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講師から見た〈良いカルチャースクール(運営会社)〉とは

 複数のカルチャースクールで長年にわたり講師をやってきた私から見た、〈好ましいカルチャースクール(運営会社)〉について若干、記述したい。
断っておくが、あくまで私に限ってのもので、多分に独断と偏見が含まれている。

1.カルチャースクール事業を主要事業、ないしは重点事業としている

ここがすべての事に関わってくるポイントである。カルチャースクール運営を事業の主体としているところは、気合いの入れ方がだいぶ違う。その事業の業績の良し悪しがストレートに会社の存亡に関わってくるから。当然、カルチャースクール運営に関するノウハウの蓄積度合も違うし、運営に熟知した人間が揃っている印象だ。お客さん(受講者)はもとより、講師に対するさまざまな配慮もなされている。情緒的に表現するならば、カルチャースクール事業に対して〈愛情〉がある。

かたやカルチャースクール運営を主体事業にしていないところは、カルチャースクール運営を事業主体にしているところよりも講師の扱いの木目が荒い。講師については、「駄目だったら次を何処かしらから探してきたら済む」ぐらいの軽いノリのところもある。そもそもそのぐらいの意識であるからか、講師に対しては上から目線気味(「やらせてやる」といった感じ)である。おそらく大切なパートナーではなく、商売上必要なひとつの道具としてしか見ていないのだろう。

もうひとつカルチャースクール事業を主体事業としていないところは、流行を追う傾向がある。儲かっているジャンル、儲かりそうなジャンルの講座開設に偏向する。流行らなくなったか、集客の停滞、減少している講座は切ってゆく。昨今だと未婚、既婚関係なく若い女性、キッズを対象とした講座をどんどん増やしている。あと業務独占資格ではなくてマイルドな資格取得の講座も。

カルチャースクール事業を事業主体としないところは、当該事業から期待する収益があがらなくなったら止めればよい。だから巷の流行を追い、講座のスクラップ&ビルドをかるがるとおこなう。講座の品揃えはあまり考えない。選択と集中。まったくもって経営の道理に適っているが、ことカルチャースクール事業については、そんなすっぱり割り切ってよいものかと私は考える。社会貢献とまではよう言わないが、昨今の窮屈な閉塞した社会のサードプレイス(つまり息抜き)の役目は十分はたしているだろう。ひとびとの多様な興味に応じるのも大切だろう。このあたりの意識がカルチャースクール事業を主体事業としていないところは薄い印象だ。対してカルチャースクール事業を主体事業としているところは、事業運営(収益の確保)を第一義としながら、その社会的意義も考慮している。

2.サービスの提供から、対価の入金決済までの日数が短い。

講師にとっては、サービスの提供(講座の実施)から、その対価の講師謝金が入金決済されるまでの日数が短ければ短いほど有り難い。多くは月中のサービス提供分が、一括して翌月の15日に入金決済される。それ以外はサービス提供3ヶ月分が、一括して翌月の10日か15日に入金決済されるが、この方式は少ない。少なくともカルチャースクール事業を主体事業としているところは前者の遣り方である。講師からすれば当然、前者のほうがよい。大手か或いは中小でも名の通ったカルチャースクールは、講師への謝金決済管理はしっかりしている。私は18年やってきて一度も体験したことはないが、もし契約した内容どおりの謝金決済がなされないならば、そのカルチャースクール(運営会社)との契約はすみやかに解除したほうがよい。

3.ブランド力がある

カルチャースクール(運営会社)のブランド力は、きわめて大切である。現時点では、歴史と在籍講師のクオリティーから、NHK文化センターと朝日カルチャーセンターが図抜けている。
この二つのカルチャースクールについては、オファーがかかったならば採算を度返ししてでも受けたほうがよい。ブランド力が高いので、他の分野(講演会や執筆依頼など)からの案件の引合いがある。その他、JEUGIAカルチャーセンター、株式会社カルチャー(各地域の商業施設の名称にて教室運営)、リビングカルチャー倶楽部等、全国各地に教室を展開しているカルチャースクールも、或る一定のブランド力を持つ。
また、地域密着型の中小カルチャースクールも、特定地域につよいブランド力を持っているものがあり、集客面では著名カルチャースクールと比肩する。

4.リアルとオンラインのハイブリッドである

かの疫病の感染拡大の影響で、売上げが大きく落ち込んだのを契機に、資金力のある大手カルチャースクールはオンライン講座を積極的に開設した。それ以降、オンライン講座は定着し、従来からのリアル(対面型)講座とのハイブリッドが定着した。最近はカルチャースクールにおいてもリアル講座はやらず、もっぱらオンライン講座のみの講師も増えつつある。ジャンルによって適性があるのでなんとも言えないが、オンライン講座に特化したスクール事業の隆盛をみると、更なるオンライン講座の充実が望まれる。とは言えカルチャースクールの本分はやはりリアル講座にありと私は考えるので、リアル、オンラインのバランスのとれた運営を期待している。


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