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腫瘍抑制因子として働くことで前立腺細胞を保護する亜鉛

 アメリカ人男性のがんの中で、前立腺がんは皮膚悪性腫瘍に次いで2番目に多いがんとなっています。 米国癌協会の2023年の予測では、前立腺がんの新規症例数は約288,300人、死亡者数は約34,700人と報告されています。
前立腺がんの罹患率は、2007年から2014年にかけて大幅に減少しましたが、最近になって変化が現れています。 2014年以降、全体的な罹患率は年率3%上昇しており、進行期の前立腺がん症例ではさらに顕著な年率5%の増加がみられます。 このような状況で、最近の研究では亜鉛が注目されています。
 
●前立腺の防御力を高める亜鉛
  免疫機能と細胞代謝に不可欠な役割を果たす亜鉛は、長い間、健康維持の強い味方として注目されてきました。 従来、男性の1日の推奨摂取量は11mgで、食事やサプリメントから摂取するのが一般的です。 しかし、最近の研究によって1日に摂取する亜鉛の量を増やせば、前立腺がんを予防するだけでなく、進行した前立腺がんに対しても抑制できる可能性があることがわかってきています。
 
 前立腺組織は、体の他のどの部位よりも亜鉛の濃度が高く、他の部位に含まれる量のおよそ10倍から15倍も存在しています。 この発見は亜鉛の摂取量を戦略的に増やすことで、前立腺の健康に画期的な変化をもたらす可能性があるという新たな説を後押ししています。

●亜鉛について科学は何を語っているのか?
 研究者たちは、亜鉛が少なくとも前立腺がんを予防するのではないかと長い間考えてきましたが、今や科学がそれを裏付けているのです。 研究によると、高濃度の亜鉛は、がん化する可能性のある損傷した前立腺細胞をアポトーシスさせることが示唆されています。また、亜鉛が前立腺細胞の生物学的構造を実際に変化させ、悪性化の可能性を著しく減少させることも判明しています。 逆に、前立腺がん細胞を調べたところ、悪性細胞では非がん性前立腺細胞よりも亜鉛濃度が低いことがわかっています。

●がんに効くる亜鉛の摂取方法
 亜鉛はサプリメントまたは食材から摂取するこができます。 亜鉛を最も多く含むのは牡蠣で、1食あたり74mgを含んでいます。 次いで牧草育てた牛肉、ベークドビーンズ、ヨーグルト(できればオーガニックのもの)と続きます。

 ただし、亜鉛の摂りすぎは健康や免疫系に有害な影響を与える可能性があるので注意することが重要です。 実際、Journal of the National Cancer Instituteに掲載された研究によると、亜鉛を1日150mg以上摂取すると、進行性前立腺がんの発症リスクが高まることが判明しています。既にがんと診断されている場合は、専門の医療従事者に相談してください。

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