いじめをビジネスに変える

・あなたは過去に他人をいじめたことはありますか?
・あなたは過去に他人からいじめを受けたことがありますか?
・もしかして今もいじめに悩んでいませんか?


これは人道的にどうかなぁ?。。。
と気分を害してしまう人が出てくるかもしれません。

しかしこの事実によって命を救われた人がいるのも事実です。

気分を害してしまうことを覚悟のうえで読み進めて頂きたいと思います。

私は小中高と裕福ではない家庭に育ちました。お小遣いは一度も貰わずに上京し、就職しました。
周囲の友達がお年玉でおもちゃを買っているのを横目に、私は自分で稼いだお金でおもちゃを買のが当たり前。
これは小学二年生のころから高校を卒業するまでずっとです。

欲しいものがある場合は「どうしたらそれを手に入れられるか」を常に考えて生きてきました。別にお金に執着していたわけではありません。
「何かしらの欲」を満たすための手段として「稼ぐ」というツールが存在していただけです。

それじゃ、どうやって小学二年生の私が稼いでいたかというと。

答えは「複業」です。

Jリーグが開幕した年。大好きなベルディー川崎の選手全員のカードが欲しくて稼ぎました。
友達と遊ぶ時にジュースが飲みたくなったら、その場で稼ぎました。
お年玉が欲しくても貰えない家庭に育った私は、自分の力でお年玉を稼ぎました。

そんな私がどのような稼ぎ方をしたかというと。


一つは「いじめっこ請負傭兵」です。

私が小学生のころ、上級生にジャイアンとブロリーを足して2を掛けたような輩がいました。(以降ジャイリーと呼びます)
年上年下関係なくいじめては、お金やおもちゃや本を奪いとり、みんなから恐怖とされている輩です。肉体的な暴力も半端なく、体格も小学生とは思えないほど大きく先生とそんなに変わりありませんでした。
みんな怖くてそいつには近寄らないし、周囲にいる子分的な輩も威張ってはみんなをいじめていました。

そんなある日、私はクラスの友達がガチャガチャ(ガチャポン)の前でお金をせびられている光景を目にしてしまいました。
私にはふたつ上に姉がおり、その姉のことを好きだったジャイリーは私には手出ししてこなかったのです。

その光景を横目に私は素通り…
と思いきや、気づいた時にはジャイリーにボコボコにされ、ガチャガチャのカプセルを半分口に押し込まれていました。
いつの間にか気を失っていたようです…

私は記憶が無いのですが、その場でお金をせびられていた同級生の話によると、大声で叫びながらジャイリーに石を投げつけ飛びかかったらしいのです。(普段は湧き出てこない正義感のようなものが、その光景を目にしたことで一瞬で湧き出てきたのでしょうか)
投げつけた石がジャイリーの背中に命中し、激怒したジャイリーとその子分が片っ端からボコボコにしてきた。
その間に友達は逃げてしまったとのこと。

この一件で私は前歯を無くしましたが、クラス中のみんなからの信頼を得ることになります。
翌朝登校すると、私はクラス中のみんなから「俺の傭兵になってくれ!」と頼まれ、その噂はすぐに学校中に広まり私はヒーロー的な存在になれたのです。
どうやら昨日いじめられていた友達がクラスのみんなに「大森が俺のことを助けてくれた。ボコボコにされても泣かずにジーッとしていた」と言いふらしたようなのです。
(泣かなかったのは意識を失っていただけなのですが…)

それからというもの、一人月額20円で用心棒としてみんなから雇われることになるのです。この用心棒こそが、人生初めてのビジネスです。

「こんな僕でも必要としてくれる人がいるんだ」

当時の私はこんな風に「必要としてくれた」という事実と「お金を貰えた」というダブルの感動に、正義感と稼ぐことに全力を注ぎ、私は「歩くサンドバッグ」として高校まで生きることとなります。

体の小さかった私はジャイリーと互角に対抗することもできず、常にサンドバッグ状態でボコボコにされまくりました。とても痛かったです。
毎日毎日上級生に呼び出しを喰らい、決まった時間に決まった技を掛けられる。
でも苦しいとは思いませんでした。
「また友達から必要とされる」
「またお金が稼げる」
こんな思考が続いて、客観的に見たら正常とは思えないような学校生活を送っていたと思います。

高校生になり、ほとんどの同級生が地元に一校しかない高校に進学をし、ジャイリーと再会した時のことでした。
他校から進学してきたアンパンマンに出てくるカバオ君にそっくりな同級生がジャイリーにいじめられていたのです。(みんなからカバオと呼ばれていました)
高校生になってもいじめているのか。
そんなことを思いながらも、他校からきた面識のないカバオを私は無視したのです。

それから半年後。文化祭の準備期間に入ったときでした。

カバオが自●したのです。
町営住宅に住んでいたカバオは、自宅の二階から裏山の崖下へと飛び降りたとのことでした。

結果的に未遂に終わったようでしたが、私はそこで病むことになります。
「俺があそこで無視したからカバオはいじめられ続けたんだ。そこで助けていればこんな結果にはならなかったんだ。」

小学生からずっと歩くサンドバッグとして「友達から必要とされている」という名誉と「お金を稼げる」という快感を持ち、傭兵(用心棒)として生きてきたはずが。
いつの間にか「稼ぐため」という考えだけが先行して利益ばかりを求めていることに気づいたのです。

本来「不便に感じている人の悩みを解消すること」がビジネスに繋がるはずなのに。
そんな「人の悩み」に目を向けず「お金」いばかり目が行ってしまっている自分を恥じました。

しかしカバオに会わせる顔がありません。罪悪感に包まれながらも「なんとかして責任を取らなければ」と何日も考えました。

そこで思いついたのがジャイリーを「俺というサンドバッグに集中させること」でした。
頭も良くない自分が考えに考え抜いた最善の方法。
翌日から私はジャイリー専属サンドバッグとして生きるのでした。

時は流れて。。。私が30歳になる年に、高校の時の同窓会がありました。

地元の同級生はおじさんおばさんになり、私も多少あか抜けたこともあり容姿についての話題や昔話でかなり盛り上がりました。
そんななか、見覚えのある顔に遭遇します。

あのカバオでした。顔つきは大人っぽくなり、アラレちゃんに出てくるニコちゃん大王にそっくりになっていました。(鼻穴はちゃんと顔の正面についてますが)

そこで初めて声を交わしたのです。
大王:「ども!」
俺:「あ…どうも…]
大王:「やっぱり気まずいですよね(汗)」
俺:「え?なにが?」
大王:「ほら、高校のとき。僕のせいで大森君虐められちゃったじゃないですか。なんかごめんなさい。」
俺:「いや、実は小学生の頃から虐められていたんだよね」
大王:「え?それマジ?...そっか」

沈黙…


大王:「あのあとまた二階から飛び降りちゃったんですよね。自分のせいで大森君が虐められちゃって。なんか申し訳なくて。罪悪感いっぱいで…」
俺:「え!そんなの初耳だよ!?知らなかったな。そんな気にすることないのに。ちゃんと俺も言えなくてごめん…」
大王:「実はいま東京にある精神病関係の企業で働いてるんだよね。大学院まで行って韓国に留学して。そのあと東京へ。心を病んでいる人を救いたくて。」
俺:「そうなんだ!俺も今東京だよ。今後飲もうよ!」
大王:「うん。是非!...
実はあの時の大森君がいたから、今こうして生きてられるんだよね。本当に感謝してるんだ。
人は一度精神的に病んでしまうとトコトン自分を追い込んでしまう。
自分の存在を自分で否定してしまうんだ。
そして自分をこの世からなくそうって思っちゃう。
そんなとき、いつも大森君を思い出したんだ。僕のために大森君が犠牲になって助けてくれた。彼の痛みを無駄にしてはいけないって。
自分が苦しいときは、自分の知らないところでもっと苦しんでいる人がいる。自分を責めることに労力を使うのではなく、苦しんでいるその人を助けるために生きようって。
そう決めたんだ。
いまここに僕の生があるのは、大森君。君が存在してくれたからだよ」

私は会場で泣いていました。
同窓会で感動の再会をしたと周囲には思われていたようですが、それは紛れもなく今までの苦しみから解放されたような気分。そんな涙でした。


SNS上では「1時間1000円であなたの悩みを聞きます」というビジネスモデルがあるようです。それを非難している人も多くいます。

でもよく考えてほしい。
1000円でも10万でも。
たとえいくらお金が注ぎ込まれようとも、人の命には変えられないということを。

私は月額20円でクラスのみんなの命を救ったとは言いません。
いじめられている人を助けてお金儲けしようなんてことを言うつもりも全くありません。

しかし心から困っている人がいて、それをどんな形であろうと助けてあげている人がいるなら、応援してあげてほしい。

物事を批判するのは簡単です。
でも応援や後押しできるのもあなただけだということを。

そのちょっとした勇気で人の命が救われるのかもしれません。
あなたのちょっとした勇気で。


(補足:この記事は読んでの通り、お金を稼ぐ方法についての執筆ではありません。
何かで苦しんでいる人がいたら「自分の行動で何をしてあげられるか」を考えてみてほしいのです。
私は過去に「大切な人の笑顔ひとつで救われた」という経験をしたことがあります。
深く考えずとも、できることは身近にあるものです。
SNSで傷つき、それを追い込むようなコメントが増えないように。
傷ついている人が癒されるような世界がSNSで広がることを願います。)


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