プロジェクトマネージャ試験に20代で独学合格した話(2022年秋期IPA)

 タイトルの通りであるが、ITの国家資格において、合格率15%、合格者平均年齢約40歳の難関資格に20代で合格することが出来た。
 その勉強リズムが自分に合っているのではないか、今後の自学自習のモデルになるのではないかと思い、備忘録として記す。




《プロジェクトマネージャ試験とは》

  • ITの国家資格の最高峰(専門分野で9つに分かれたうちの1つ)

  • チームの進捗だけでなく、プロジェクト全体を統括する役割

  • 論述試験があり、問題文を読むだけでなく自分の知識を言語化する必要がある

 専門を極めたスペシャリストではなく、全体を包括的に見るゼネラリストとして、経験を積めば年収1,000万円も視野圏内に入れることの出来る仕事である。 
 無論、私はプロジェクトマネージャー(以下、プロマネ)としての実務経験はないが、それでも合格に値する論文を記載することが出来た。
 そこも踏まえ、以下、各試験科目に対するアクションを記載していく。


《受験略歴》

  • 2021年 春期IPA 応用情報技術者
    →合格

  • 2021年 秋期IPA プロジェクトマネージャ試験
    →不合格(午前Ⅰ:免除 / 午前Ⅱ:合格点 / 午後Ⅰ:不合格点 / 午後Ⅱ:足切り)

  • 2022年 春期IPA システムアーキテクト試験
    →不合格(午前Ⅰ:免除 / 午前Ⅱ:合格点 / 午後Ⅰ:不合格点 / 午後Ⅱ:足切り)

  • 2022年 秋期IPA プロジェクトマネージャ試験
    →合格

 ある程度の知識の土台、受験の場数は踏んでいる上での話となる。


《使用教材:インプット》

  • 情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2021版(翔泳社)

  • プロジェクトマネージャ 午後1 最速の記述対策 2022年度(TAC出版)

 私は基本的にKindleで購入している。タブレットでの勉強法は後述するが、重い本を持ち歩きたくないのも理由として大きい。


《使用教材:アウトプット》

  • 過去問道場(プロジェクトマネージャ試験ドットコム)

  • プロマネ 公開模試(TAC)


《試験対策:午前Ⅰ》

 免除したので軽く触れる程度とする。
 応用情報技術者試験を合格すると、2年間午前Ⅰの試験を免除することが出来る。
試験問題は応用情報技術者試験の問題から、ランダムに30問出題されるらしいので、もし対策が必要になる場合は後述の過去問道場をすると考えている。


《試験対策:午前Ⅱ》

 プロジェクトマネージャ試験ドットコムをほぼ毎日使用していた。
 こちらは無料で使わせてもらってもいいのかと驚くくらい、とても完成度の高い学習サイトとなっている。

 中でも、約20年分の過去問から午前Ⅱの模試を作成する過去問道場という機能を使用し、ほぼ全ての問題を正解するまで、模試→復習を繰り返していた。
 これを2021年の秋にほぼ総ざらいしてたので、2022年は振り返り程度の学習だった。やり込んだ反面、答えを覚えてしまっている状態になっていたのは午後への反省点となる。


《試験対策:午後Ⅰ》

 個人的にはここが一番の鬼門だった。
 午前の問題とは異なり「答えがある中から選ぶ」のではなく、「問題文(サンプルケースのプロジェクト)で、プロマネが判断した理由や背景を、学んだ知識と結び付けて簡潔に述べる」ことが必要となっていく。

 つまるところ、午前Ⅱで「このキーワードはこの答え」のように反射的に答えて点を求めていては、その用語の本質を深く理解出来ておらず、故に私は苦戦を強いられた。

 また、合格した今だからこそ言えるが、個人的な話ではあるのだが、参考書選びが自分に噛み合わなかった節も否めなかった。
 用語の意味を教科書的に読んで勉強したかった私にとって、筆者の情熱的な言葉がどうにも馴染めなかったのと、上記の通り「午後Ⅰ」という試験区分を問題視したい一方で、この参考書は学習内容ごとに章立てされていた。

 もし買い替えるとしたら、私は午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱで章が分かれている下記を選んでいたと思う。

  • 2022 プロジェクトマネージャ 「専門知識+午後問題」の重点対策


《試験対策:午後Ⅱ》

 論述、論文を書いていく試験科目となっている。
 プロジェクトマネージャとして必要なスキルに沿ったテーマが与えられ、それに絡めた自分のマネジメント経験を記載していく。

  • プロジェクトの概要:800文字以内

  • プロマネとしての行動:800文字〜1,600文字

  • 行動結果:600文字〜1,200文字

 以上、最低2,200文字を120分で書く必要がある。

 これに対する私の勉強法だが、まず参考書に記載された模範解答を一度全て写経した。本番では筆記具を使用して紙に記載するが、ここではPCにキーボードで打ち込んでいた。

 そうして「論文の書き方」のパターンを把握したのちに、「実務をこのパターンに落とし込むとどう書けるか」を考えることにした。
 本番の問題でどのような出題がされるかわからない以上、実務をベースにした論文を記載できた方がイメージが楽になると思ったからである。
 私はプロマネではなくただのSEだが、プロジェクトを全体から見るとどのような規模か、その中でリーダーはどんなことをやっているかをイメージしながら、論文を記載していった。

 そうして自分の中で論文の引き出しを作った後、公開模試を利用して「書き切る練習」と「他人に見て添削してもらう」場数の経験値を積むことを意識した。
 本試験の値段よりやや割高だが、「間違えられる経験」を積めるのは貴重なものだと考えている。


 簡単ではあるが、以上の観点を意識した勉強で、私は晴れて合格を手にすることが出来た。
 また、具体的な学習環境は以下の通りである。


《学習環境:勉強道具》

  • iPad Pro+Apple Pencil

 これに勝るものはない。
 Kindleで参考書を購入し、ノートアプリにひたすら書いていく。さらにSplit Viewという機能を使用すれば、1つの画面に2つのアプリを立ち上げることが可能なので、私は画面の左に参考書、右にノートというスタイルで勉強している。

 Proじゃないと駄目なのかと問われれば、そんなことはないと考えている。大事なのはある程度の画面の広さであるので、それこそ無印iPadや、なんならAmazonのFire HD 10なら2万円程で似たような学習環境が再現できるだろう。
(iPadをオススメするならiPad Airとなるし、Fire HD 10での学習の感覚もわからないので一概には言えないが、その辺のガジェットの話題は割愛)

 「スマートな勉強法をしている自分格好良い」という冗談混じりのナルシストは、勉強を楽しく続けられる理由になったと思う。


《学習環境:モチベーション》

 自学自習の生活も3〜4年目になってきたこともあり、「誰が何をしてようと自分のペースで自分のやりたい勉強をやる」のリズムが確立されてきている。
 ただ、その中でも同じ年齢、同じ目標を持った同期に出逢えたことはこの上ない幸運だと思っている。

 そして、数年間勉強のモチベーションを持ち続けられているのは、東大卒クイズプレイヤー伊沢拓司の設立したQuizKnockという団体の、勉強に特化したコンテンツの発信のおかげである。
 そのファン達が各々自分の目標に向かう一員として、私は高度情報処理技術者の受験仲間との縁に恵まれ、自分より一歩先を行くその人に追い付こうと努力することが出来た。
 そして特に、医学部生達が医師国家試験に向けて直向きに努力を積み重ねる姿など、自分には成し得ないことを目指す下の世代への尊敬が、自分も頑張ろうと奮い立たせる理由となっている。


 以上の環境があるからこそ、私は勉強を続けられたし、これからも続けられると考えている。




《今後の展望》

 高度情報処理技術者ともなれば、流石にITパスポートや基本情報技術者の勉強を教えるにあたっても説得力となれるだろう。応用情報を取得した時からずっと言っているが、今度こそ、IT教育コンテンツの発信をしていきたい。
 また、高度情報処理技術者の資格は他の国家資格や、国家公務員の採用試験との相性もいい。高度情報処理技術者としては、2022春期IPAでは不合格だったシステムアーキテクトのリベンジなどもしつつ、別の国家資格や進路に対しての備忘録も、別途記載したいと思う。

 意図していた訳ではないが、これでほぼ論文の文字数指定(800+1600+1200)となる。

以上

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