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染めかえについて色々

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本日のお題:染めかえについて色々
呉服のきくや本店:https://www.kikuya.shop/

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いやー、今日は暑いです。これからどんどんこんな日が増えてくるんでしょうね。X(旧Twitter)でも書きましたが、こんなに暑いのに袷なんて着てられませんよね。私は特に暑がりなのでこんな気温(約23-24度)でも夏物を着たい気分です。

そもそも北海道から沖縄まで全く同じ時期に衣替えなんて無理があるんですから、気候に合わせて自由に衣替えしてもいいですよね。様式を重んじるお茶席でももうこだわっていないと聞きますし、暑いのを我慢して無理やりルール通りにするの、もうやめましょうよ。

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■染めかえについて色々

最近X(旧ツイッター)やThreadsにて毎日着物豆知識を配信しております。着物普及活動一環(…と言うほどのものではないですけれど)で簡単な10行程度の物なんですけれど、これでXやThreadsのフォロワーも増えるなど、意外と好評でしてしばらく続けていこうと思ってます。着物を着ていただけるようになるにはまずは情報発信して着物を身近なものに思っていただくことから始めていかないとやはりいきなり「購入」して「着る」というのはかなりハードルが高いですからね。

まあそんなわけでこのメルマガの内容とかぶることも多々ありますが、XやThreadsでは文字数が限られておりますので色々端折っていることもあります。今回は先日配信して反響が多かった染め替えについて補足を交えながら色々と書かせて頂きます。

着物って基本手仕事なのでカスタマイズ、改造はお手の物というのはご存知ですか?例えばここに金箔を振って少し豪華な感じにしたいとか、寂しいから花柄が欲しいとか…。花柄に関しては描く人が違うとタッチが違うので浮いたようになってしまいますので難易度が高いですが…。

カスタマイズ(という表現が正しいかどうかはわかりませんが)の中で比較的ご存知の方が多いのは染め替えですね。全く着物を着たことがないであろう方が結婚するときにお嫁入り道具として作ってもらった、少し派手になってしまった着物を染め替えしたいと持ってこられることも少なくありません。

というわけで今週はその染め替えをより深く知っていただくために染め替えについて色々と語らせていただきます。

・全体に色をかける場合

おそらくこれが一番多いと思うのですが、柄も何もかも御構い無しに全体に色をかける染め替えです。色をかけるというか、色を載せるというか、例えば薄ピンク地をもう少し落ち着いた茶色地にするなどがよくあるパターンです。

一般的なちりめんの生地は染め替えをするときには染料やそのあと余分な染料を流す時に生地が濡れるわけですが、通常の正絹の生地は濡れてしまうと生地が縮んでしまいます。そのため一般的な方法では一旦生地を全て解いて反物の状態(注)にした上で色をかけて、その後縮んでしまった反物を整理&幅出しをして綺麗な反物状態に戻し、再度仕立てるという順序になります。

注:一旦解いて反物の状態にするのを「解き端縫い(ときはぬい)」と言います。

おそらく八掛も表地に合わせた色がついていると思われますので表地と一緒に染めるのがお勧めです。

ただ、この方法の難点は、訪問着や小紋ですと柄の部分も全て染まってしまって柄が地色と同化してしまうこと。柄と地色の部分は下地の色が違うので柄がなくなって無地になるということはありませんが、柄と地色に同じような色が載って正直なところいかにも染め替えました、という風に見える場合が多々ございます。色無地でしたら柄が全くないので比較的色が綺麗に載るのですが…。

地色に色をかける場合は、できましたらピンク系から茶色系、ブルー系から紺系など、同系色にする方が出来上がりの色が想像しやすく、また不自然にもなりにくいです。また、全く違う色にしたい場合は色無地に限りますが一度抜染して白生地に戻し、そこからまた染め変えることも可能ですが、生地の地模様がよほど気に入っているとか、思い入れのある着物でない限り、新品の色無地の反物が3万-5万程度で手に入る現状を考えるとあまり積極的にお勧めしたくはありません。

・地色だけ色を変える場合

柄の部分は気に入っているので地色だけを変更することもできます。職人さんが柄の部分だけ手作業で丁寧に糊で防染してから地色部分に色をかける方法です。柄の部分はそのままの色が残りますので先ほど書いたように柄が同化してしまうということはないのですが、この方法はとにかく費用が高くつくというのが難点です。職人さんが柄の細かい部分まで糊伏せするので非常に手間がかかり、それに比例して費用もかかります。今まで1回だけお受けしたことがありますが、染め替えだけで10万円以上かかったような記憶があります(もちろんその柄の難易度にもよります)。

こちらの方も、先ほどの全体に色をかける方法と同じように地色と同型の色をかけることをお勧めいたします。色が乗りやすいというのは先ほど書いた通りなのですが、柄の部分は色が変わらないので元々の地色とあまりかけ離れたものにしてしまうと色が馴染まない恐れがあるためです。頭の中でイメージしていた色と、出来上がってからのイメージが違うということはよくありますので、呉服店側としてはできるだけお客様がイメージしやすい方が安心してお受けすることができます。

・一部の色だけを変える場合

ごく一部の色だけを変えることも可能です。これは仕立てたままで加工できますので意外と安いです。上前部分に大きな花柄が描かれていてその部分だけ派手に見えて着にくい、という場合にお勧めです。

いろいろな方法があると思いますが、某着物加工会社に見学にお伺いした時には着物を台の上に乗せて、その上から透明なビニールを貼り付けます。おそらくずれないように、付箋についている糊のようなわずかに粘着性のあるように見えました。その上からビニールだけ切って着物は切れない特殊なカッターで器用に花柄の部分だけをくり抜き、真っ赤な花の部分にグレーの染料を吹き付けてかなり落ち着いた柄ゆきになりました。

一部分だけ派手になっていてなんだか気になって着にくいという方は是非近くの呉服店や加工業者さんに尋ねてみてください。

・丸々染める新しいやり方

10年ほど前から「丸染め」と言われる方法が出てきました。今までは不可能とされていた、着物を解かずに染め変えるという方法で解き端縫い代や仕立て代が必要ないというのが一番大きな特徴とメリットですが、一方で染料の中にドボンと着物を丸々つけてしまうため、胴裏や八掛が表地と同色に染まってしまいます。一部を糊伏せして染まらないように、例えば上前部分に扇面の形に糊伏せ、という程度のことは可能ですが別料金がかかります。

出始め当初(15-20年前ぐらい?)は確か3万円程度だったような記憶がありますが、先ほどサイトを見ると50000円(税込55000円)から、となっておりました。胴裏も染まってもいいという方、胴裏が黄変してしまって汚く見えて気になる方でしたら色をかけることによってカラー胴裏のようになりますので挑戦してみてもいいかもしれませんが、私の印象としては少々好き嫌いが分かれる加工だと思います。

最後に、染め替えを依頼するときに気を利かせて全て解いて持ってきてくださる方がおられるのですが、誠に申し訳ないのですが、できれば解かずに持ってきていただく方がありがたいです。端縫い(裁断された反物をまた縫い合わせて1枚の反物に戻す)までしてくださっているのなら全く問題はないのですが、バラバラにして袋に入れて持ってこられるとパーツが足りないリスクがあります。もちろんお預かりするときに確認はするのですが、見落としたり間違ったりする場合も無きにしも非ずですので、できれば解きまでお任せいただいた方が喜ぶ呉服屋&悉皆屋さんは多いと思います。

以上、いろいろな染め替え方法がありますので呉服店や悉皆屋さんに相談してご自身と着物に合う方法を選んでいただければ、と思います。

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発行:新品とリサイクル着物 呉服のきくや
住所:大阪市大正区泉尾3-15-4
電話:06-6551-8022

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