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【後編】木久扇師匠の後任は誰?笑点新メンバーついての考察

2024年3月31日をもって、長らく笑点を支えた林家木久扇師匠が番組を卒業しました。

1969年11月から、途中療養などで番組を休んだことはありましたが、約55年もの長きにわたって「愛すべき与太郎キャラ」として笑点に出演していた木久扇師匠。

そんな伝説的な存在ともいえる木久扇師匠の後任は誰になるのでしょうか。
前編で述べた3つの要素を中心に見ながら、新メンバーを予想してみたいと思います。

※前編をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ

新メンバー有力候補者はどんな人?

前編の記事では、私が個人的に考える「新メンバーに求められる3つの要素」を紹介しました。
1.個性的なキャラクター
2.アドリブ力
3.タフさ、鈍感さ
これらの3つの要素に着目しながら、新メンバー候補として名前が挙がっている人を紹介していきたいと思います。

新メンバー候補① 2代目林家木久蔵

新メンバー候補の最有力として噂されているのが、木久扇の弟子であり息子でもある2代目木久蔵師匠です。2007年に父の名前である木久蔵を襲名するなど二世落語家としても知られており、また様々な天然エピソードが落語仲間の口から語られることも多い師匠です。
世間では「同じ与太郎キャラである息子が新メンバー」という説がもっともらしく語られています。「黄色い着物の与太郎キャラ」というキャラクターを木久蔵師匠がそのまま引き継ぐことは、回答者のバランスや視聴者が新メンバーを受け入れるまでの心理的障壁を考慮してもベストな判断のような気がします。
また「BS笑点」「笑点Jr.」時代に若手大喜利メンバーとして出演していたことから、大喜利には慣れていることもプラス要因です。
ただ一方で、2代目三平師匠があまり視聴者に受け入れられずに降板してしまったことにより、二世落語家に対する懐疑的な声も聞かれますし、「身内を後任にするのはいかがなものか」という意見が飛び出すなど、二代目に席を譲る、というのもすんなりとはいかない状況だと言えそうです。キャラの継承を取るか、新たな風を入れるのか。番組の判断が気になるところです。

キャラクター:◎(与太郎キャラの継承)
アドリブ力:○(若手大喜利経験あり)
タフさ:○

新メンバー候補② 蝶花楼桃花

2022年の桂宮治師匠、2023年の春風亭一之輔師匠の際にも、最有力候補として名前が挙がったのが蝶花楼桃花師匠です。春風亭小朝師匠の弟子として、前座時代はぽっぽ、二つ目時代はぴっかり☆と名乗り、その愛らしいルックスが評判で人気を博しています。
2022年に真打に昇進し、翌年には江戸落語の歴史では初となる出演者が全員女性の興行「桃組」を立ち上げるなど、若手女性落語家の代表格として目覚ましい活躍をしています。
桃花師匠が新メンバーに推挙されるのは、男女平等、ジェンダーレスな時代に合った人選だから、という部分が大きいでしょう。ゲスト出演ではありましたが笑点大喜利コーナー初の女性回答者として出演を果たしたこともありましたし、番組がこれからの時代に合わせて変革していく象徴として、女性落語家がメンバー入りすることは十分考えられます。
桃花師匠も若手大喜利メンバーとして笑点特大号に出演しており、ぶりっ子キャラという個性的なキャラクターで活躍しています。
一方で既存メンバーが下ネタや男女関係を扱ったネタをやりにくくなるのでは、という懸念があるのも事実。既存メンバーや一部の配慮すべきネタとの折り合いをつけられれば、新メンバー入りは現実味を帯びてくるでしょう。

キャラクター:◎(女性、ぶりっ子)
アドリブ力:○(若手大喜利経験あり)
タフさ:○

新メンバー候補③ 3代目柳亭小痴楽

落語芸術協会に所属する3代目柳亭小痴楽師匠。前述の2名と同様に、過去にも新メンバー候補として名前が挙がっていた落語家さんです。
父親は同じく落語家の5代目柳亭痴楽師匠。2009年に57歳の若さで亡くなられていますが、三遊亭小遊三師匠らと同世代で仲が良かったこともあり、その息子である小痴楽師匠も先輩落語家たちから非常にかわいがられています。
既存メンバーとの関係性も問題なく、特に宮治師匠とは落語家ユニット「成金」に所属した言わば戦友のようなもの。新メンバーとして馴染めるか、という懸念はほとんどありません。
キャラクターはさっぱりとした江戸っ子気質。ポンポンと啖呵を切ったり、思ったことを臆さず口にするのは見ていて気持ちがいいです。一方で、現代のコンプライアンスの観点で見たときに、若干の不安がないわけではありません。
また最大のネックなのは、本人が大喜利を非常に苦手としていること。ラジオやYouTubeに出演した際にも大喜利は苦手であることを明らかにしています。

キャラクター:◎(江戸っ子、やんちゃ)
アドリブ力:△(大喜利苦手)
タフさ:○

新メンバー候補④ 柳家わさび

落語協会所属の柳家わさび師匠も、新メンバーとしてよく名前が挙げられる落語家さんです。
ヒョロヒョロの痩躯に童顔で、実年齢より幾分若く見えます(前座時代は「生ねん(しょうねん)」という高座名でした)。
若手大喜利でもレギュラーとして活躍していて、キャラクターは病弱キャラ。晩年の歌丸師匠を彷彿とさせます。
特技はイラスト。筆絵のようなタッチで描かれる独特なイラストは人気があり、SNSでも発信されています。
タフさ、鈍感さですが、少しメンタル面が繊細な印象です。SNSでのファンの方とのやり取りに苦労されたりするなど、すごく真面目であるが故に悩んでしまう面があるようです。

キャラクター:◎(病弱)
アドリブ力:◯
タフさ:△

新メンバー候補⑤ 林家つる子

2024年3月に女性としては史上初の抜擢真打となった林家つる子師匠。現在真打昇進披露興行の真っ最中ですが、今回の抜擢真打を受けて注目度が急上昇。にわかに新メンバー候補として名前が挙げられるようになりました。
2010年に九代目林家正蔵に入門。二つ目時代から明るく元気な高座で注目され、NHK新人落語大賞にも2度本選進出するなど若手女性落語家の注目株として演芸ファンにはおなじみでした。近年は古典落語を女性の視点で構成し直したネタを高座にかけるなど意欲的な活動もあり、この度の抜擢真打ちとなりました。
若手大喜利にも出演しており、アドリブ力は問題なさそうです。キュートなルックスに持ち前の押しの強さが相まって、なかなか印象的なキャラクターの持ち主です。
懸念点があるとすれば、メンタル面でしょうか。今回の真打昇進披露興行でもいろいろな面で涙を流す場面が多く、単純に感受性が豊かなだけならよいのですが、感情が揺さぶられやすい方だと世間からの声に影響されすぎないかと少し心配です。

キャラクター:○(初の女性レギュラー、押しの強さ)
アドリブ力:◯
タフさ:△

新メンバー その他の候補者たち

さて、ここまで新メンバーの候補者としてよく名前があがる方々をピックアップしてきました。
まだまだこの調子で一人一人考察していきたいのですが、さすがに記事が長くなりすぎてしまうのでここら辺にしたいのですが、もう何名か触れておきたいと思います。
NHK新人落語大賞受賞者で長年若手大喜利でも活躍している鈴々舎馬るこ師匠、謎かけやヨイショなど芸達者でなんでもそつなくこなす春風亭昇也師匠、長らく若手大喜利に出演し、立川流初の笑点レギュラーか?と噂される立川晴の輔師匠、上方落語界のニュースターとしてテレビでも大活躍中の桂二葉さん…。まだまだ候補者として名前があがる人はいらっしゃいますが、有力な候補者はここまでとしたいと思います。

さて、それでは笑点新メンバーはいったい誰になるのでしょうか。

超私的予想 笑点新メンバーはこの人だ!

新メンバーを予想するにあたり、改めて「番組がどのような人にレギュラーになってほしいか」を考えてみたいと思います。
最初に述べた3要素「個性的なキャラクター・アドリブ力・タフさ」は新メンバーに備わっていてほしい要素ですが、それに加え重要なのは「長く番組レギュラーを続けられるか」ということではないでしょうか。
半世紀以上も続く超長寿番組である笑点が、これからも60年、70年、いや100年を目指して番組を続けていくのであれば、できるだけ長く番組を支えていってくれる人にレギュラーになってほしいはずです。まだ若く長期にわたってレギュラーでいてくれる人、また多少のことではへこたれないタフさを持った人が望まれていると思います。

そんな番組が欲する人材にふさわしい新メンバーとは…。




柳亭小痴楽師匠!

です!!



「小痴楽師匠は大喜利が苦手では?」
との声もあるでしょうし
「イメージと違う」
と思われる方も多いと思います。

なぜ私が「新メンバーは小痴楽師匠」だと考えるのか。以下の3つのポイントに着目して説明していきます。

なぜ小痴楽師匠が新メンバーにふさわしいのか

1.番組の若返り

笑点はここ数年、出演陣の高齢化が課題でした。番組開始当初は司会を含めた出演者の平均年齢は30歳ほどでしたが、2000年代中盤には60歳を超え、2021年には67歳にまで高齢化が進んでいました。出演者はみなさん若々しいですし、高齢であること自体が悪いことではないのですが、歳を重ねることでスピーディーなやり取りやテンポ感が失われてきたことは否めないと思います。事実、2022年に加入した宮治師匠、2023年に加入した一之輔師匠は40代と若く、2人の丁々発止のやり取りは番組の新しい売りになっています。
番組としてはこのような若いメンバーを迎え入れることで、当初の番組が持っていたテンポ感や生き生きとしたメンバー間のやり取りを取り戻したいと考えているはずです。候補者のなかでも小痴楽師匠は2024年4月時点で35歳と非常に若く、番組の若返りという面では最適な人材です。

2.今の時代に貴重なキャラクター

小痴楽師匠の魅力は、江戸っ子が現代によみがえったかのような個性的なキャラクターです。思ったことをポンポンいうけれど、腹には残らない。威勢がよくって正直で、けど思いやりがあって面倒見がいい。なんでも慎重にものを言い、全方位に配慮をしないといけない現代社会においては非常に貴重なキャラクターです。
もちろん笑点はテレビ番組ですから、コンプライアンスなど多方面への配慮が求められます。高座の上で、ちょっと危ないことをしゃべっても、その場にいる人たちでわぁっと笑っておしまい、では済まないのがテレビです。
ただ、小痴楽師匠もここ数年はメディアで活躍することが多く、「テレビでの振舞い方」は心得ているはずです。また多少コンプライアンスすれすれの発言をしたとしても、周りのメンバーが突っ込んだりいじったりすることで笑いに変えることは可能です。そういった部分を総合的に考えても、この唯一無二のキャラクターは非常に魅力的だと思います。

3.既存メンバーとの関係性

落語家になる前から先輩落語家と交流があった小痴楽師匠は落語界でも顔が広く、笑点の既存メンバーとの関係も良好です。成金メンバーの宮治師匠はもちろん、同じ協会の昇太師匠、小遊三師匠にはかわいがられていますし、一之輔師匠、たい平師匠、好楽師匠とも親交が深く、番組にもすぐに溶け込めるでしょう。
逆に、既存のレギュラーメンバーも小痴楽師匠のキャラクターをよくご存じでしょうから、小痴楽師匠の魅力をうまく引き出したり、逆に諫めたりしながら、うまくやってくれるのではないかと思います。
笑点は、回答の面白さよりも、メンバー間のやり取りの上手さのほうが重要なのではないかと思うほど、メンバーとの連携は非常に重要な要素です。誰とでも円滑にやり取りができる小痴楽師匠であれば、すぐに番組になじむことができ、きっと視聴者にもスムーズに受け入れられると思います。

以上の3点から、柳亭小痴楽師匠が新メンバーではないかと考えます。

前述したとおり、先輩方にかわいがられ、後輩たちからは慕われる小痴楽師匠は、若手落語家のなかでもリーダー的存在であり、一部の落語ファンからは「将来の落語芸術協会会長だ」といわれるほどです。
実際に会長になるかは別としても、今後の落語界を背負って立つ存在になることは間違いないでしょう。そのような存在の小痴楽師匠に対して、番組側が番組の中心人物になってほしい、と考える可能性は十分にあるのではないでしょうか。

また直近でメンバー入りした宮治師匠一之輔師匠は、どちらも同世代では群を抜く面白さと人気を誇る、いわば”バケモノ”のような方たちです。そんな人たちのあとにメンバーに加わるのは、並大抵の人では務まらないと思います。
小痴楽師匠ほどの個性を持った方であれば、この2人にも引けを取らない活躍ができるでしょう。

…と非常に長々と書いてきましたが、これで外していたらとっても恥ずかしいですね。
もし外していたらどうぞ笑ってやってくださいませ。

いずれにしても4月7日には結果が分かりますね。楽しみにその時を待ちたいと思います。

おまけ

最後に、笑点新メンバーの投票結果も載せておきます。

笑点新メンバーアンケート 投票結果(最終版)

最終的に507名もの方から投票いただきました。
ご参加、ご協力いただきありがとうございました。

このアンケートでは、桃花師匠が1位、木久蔵師匠が2位、小痴楽師匠が3位となっています。

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