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幽閉蛹の脱出計画。

ベランダにレモンの木の鉢植えがある。
毎年、アゲハチョウの幼虫がにぎやかに過ごす。あの暑い暑い夏の日、あまりの暑さに、中にはうまく羽化できなかったものもいた。羽化の途中でダメになってしまったアゲハチョウ(洗濯物を取り込む時にその状態を見た)。土にうめた。ベランダは灼熱。

レモンの木に対して、幼虫の数が多過ぎて、葉っぱが足りずバランスが崩れてしまう事態もおこってしまった。けれど、もう自然にまかせることにした。葉っぱの取り合いだった。幼虫たちはまるまる太った後、蛹になる場所を探す。レモンの木にそのまま蛹になっちゃえばいいのに、と人間の私は思うけれど。どこか落ち着ける場所を探している。それで、いつもどこに行ったのかなと探すことになる。探して見つからない場合もある。室外機の側面とかだと分かりやすいけれど、こんなとこで、というのも多々ある。植木鉢の側面とか。土の袋の側面とか。

2023年冬ちかく、レモンの木に最後の幼虫がいた。むしゃむしゃ葉っぱを食べて、いつの間にかいなくなった。どこで蛹になったのかベランダを探すけれど、見つからない。

見つからないなと思っていたら、いた。

どうしたの、と思う。
自らここに行くなんて。
どうしたの。

まるで幽閉された蛹。

越冬して春になったら、この子は
このままじゃ羽化できない。
だから、移動しようと思っている。
慎重に。
よく調べて、
そーっと。

明日、決行する。