水彩画教室
絵を描きたいなあ、とよく思う。
思ってるだけで、描こうともしない。
『へたくそだしな』の声がする。
いや!でも、描いてみたいなあ。
へたくそでいいから描きたい。
だれかに認められるために、
すごいと言われるために、
描くんじゃなくて。
ただ描いてみたい。
こんな気持ち、
いいものだなあ。
*
あ!と顔が浮かぶ。
たしかあの方、
教室をやっていたはず、と。
ネットで検索したら、いらっしゃる。
五年前に一度お会いしたことがある。
この方なら、だいじょうぶだ。
これはきっとご縁。
娘と通ってみよう。
娘も心になにかためこんでいる。
一緒に行ってみない?
と誘ったら、「行ってみたい」って。
これはもう行くしかない。
私たち自分をできることなら
解き放ちたいんだ。
*
それにしても。
描くと猫は似ている。
あの下町で私たち猫になって、
入り組んだ道を歩いて歩いて
教室に通おうと思う。
想像したら、もう笑いたい。