において、CHC担当として共に活動を行っていただているイサシキさんがオリジナルで作成され、提供いただいたものになります。

現地時間3月30日に開幕したMLBの2023年シーズンも早いもので7月に突入し、All-Star Gameの時期となってきました。

カブスも、(note投稿時点) 84試合を消化し、39勝45敗の借金6でナ・リーグ中地区4位に沈んでいます。

そんな山あり谷ありのカブスさんの前半戦を振り返っていきましょう。

今回のこの振り返りは、同企画2人目の担当者として、(私なんかよりもはるかに精力的に) 執筆活動をしていただいているイサシキさんとの共著になります。(ご本人とも認識合わせ済)

▪️ 前半戦総括

★ 全体総括

オフにスワンソンやタイオン、ベリンジャーといった選手らを補強して明らかにリビルドモードからの転換を目指したシーズンスタートでした。4月はレンジャーズ戦からマリナーズ、ドジャース、アスレチックスと4カード連続で勝ち越しを決めるなど上々のスタートを切りました。

しかし4月末の敵地マイアミでのマーリンズ3連戦で被スイープを喰らってから低空飛行することとなり、ベリンジャーらのIL入りも相まって6月頭の西海岸遠征終了時には28勝37敗と9つの借金を作って一気にファンはリビルドモードに突入。この時ほど見てて辛い期間はありませんでした。

その後の10試合は9勝1敗と巻き返して借金1まで減らしたカブスでしたが、ロンドンシリーズ2戦目でカージナルスに敗れたところから2カード連続での負け越しとなっており、7月4日時点で38勝45敗。首位レッズと7ゲーム差のナ・リーグ中地区4位に位置しています。

今シーズンは勝ち負けのムラがスワンソンのバッティングのように激しく、勢いのある時はレイズやドジャースらコンテンダーにもカード勝ち越しを決めてしまう反面、上手くいかないときは本当にどのチームにも勝てない時期が続いた印象です。

また監督であるデビット・ロスの継投策や野手の起用法も理解し難く、特に大量リードを許している場面で勝ちパターンの投手を注ぎ込む (登板間隔も開いていないのに) 采配は本当に意味不明です。それだけリリーフの層が薄いとも言えるのですが...

幸い中地区がだんご状態になっているため、まだ地区首位を狙える位置にはいます。しかしオールスター明けにはトレードデッドラインが控えており、既に大手現地メディアもストローマンやベリンジャーらのトレードに関する記事を組まれている状態。このままでは3年連続の売り手として迎えることとなりますが果たして...

イサシキさん


★ 投手陣総括

ローテーションはストローマン→タイヨン→スティール→スマイリー→ウェズネスキと技巧派の多い先発陣で始まり、現在では怪我から復帰したヘンドリックスがウェズネスキの代わりに入って経験豊富な陣容になっています。

オールスターにも選出されたストローマンとスティールの左右両エースは言う事なしのピッチング。両投手とも一時期リーグトップのERAを記録するなど安定感抜群の投球を披露し続けています。

スマイリーやヘンドリックスはそれぞれ及第点の内容ですが、その一方で今季から4年6800万ドルで加入したタイヨンはここまで背信投球と言われても仕方ない様子が続いています。7月4日時点で2勝6敗ERA7.07、bWARでは貫禄の-1.2 (fWARは0.3) をマークするなどスランプから抜け出せない投球となっており、ファンからの風当たりも日に日に強くなっている状態といったところでしょう。

リリーフ陣は開幕から大荒れ模様。当初クローザーとして期待されていたFA加入のフルマーがめった撃ちを喰らい早々とクローザーから外されてしまうと、同じくFAで加入したボックスバーガーも起用法が定まらずに失点を重ねてIL入り。そして昨季重要な場面での登板が増えた左のサイドハンド、ヒューズも膝の怪我が癒えずにILを行ったり来たりとなかなか駒が揃わない状況が続いていました。

そんな中、昨季からリリーフ適性を見せていたアルゾレイとスプリットに活路を見出したライターJr.が台頭。さらにはシーズン開幕当初に打ち込まれてモップアップに甘んじていたメリーウェザーも徐々に結果を残し始めて勝ちパターンに入るというDFAドリームを見せつけ、何とか形ある試合終盤を演出できるようになってきました。

ここ数年はかなり飛翔されているイメージのあった投手陣も、ここまでMLB最小クラスの被本塁打に抑える躍動ぶりもありながらあまり良いイメージが持たれないのには、一部投手の大炎上が関係しているのかなあと思わされる前半戦でした。

イサシキさん


★ 野手陣総括

このオフにスワンソン、ベリンジャー、マンシーニ、(ホズマー ※)、バーンハートを獲得し、打線、守備の大幅なグレードアップに成功。既存戦力のゴームズ、鈴木誠也、マドリガル、ウィズダム、エクステンションに成功したハップ、ホーナーと傍から見ればかなり豪華なラインナップが完成しました。

ベリンジャーは、MVPをとった2019年以降、故障による不調に悩まされ、22年11月にドジャースからノンテンダーFA。ドラフト時から一筋過ごしたドジャースを離れ、新天地シカゴでの活躍をドジャースファン含め多くのファンが注目していた中、ここまで打率.280・7HR・25打点・10盗塁・OPS.793 (note投稿時点) などと復活の兆しをみせており、多くのファンが歓喜しました。

球団史上2番目の大型契約で加入したスワンソンも、相変わらず打撃のムラはあるものの、打っては打率.261・10本塁打・36打点・4盗塁・OPS.759、守っても昨年SSのゴールドグラブに輝いた絶品守備でカブス1年目から攻守にチームを引っ張る存在となっています。

ただ、個人的にマンシーニがここまで少し期待外れ。
昨季アストロズで18本塁打を放った長打力は影を潜め、ここまで打率.242・4HR・26打点・OPS.662と物足りない数字。ベンチを温める日も少なくありません。さらには、Barrel%もここまでキャリアワーストの4.5%と全く打球が上がらないのも気がかりです。
先日行われたロンドンシリーズでも、チームの流れを一気に渡す痛恨の守備でのエラーも記録し、ファンからの風当たりが次第に強くなっている印象です。
(今年350打席行けるのかな。。)  

既存戦力を見ると、ニコとハップはそれぞれリードオフマンとクリーンナップをしっかりと全うしています。マドリガルも長打を狙いに行きすぎていたせいか調子を崩し、一時AAA降格を経験しましたが、John Malleeになにか魔法をかけられたのか、コールアップされた6月は打率.340・OPS.898、30日のガーディアンズ戦ではCHC移籍後初となるホームランも打ち、打撃復活を印象付けました。

鈴木誠也さんは、5月は打率.319と打ちまくっていたものの、6月は打率.177と大不振。直近7試合でも打率.083と深刻です。
コンディション不良などが影響している可能性がありそう (実際何試合か欠場してますし。) ですが、貴重なカブス打線のコアであることは変わりません。しっかりとコンディションを整え、また5月のように打ちまくって欲しいところ。

シーズン途中からは、昨年ブレイクを果たし、今年もここまで打率.282・15HR・38打点・OPS.941と大活躍を見せるクリストファー・モレル、キャッチャープロスペクトのミゲル・アマヤ、今年3月に行われたWBCのカナダ代表としてプレーしたジャレッド・ヤングなどヤングエイジの活躍も光り、後半戦に向けて少しばかり希望は持てた前半戦ではあったのかなと思いました。

Masato

※ ホズマーは5月25日にカブスからリリース。


▪️ 前半戦チームMVP

★ 投手

Masato : Julian Merryweather (RHP)

え!? メリーウェザー!? お前嘘だろ。。
いいえ本当です。メリーウェザーを選出しました。

今年の1月にブルージェイズからDFAされたところをウェーバークレームで獲得した右の剛腕投手ジュリアン・メリーウェザー。

今シーズンは開幕こそボコボコ打ち込まれていたものの、徐々に調子を取り戻し、リリーフの勝ちパターンの一角として最速102mph (正確には101.7mph) の豪速球と、Whiff%=44.6%を誇るスライダー、チェンジアップを主な武器に、37試合・36.1イニングに登板し、防御率3.47・5ホールド・FIP2.83・bWAR0.4をマーク。

被打率.248・BB/9=4.7などと不用意にランナーを溜めてピンチの場面を演出しまうところがあり、WHIPは1.49と高めですが、ビハインドで当然のように登板させられたりと監督に雑な起用をされながらも、ここまで好成績を残し続けた点を高く評価したいと思ったため、選出しました。(当然スティールやストローマンだって候補でしたよ? (笑) 普通の人だったらこの2人とかから選びますけどね。)

まさに、DFAから復活したと言っても良い素晴らしい活躍でした。

(トレードデッドラインで彼を放出して良いパッケージを貰えたら嬉しい。)

baseballsavant.mlb.com


※ ツイート動画を引用しようかと思いましたが、公式アカウントでツイートされているものが見当たらなかったのと、無断転載コンテンツが多かったため、こちらには引用致しません。悪しからずご容赦ください。


イサシキさん : Marcus Stroman (RHP)

同じ先発のジャスティン・スティールと迷いましたが、やはりここまで離脱せず、一時期サイ・ヤング賞級の投球を披露したストローマンを選出すべきだと思いました。

今季は開幕から安定感抜群の投球を披露しており、いつものストローマンが帰ってきたと思いながら見ていました。なんといっても18先発で14回QS達成は両リーグトップですからね。

今季のストローマンが好投を続ける要因は「ボールを低めに集め続けること」でしょうか。彼は元々コマンドに定評があり、ボールを低めに集めて打たせてとるピッチングが売りの投手。今季は両打者のアウトロー、インローにしっかりと投げ込んでゴロを打たせるピッチングが戻ってきた印象です。フラレボ時代でもGB%が50〜60台だったことを考えればその土台もブルージェイズ時代からできていたのでしょう。

さらにはその打たせたゴロをスワンソンやホーナーが全部捌いてくれるので、余計に相手がハマっていく試合もありました。彼の打球管理は内野守備との共同作業で生み出されたもので、まさに相性抜群です。

現在はトレードの話で持ちきり状態だと思いますが、まずは前半戦の投手陣を引っ張ってくれる投球をありがとう、というのが私の本音です。


★ 野手

Masato : Dansby Swanson (SS)

7年総額$177Mで加入した23年シーズンはここまで (note投稿時点) 打っては打率.261・10本塁打・36打点・4盗塁・OPS.759、守ってはチームトップの82試合(711イニング)でエラーは5つと要所要所でファンを驚かせるさすが昨年のSSゴールドグラブ受賞者だと感じさせる華麗な守備でここまで大きな怪我なく攻守の要としてチームを引っ張ってくれた点を評価し、Swansonを選出しました。

bWARチームトップの3.1、offensive WAR 2.1、deffensive WARもチームトップの1.5と文句のつけようのない数字です。

後半戦もCHCの新たな正遊撃手として更なる活躍を期待したいです。

オールスター選出おめでとう🎊

Baseball-Reference.com, ESPN.co.UK


イサシキさん : Christopher Morel (INF/OF)

チーム内の野手WARトップのスワンソンでも、不動のリードオフに定着したホーナーでもなく、選ばれたのは99年生まれであるモレル君でした。

7月3日現在で42試合に出場して.279/.327/.617でOPS.944とカブスファン大満足な成績に加え、既にチームトップとなる15本塁打をマークするなど、オフの肉体改造でバンプアップした成果をまざまざと見せつける成績となっているのではないでしょうか。

もし仮に開幕からいたらここまでシーズン29発ペース。あのオオタニサーンとほぼ同等の数になっていたではないかと思ってしまいます。そうだよね、ホイヤーさん?(圧)

フォームもバットを立ててグリップを下げたことが作用しているのか、昨季比でlaunchが9.1→11.6と上昇。ここに平均91.4MPH ( MLB上位20% ) を記録している打球スピードが合わさることで飛距離が伸びているとの考察もできます。

また走塁や守備でもワイルドでアグレッシブなプレーが目立ち、人一倍エモーショナルな姿はファンにならずにはいられません。

チームが苦しい状況でも、自分自身が一時期打てずに苦しんでも明るい話題を振りまき続けてくれた2年目の若武者を前半戦のMVPに選出させていただきました。

イサシキさん



▪️ 後半展望(含むTDL展望)

オールスター明けからは同地区同士での対戦が増え、他地区との対戦でも強烈なコンテンダーはブレーブスやダイヤモンドバックスといったところなので、比較的巻き返しの希望が見えている日程には見えます。先述の通り、まだナ・リーグ中地区は混戦となっているため、これ以上置いていかれずに昨季後半戦のようなチーム状態にまで押し上げることができるのであればディビジョン制覇、3年ぶりのプレーオフも不可能ではありません。

ですがそれもこれも全てはトレードデッドラインの動きにかかっています。全ては「ワールドシリーズ制覇」のために最大限を尽くすことだと思いますので、今夏もホイヤーBOには相当難しい判断を迫られることになるでしょう。

イサシキさん

オールスターが終わると一気に市場が動き始める今年のTDL (トレードデッドライン) の展望。カブスはセラーになるべきなのか? あるいはバイヤーに回って課題のポジションを補強して地区優勝、ポストシーズン争いに加わるのか?

個人的には今のチーム状況を考えたら、間違いなくバイヤーではなくセラーというのが本音です。

仮に補強をして課題を一時的に埋められたとしても、今のロースター状況ではハッキリ言ってポストシーズンに出れたら御の字というレベルのデプスだからです。

単にナ・リーグ中地区での優勝が目標なのであれば、課題のポジションをチョロっと補強するというのは良いの "かも" しれません。

ただチームとして2026年までの世界一を目指してる以上、Pete Crow-ArmstrongBen Brownといったトッププロスペクトたちが出てくるのを待ちながら、トレードバリューのありそうな選手はコンテンダーに売ってプロスペクトやメジャーでの活躍が期待できうなコントローラブルな選手を獲得するなりして将来的に上を目指せる形を下地から作りあげていくのが理想的だとは思います。


◾️ おわりに

オフに3億1000万ドルの大補強を敢行し、ここ数年のリビルドモードからの転換を目指したシーズンスタートでしたが、ここまでを振り返ってみると、期待外れかつ残念な結果で折り返すことになってしまいました。

しかし、幸いにも中地区が団子状態になっていることもあり、まだまだ首位を狙える位置にいます。

チーム状況的には今年もセラーに回ってコンテンダーへ向けての基盤作りを作る線が良いのではないかと私は感じますが、フロント、首脳陣、選手はまだまだ諦めていません。それならファンも尚更諦めずに応援をするしかありません。

トレードデッドラインではどのような立ち回りになるのかは注目していきたいと思います。

トレードデッドラインも控えた勝負の後半戦。
1戦1戦目が離せません。

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