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映画「バービー」~バービーハウスの温かい魔法

世界で最も有名なファッションドールをグレタ・ガーウィグ監督、マーゴット・ロビー主演で実写化した『バービー』

監督グレタと主演マーゴットに惚れる

マーゴット・ロビーは、1960年代バービーと同じヘアスタイルからハイヒールを脱いでもつま先が立っている足元まで、バービーになりきった可愛らしさだけじゃなく、

バービーの映画版権を自分で買って、グレタ・ガーウィグを監督に指名し、マテル社や映画会社を口説き落として全世界にヒットを飛ばす作品を作り上げた手腕がすごすぎる。

まるで完璧な世界バービーランドを旅立ったバービーが、リアル社会でアイデンティティを一度ぶちのめされ、そこから自分が何者かを探して探して行き着く先のモデルそのものみたい。

マテル社のバービーを称賛もせず否定もせず、
…それにしてもマテル社CEO陣をよくぞあそこまでコケに描けたね…(笑)

ケンの男性中心社会ともうまくわたりをつける結末もお見事。
…でも実力のない男性たちに容赦なかったね…(笑)

バービーがリアル社会で出会った老婆の美しさや、人の孤独感など他者の気持ちに初めて気づく温かいシーンなどはさすがだと思った。

何者かになる前の女の子たちに見てほしい

映画館で隣に座っていた大学生くらいの女の子たちが、バービーランドまではポップコーンを食べながらくすくすキャッキャと賑やかしく見ていたけれど、

リアル世界旅立ってからは一気に黙って集中モードで見入っていた。(私もだけど)
そのギャップが激しくて思わずその子たちの方も気になってチラ見。(笑)

何者でもないない自分が何者かになるまでの、社会に出てアイデンティティを一度ぶちのめされる段階って誰にでも訪れる。
そのさなかの女の子たちに見てほしい!

バービーハウスへのこだわり

お人形やおもちゃが大好きな私ですが、リカちゃん派でしたからバービーでは遊んでいません。

この映画での廃盤バービーたち(妊婦など売れなかったモデル)や、へんてこバービーたち(子どもに乱暴に遊ばれて無残な姿になっちゃった子)への愛と優しさ。結構ここがポイントでした。

エンドロールでいろんなモデルのバービーといろんなモデルのケンが大集合するのも楽しすぎた。

さらに一番気に入ったのはバービーランドの作り込みとドリームハウスへのこだわり!

ピンク過ぎて世界中で品薄になったらしいロスコ社のフューシャピンク、
ハウスには「役者が小さく見える」仕掛けも。

ハウスには階段が無くて、お人形遊びの時ボディをつかんで上下階を行き来するあの「お人形遊びの手ごたえ」が映像見ただけで感じられる。
すごいなぁ。

おもちゃのいいところは、幼い時の「遊びの手ごたえ」を何年後でも何十年後でも思い出されるところだと思っていますが、
映像でも感じられるんだね。

グレタとマーゴットがそこにこだわったところが、単に「お人形」としてのバービーじゃなくて、「お人形遊び」をしていた幼いころの自分が「夢見ていた世界」を表現したかったってことじゃないかな。

さらに、その「夢見ていた世界」は、現代では誰にとっても「古い価値観」でしかないのだけれど、ほかの映画でもグレタが大事にしているであろう「なりたい自分になること」を、映画を作ることで現在進行形で追い求めている。
それが自分の「夢」なんだ、というところがすごく好きなんです。

もう若くはないけれど、今まさにその時代を生きている映画館で隣に座っていた女の子たちみたいな子たちが「夢を見ている」「夢をバージョンアップさせている」のを見るのも好き。

映画の中のバス停に座っていた誇り高き老婆(衣装担当の方らしい)やマテル社のバービー生みの親(ルース・ハンドラー)もそんな感じに描かれていますよね。

私たちは道を歩く時、いつも小さかった頃の自分と一緒に歩いている。私たちはいつも、自分たちがなりたかった自分を今の自分に融合させていいる。(グレタ・ガーウィグ)

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」プレス
↓下記の記事より拾いました

しかし・・・です。

グレタとマーゴットが出演者とこの映画を撮るために全出演者と一緒に見たという30本の映画のラインナップを見たけれど、ハリウッドや欧米ものばかりで、アジア映画なんか1本もないのね。

全然グローバルじゃなくない???(「空気人形」ぐらい見ておくべきじゃない?)

「全世界」とか言っても地球の片側面だけで、ほかの世界を全く無視して最先端を行っているあたり、それじゃ必ずしもアジア人には受け入れられないでしょう。
文化の違いがあると正直思った。

おまけ

大変だっただろうけど、バービーの世界観を作り上げる楽しかったんだろうなぁ~意外とアナログな撮影手法。


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