CHAGE and ASKA 「You are free」

僕は1年前、ある女の子に片想いをした。


詳しくは言えないが、とあるきっかけで頻繁に会うようになり、色んな話をして楽しく笑っていたのを、昨日のことのように思い出す。
少なくとも、僕らは「仲の良い友達」だった。

次第に彼女の明るさに惹かれた僕は、彼女ともっと親密な関係になりたいと願うようになった。そしてある日、彼女に自分の想いを打ち明けた。
「あなたが好きです。もし良かったら、付き合ってください」と伝える瞬間は、きっと今までにないくらいの勇気を振り絞ったであろう。

結論を言うと、その想いは届かなかった。


しかし、未熟だった当時の僕は、すぐにはその想いを諦めることができず、いつか彼女にもう一度告白しようと考えたのだ。
今は気まずい二人だけど、少しずつ距離を縮めてから恋人になろうと。

だが現実は非情だった。

あんなに明るかった彼女は、嘘のように冷たくなってしまった。

つい先日まで、眩しい笑顔を僕を向けてくれたあの人と同じ人間だなんて、どうしても信じたくなかった。やっぱりすぐには受け入れられず、その後も何度か距離を縮めようと試みたが、彼女の態度が変わることはなかった。

彼女は完全に僕を嫌いになったのか。
それとも、「あなたとは付き合えないから、私とは距離を置いてほしい」と遠回しに伝えていたのか。はたまた、その両方だったのか。
真意は彼女にしか分からないが、今ならそんなふうに想像がつく。

段々と僕は、もう彼女とのミゾを埋めることはできないんだと悟った。



そんなことを振り返りながら、チャゲアスの「You are free」を聴く。
今の自分に最も近い、悲恋の歌と言えるかもしれない。

君はやっと自由になった 君はもう悲しむ事もない
けれどたどり着いた約束は ふりだしより悪い場所だったね

CHAGE and ASKA 「You are free」

あの時、ごめんなさいと告げた彼女に対して、「じゃあせめて、今まで通り仲の良い友達でいて欲しい」と告げた。彼女は首を縦に振っていた。

でも、それすらも叶うことはなかったんだ。
僕たちはあの日から、「ふりだしより悪い場所」に行きついてしまった。


そんな僕に、チャゲアスは語りかける。

ひとつめの夜を越えれたら ふたつめの夜を越えてみよう
寂しさの微熱がつづいても
想わずに 想わずに また繰り返すから

CHAGE and ASKA 「You are free」

なんてやさしい言葉だろう。

どれだけ「寂しさの微熱」に苦しんだとしても、耐えなきゃいけないんだ。
今はどれだけ辛くても、想いを断ち切るんだ。

そうして幾つもの夜を越えていくうちに、傷は癒えていくのだから。


「僕にできることはもうない」。そう悟ってしまったあの日。
心の中で「それじゃね」とつぶやくように、僕は彼女を諦める決意をした。



きっと君もいつか、僕のいないどこかで、素敵な誰かに恋をするんだろう。

そんな君に、僕から伝えたいのは、ただひとつ。

君は間違えずに歩いた 僕から離れた

CHAGE and ASKA 「You are free」

僕は誰かと恋をするには、あまりにも未熟すぎた。だから、君が僕を拒んだという選択は、きっと正しかったんだよ。
そして僕も、君への想いを断ち切って、独りで歩き出すことにした。僕らの別れは(付き合ってはいないけど)間違いじゃなかったんだ。


だから、どうか、振り返らないで、「君は君の朝にむかって」おくれ。


僕のいないどこかで、幸せになってね。


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