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シャンプー=ドラッグ

俺は昔、シャンプーとリンス(トリートメントなど含む)が嫌いで親に怒られて嫌々使っていた。
髪を染める様になってもあまり変わらずで、ある時に人に髪の荒れ方を指摘されたのでハゲを恐れてシャンプーやトリートメントに(人並みのちょい下くらいには)気を使う様になった。

しかしある時、バンドの先輩にバスルームを貸した時、シャンプーを使っている事がよくないと指摘された。シャンプーは頭の脂を落としすぎる、リンスだけやるのが良いと言われた。
確かに先輩は会ってからずっと頭が赤髪(たまに金髪)、当時でも40代後半だったが髪はツヤツヤのフサフサで俺よりもよっぽど健康そうな髪だった。、
しばらくリンスだけにしてみたが、どうもリンスだけだと頭が痒くなったりして結局シャンプーを使う様になった。
ついでにリンスを洗い流すのが勿体無くて少量のリンスを髪につけて洗い流さないというのを実践したら周りから「毛穴がつまる!」と大バッシングをうけた。

程なくして段々とシャンプーやリンスの質が落ちたり、髪が気になって質を上げたりを繰り返す内に自分にとってのコレ、というのが決まらなくてもどかしくなり色々な洗髪法を学んでいると「湯シャン」を知った。
知人の女性2人が実践しており、お湯だけで長時間洗うことにより髪をしっかりと洗いながらも脂を落としすぎないので良いという。
確かに2人ともとても艶々の美しい髪だった。

それに、とても理に適っていると思った。
確かにシャンプーは髪の脂を落としすぎるのだろう、かと言って髪の潤いを補填するリンスだけでは殺菌力が無い。
なので、お湯だけでしっかりと雑菌を洗い流しつつ、お湯だけなので髪の潤い、油分はしっかりと残る。うむ、こりゃ確かに理に適ってるわい。

…いや、ちょっとまてよ、コレっておかしくねえか?

俺は思った。ちょっと待て、じゃあそもそも我々は何でシャンプーとリンスを使っているのだ??と。

まずは、シャンプーとリンスの役割を整理し直そう。
キューティクルとか何とか色々あるが、ここではシンプルに「潤い」「汚れ」だけで考える。

・シャンプー…髪の汚れ、潤いを洗い流す力がある


・リンス…そのシャンプーが洗い流した潤いを補填する力がある。しかし毛穴が詰まるので洗い流す必要がある。

これたけ見ると互いに綺麗に役割の分かれた合理的な関係に思える。だが、ここでお湯の性質を見てみよう。

・お湯…髪の汚れを流しつつも潤いは流さない。

お湯、パーフェクトじゃねえか。

お湯が最近開発された最新のテクノロジーとかと言うのであれば分かるが、お湯は何十万年も前から人間の生活にあるものだし、コスパはガス水道代だけと、シャンプーリンスが結局お湯も必要とする事を考えればゼロに近い。
そしてシャンプーとリンスはここ百数年の間に開発されたもので、古来、人々は元々湯シャン(水シャン)をしていたことになる。

もしかして俺達現代人は洗髪に関しては寄り道の途中、あるいは退化しているのではないか。

例えば近い未来、湯シャンに戻った未来人達が過去の人々のおかしな風習を振り返ってたとしよう。

「なあ、お前、昔の人ってどうやって髪洗ってたか知ってるかよ?」

「え?普通にお湯だろ。」

「いや、どうやらシャンプーとリンスというのを使っていたらしい。」

「えっ、何それ?」

「シャンプーってのは髪めちゃくちゃ汚れ落ちるんだけどさ、そのせいで潤いも洗い流すらしいんだよ。」

「いや、ダメじゃん。」

「うん、だからリンスってのを塗って潤わせてたわけ。けど、そのリンスはベタベタするし、毛穴とか詰まるらしい。」

「え、じゃあどうすんの?」

「つけた後に洗い流してたらしい。」

「昔の人、何やってんの!?」


と、笑い話にされてしまう事必至だ。
更に言えばハゲが進行しているのは近現代人だけだという説もある。
これに関しては平均年齢の上昇、情報社会化した事によるストレスなども関係していると思うので一概には言えないが、まあ未来人の解釈として以下もあり得るだろう。

「でさ、そんなシャンプーとリンス繰り返してたら髪も傷むじゃん。やっぱハゲが増えたらしい。」

「昔の人はバカなの?」

「で、それだと困るってんでどうなったと思う?

育毛サロンが流行ったらしい。

「昔の人ヒマなん!?」


ヤバい、このままでは未来の人にバカにされてしまう、、。
思えば、あの湯シャン2人には何か俺たちには見えない何かが「見えて」いた。
未来が見えていたのかもしれない。

俺も早くそっちに行かなければ…
未来が「見え」なければ…!

しかし俺の湯シャンは全然長く続かず、すぐにシャンプーしたくなってリタイアした。

身の回りにも何人か湯シャンリタイアがいる。
そんなに湯シャンは難しいだろうか?いや、簡単である。ちょっとしたコツを語る人もいるが、基本ただお湯でシャンプー使わず洗うだけで金もかからない。
では湯シャンのデメリットを考えてみた。

・シャンプーしてないとくさい気がする
・ちゃんと洗えてない気がする
・シャンプーしてないと痒くて気持ち悪い気がする

全て「気がする」だけなのがお解り頂けるだろう。
では逆に想像しうる湯シャンのメリットはどうか。

・シャンプーやリンスへの出費が減る
・髪が健康になる
・未来が「見え」る

見よ、このデカすぎるメリット。ふわふわとしたデメリットに対してメリットが明確過ぎる。

なのに何故オレはシャンプーをやめられないのか考えた時、オレは気づいた。
冒頭に述べた通り、オレは本来シャンプーもリンスも嫌いで、出来ればやりたくないのに仕方なくやっている、という気持ちがあった。
しかし実際には違った。オレはシャンプーをやりたくてやっていたのだ。

なぜか、シャンプーは気持ちいいからだ。

髪が痛むだの何だの関係無い、その後の面倒なリンスを受け入れてでも感じたいあの爽やかさ、香り、最高に気持ちいい。

やめた方がいいと分かってるのに気持ち良くてやってしまうこの感じはそう、酒、タバコ、ドラッグ。

そう、シャンプーとはドラッグだったのだ。

オレ達は誰かに仕組まれていたんだよキバヤシィ!!

…と、別にMMRになるつもりはないが、ちょっとした発見であった。

もちろん、シャンプーやリンスには実際には湯シャンに対してメリットもあるだろうし、品種改良で髪がより良くなる物もあるかもしれない。
しかし現状、湯シャンとシャンプーどちらが良いのかは、まだギリ決めれないのが人類である。

そして俺は昨夜もシャンプーしリンスし、今日もシャンプーを使うだろう。
そして美容室にまた髪を染めに行き、髪のキューティクルがいよいよ心配になって育毛サロンにもそのうち通うかもしれない。

オレ達に未来が「見え」るのはまだ先である。

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