気を確かに
静かに喫茶店をオープンして2週間弱、目論見通りご近所の年配のお客さまがもう何度も来てくださっている。こんなにありがたいことはない。
が、一日の大半はお店に1人でおり、そういう時間には悪いことしか考えられない。当初の売り上げの目標にはまだ一度も届かず、お客様が来たら来たで謎のテンパリが発動してうまく回せず自己嫌悪に陥る。
レストラン時代の私が見たら「落ち着け」とひとこと冷たく言い放つに違いない。
お客様とのお話しも、口ばかりが先走り自分の真意は宙に浮いたままだ。
行くだけでお給料がもらえた時代が懐かしい。
ひとりで負っていたつもりの仕事も、結局は会社の名のもので手を動かしていただけで気楽なものだった、と今は痛いほどわかる。
お客様は神様ではないけど、1円でも使って下さった方には信じられないくらいの感謝の気持ちが湧く。そんな自分のピュアさに当たる。
味見と残り物だけを食べる日々で謎に2キロ痩せ、やばい時には過呼吸になる。
新社会人かよ。
コーヒーを卸してくださっているご夫婦が来てくださった時にはつらつらと不安の言葉ばかりを吐き出し、それでも、としてくださった質問
「それでもどうですか?楽しいですか?」
の質問には
「いえ!今のところ楽しいとは思えません!」
と、お手本とは真逆の返事を返した。
この場合の返事のお手本は「はい!辛いこともありますが、それもひっくるめてとても楽しいです!」である。
店にひとりでいる時間に心拍数を上げるのは心臓の打ち損とはわかっているが、不安で不安で仕方がない。
BGMをラジオにして正解だった。人の声はいい。
とにかく気を確かに。と自分に言い聞かせる日々だ。
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