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パーカッションアレンジが重厚にならない理由

オーケストラの曲を作る時、特にアクションキューやバトルキュー、トレイラー的な音楽の場合パーカッションは非常に重要な役割を担います。

しかしオーケストレーションの重要性と比べて打楽器トラックの組み立て方は見落とされがちな傾向があります。ワンノートでパーカッションループがトリガーされるような音源も多数ありますが、充実したパーカッショントラックを作ろうとしてもそれだけでは不十分です。

本記事では何故パーカッションのアレンジが難しいのか、どんな時に上手くいかないのか、それを解決するにはどうすればいいのかのヒントを列挙していきます。

パーカッションアレンジが難しい理由

トラディショナルなオーケストラを書かない限り、パーカッションは弦楽器や管楽器と異なり楽器の制限が非常にゆるく、叩いて良い音が出ればなんでもパーカッションとみなされます。車のドアを閉める音でも、金属のシンクやゴミ箱を叩く音でも何でもありです。

またパーカッションは叩く場所(部屋)も非常に重要で、狭い部屋から広大なスタジオ、地下駐車場、倉庫等、面白い響きが得られればどこだって録音場所になり得ます。

こうした自由度の高さがパーカッショントラックの組み立てを創造的で面白いものにしている一方で、難しく奥深いものにしています。

僕が重厚なパーカッションアレンジの難しさを意識したのは自分の楽曲をLAの作曲家John Graham(麒麟がくるの作曲でも有名な方ですね)にアレンジしてもらった時でした。全てサンプルなのですが2:55あたりからのパーカッションに当時衝撃を受けました。

ありがたいことにかなり細かくパーカッションステムが分かれた状態のものを頂けたので、そこから打楽器の積み重ね方を読み解いた経験で得た気づきをこの記事では言語化していきます。

楽器の種類が足りていなかった

ここからは僕が陥っていた、また作曲家が陥りがちな問題を具体的に列挙していきます。

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