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宅建士試験合格講座 免除科目 > 住宅金融支援機構

 宅建業者の従業者が受講できる「登録講習」を修了すると、宅建試験において5問が免除されます。その5問とは、「住宅金融支援機構」、「不動産の需給・統計」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「土地」、「建物」です。
 この分野は、あまり時間をかけず、過去の本試験で出題された内容について、知識の整理を行っておきましょう。


第1節 住宅金融支援機構

 もともと、住宅ローンのうち、長期固定の低金利の貸付けは住宅金融公庫(以下「公庫」という)が行ってきました。銀行等民間の金融機関が独力で行うことは難しいからです。しかし、赤字が増加したことや、特殊法人改革の流れを受けたこともあって、公庫は平成19年4月に解散し、公庫の権利および義務を承継する独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という)が設立された。機構の設立前に公庫が受理した申込みに係る資金の貸し付けについては、すべて機構が承継して行いました。
 公庫は、直接融資業務を中心としていたが、機構では、これを原則として廃止し、民間金融機関における住宅ローン融資を支援する証券化支援業務を主要な業務としました。

 

■ 1 住宅金融支援機構の目的

 機構は、一般の金融機関による住宅の建設等に必要な資金の融通を支援するための貸付債権の譲受け等の業務を行うとともに、国民の住生活を取り巻く環境の変化に対応した良質な住宅の建設等に必要な資金の調達等に関する情報の提供その他の援助の業務を行うほか、一般の金融機関による融通を補完するための災害復興建築物の建設等に必要な資金の貸付けの業務を行うことにより、住宅の建設等に必要な資金の円滑かつ効率的な融通を図り、もって国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とします。


■ 2 住宅金融支援機構の業務の範囲

(1) 金融機関が行う住宅資金貸付けの支援
① 証券化支援事業(買取型)
 住宅の建設・購入に必要な資金の貸付けに係る金融機関の貸付債権の譲受けを行うこと

1. 証券化支援事業(買取型)では、一定の買取基準を満たす民間金融機関(銀行・保険会社・農業協同組合・信用金庫・信用組合など)が貸し付けた長期・固定金利の住宅ローン債権を買取り(譲受け)の対象にしている。
2. 機構は買い取った住宅ローン債権を担保としてMBS(資産担保証券)を発行することにより、債券市場(投資家)から資金を調達している。

② 証券化支援事業(保証型)
 貸付債権を担保とする債券に係る債務の保証を行うこと

証券化支援事業(保証型)では、証券化支援事業(買取型)の買取基準と同様の基準を満たす民間金融機関が貸し付けた長期・固定金利の住宅ローンについて、機構は、住宅融資保険の引き受けを行い、その住宅ローンを担保として発行された債券等の元利払いを保証する。

(2) 住宅融資保険
 住宅融資保険法による保険を行うこと

住宅融資保険は、民間金融機関より貸付を受けた住宅ローン債務者の債務不履行により元利金を回収することができなかったことで生じる損害を補てんするものである。機構は、この住宅融資保険を引き受けることにより、民間金融機関による住宅資金の供給を支援している。

(3) 住情報の提供
 住宅の建設・購入・改良・移転(建設等)をしようとする者または住宅の建設等に関する事業を行う者に対し、必要な資金の調達または良質な住宅の設計・建設等に関する情報の提供、相談その他の援助を行うこと

(4) 融資業務(機構貸付け)
 機構は、災害復興融資、財形住宅融資、子育て世帯向け・高齢者世帯向け賃貸住宅融資など、政策上重要で一般の金融機関による貸付けを補完するための融資業務を行っています。

① 災害復興建築物の建設・購入または被災建築物の補修に必要な資金の貸付けを行うこと(災害復興融資)
② 災害予防代替建築物の建設・購入または災害予防移転建築物の移転に必要な資金、災害予防関連工事に必要な資金または地震に対する安全性の向上を主たる目的とする住宅の改良に必要な資金の貸付けを行うこと
③ 合理的土地利用建築物の建設・合理的土地利用建築物で人の居住の用その他その本来の用途に供したことのないものの購入に必要な資金またはマンションの共用部分の改良に必要な資金の貸付けを行うこと
④ 子どもを育成する家庭・高齢者の家庭に適した良好な居住性能および居住環境を有する賃貸住宅や賃貸の用に供する住宅部分が大部分を占める建築物の建設に必要な資金または当該賃貸住宅の改良に必要な資金の貸付けを行うこと(子育て世帯向け・高齢者世帯向け賃貸住宅融資)
⑤ 高齢者の家庭に適した良好な居住性能・居住環境を有する住宅とすることを主たる目的とする住宅の改良に必要な資金等の貸付けを行うこと
⑥ 住宅のエネルギー消費性能の向上を主たる目的とする住宅の改良に必要な資金の貸付けを行うこと。
⑦ 事業主・事業主団体から勤労者退職金共済機構の行う転貸貸付けに係る住宅資金の貸付けを受けることができない勤労者に貸付けを行うこと(財形住宅融資)

1. 災害復興建築物とは、災害により滅失した建築物等に代わるべき建築物等のことをいう。
2. 合理的土地利用建築物とは、市街地の土地の合理的な利用に寄与する建築物等のことをいう。

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