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パック詰のすすめ

2022年も4分の3が経過し、あとわずかとなりました。
夏のけだるい暑さが少しずつ懐かしくなってきています。
日本酒も、新酒がたくさん並ぶようになるまであと少しです。

お酒のご紹介です。

KIKUMASA SECESSION(セセシオン)

発売元は、兵庫県は東灘区に社を構える菊正宗酒造
創業は1659年と古く、最盛期には総石高5万石を超えるなど、業界を引っ張る言わずと知れた日本酒の大メーカーです。
パック酒のキクマサピンぎんパックは、スーパーなら日本中どこでも購入できるパック酒の代表銘柄の一つ。
基本的にはすっきりした後口の辛口酒をメインに造っているイメージがあります。

今記事の紹介酒はセセシオン豊潤しぼりたてというサブタイトルがついています。

パッケージからは甘口のお酒であるとわかります。
さっそく飲んでみましょう。

上立ち香はほんのりすっきりした甘い香り。
口に含むと舌先に酸、ほぼ同時に口中に甘みが広がり、ぶどうのような含み香が鼻を通り抜けます。
なだらかに起伏する中間。渋みが感じられます。
とろみのあるテクスチャとうまみのある質感がありながら、非常にクリアなテイスト。
後口は酸で〆。ほんのり苦みをポンと置いていくところが憎いですね。
キレがあるわけではないですが、余韻は短めです。

アルコール感をほぼ感じません。
甘みはかなり強いですが、ダレにくいバランスになっている。
正直驚きました。
こういう味を、菊正宗が出してくるとは……。

ちなみに LAWSON STORE 100 にて購入。
180ml で234円(税込)でした。
安すぎる

・・・

セセシオンを飲んだ翌日、同じ菊正宗酒造の大人気商品「ぎんパック」を購入し、飲んでみました。
恥ずかしながらぎんパックを飲むの初めて。
そしてそのクオリティの高さに舌鼓をうつと同時に舌を巻いたわけです(ぎんパックについてもいずれ note で取り上げられたら良いですね)。
私自身、紙パックの日本酒に対する評価は高いつもりだったのですが……。
大手メーカーがトレンドに向き合って造った日本酒が、きちんと市場で評価されているんだという実情を知ることができました(遅い)。

セセシオンのオフィシャルHPには以下の記載があります。

https://www.kikumasamune.co.jp/products/secession

どこに注目してほしいかというと、容量と価格です。

180mL カップは215円(税抜)、500mL 瓶詰は780円(税抜)。
そして一番容量の大きい900mL パック詰は810円(税抜)。
ひとつ判ることは、容量に対してパック詰は明らかに安すぎること。

180mLカップと500mL瓶は容量と価格がほぼ比例しているのに対し、900mLは明らかに廉価です。

ちなみに翌日購入したぎんパックは、1800mLでなんと1,039円(税抜)で購入できました。

菊正宗酒造はパック酒だけでなく瓶詰の商品も数多く出しています。各容器に詰める工程はすべて機械化されているでしょう。
つまり、各商品のコストは単純に容器のコストに依存するとことが大きいと思います。
当たり前かもしれませんが、パックと瓶ではこれだけ価格差が生まれるのです。

もちろん、瓶詰のデザインは非常に素晴らしいし、豪華で華やかさを演出します。翻ってパック詰というのはどうにもチープな印象がぬぐえない。紙だし。

ですがセセシオンを飲んでぎんパックを飲んで、これだけ安価に優れた商品を提供できるのなら、パック詰って実はめちゃくちゃ素晴らしいのでは……と、今更ながら思ってしまったのです。
しかも形状からして輸送にも非常に向いている。
冷蔵庫にも入りやすい。

昨今さまざまな食品が軒並み値上がりしています。
日本酒も同様です。
価格が上がることで、製造元がちゃんと潤うのならそれは日本酒ファンとして喜ばしいのですが……、実際は原材料や光熱費など様々なコスト高のせいで仕方なく値上げに踏み切っている。
つまり値上げしても潤っていない。
製造元は苦しくなるばかりです。
そこでパック詰ですよ。

紙を容器に使っている以上、長期保存には向きません。
空気に触れやすいというデメリットもあるようです。
それでも、1800mL瓶から代替して販売する手段として、パック詰はコストの面でも非常にメリットがある気がします。
長期保存に向かないというのも、裏を返せば早く消費してもらえるということ。
小容量展開を検討する場合、特に恩恵が大きい気がします。
家で気軽に日本酒を飲んでもらうという目的のための、強い味方になりうるんじゃないかと思います。

・・・

セセシオンを飲んで、まず思ったのは甘口の白ワインのようだ、ということ。
でも日本酒ならではの雑味がちゃんと感じられるんですよね。
これは合わせられる食事の幅を広げるという意味でとても大事なことだと思います。

いわゆる地酒には、同じような方向性の銘柄がいくつもありますが、どれも本格的な地酒屋に行かないと買えなかったり、通年で売ってなかったり、家庭での保存が難しかったりします。
そういう点ではセセシオンは非常に手軽。
今記事の時点ではまだまだですが、これからきっと大手スーパーなどでも見かけるようになるはず。
こうなれば地酒蔵は脅威ですよね。

現在の日本酒のトレンドを見極めて、新たな提案をしてきたセセシオン。
一升瓶からの脱却を図る地酒蔵も、大手蔵の手腕を真似てパック詰に挑戦していく、なんて未来も楽しいなと思います。

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