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質問力その3~対人援助の現場で使える質問する技術便利帖~

こんにちは。へびそるです。
私は普段、エンジニアのキャリア支援をしています。
今日は、前回に続き質問力について綴ります。
画像の出典:Mohamed HassanさんによるPixabayからの画像画像

こちら、私の自己紹介です。お暇があればぜひ見てやってください!

引き続き、質問力を鍛えるために本を読む

前回のnoteでは、「いい質問」が人を動かすを読んで得た気づきを書きました。今回は、残るもう1つ、対人援助の現場で使える質問する技術便利帖を読んでみます。

この本は、ミートキャリアさんのキャリアサポーター・アカデミーで講師の方のお勧めとして紹介された本です。対人援助というフレーズや本の表紙から見て想像できる通り、医療や介護の現場で働く方々を対象にした本となっています。(実際に保健師、ケアマネージャー、介護職という言葉が出てきます)
なるほど、確かにキャリアカウンセリングも対人援助だよな。それも1対1で向き合うところだったり、相手は支援を必要としているところだったりが、共通項ですよね。
では、気づきを綴っていきます。

意識は自分ではなく相手に向ける

目の前にいる相手に意識を向けているようでも、「何を話そう」などと頭のなかで考えているときは、意識が自分自身に向いています。会話を上手にリードしようとして、あれこれ考えてしまうと、相手の話を聞くことに集中できません。その結果、話の流れや内容を無視した発言になったり、反応を示すタイミングを逃してしまったりしてしまうのです。
会話では、意識を相手に向けて、その人の話を軸に、質問をしてみましょう。

引用 対人援助の現場で使える質問する技術便利帖p18

自分の聞きたいことを聞く、話したいことを話す、というスタンスだとダメだよ。ということでしょうか。
ミートキャリアさんのキャリアサポーター・アカデミーでも、「カウンセラーの聞きたいことを聞いている」場合は、「クライアントの話したいことを聞く」へ、「カウンセラーのための時間になっている」は「クライアントのための時間」へと転換するよう教わりました。
やっぱり、「これを絶対聞くぞ!」と意気込んでいるようなカウンセラーは意識が自分に向いているだろうし、クライアントの心の動きや表情に意識がいかないものだと思います。

自分自身が自問自答する

理解しているかどうかの確認は、相手に質問するだけでなく、援助職自身も自問自答して常に心がける必要があります。
アセスメントにおいて、援助の対象者からさまざまな情報を収集しても、それらの情報をどのように組み合わせ、その人をどのように理解するのかは援助職次第です。情報を分析したり、その人が語ることを傾聴したりして、その人のことを理解したつもりでも、実際のところは本人に質問してみなければわかりません。「私は〇〇さんのことは、よくわかっている」という思い込みが、援助職の視野を狭めてしまい、客観的に相手を理解することを妨げてしまうこともあるのです。
普段から、「〇〇さんに対する自分の認知は偏っていないだろうか」「視点を変えたら、どのような捉え方ができるだろう」などと自分に質問を投げかけることを心がけましょう。

引用 対人援助の現場で使える質問する技術便利帖p22

私は仕事で多くのエンジニアと接しています。そして一人一人と頻繁にコミュニケーションを取ることも多くあります。そうすると、たまに「AさんはB
さんと同じタイプだな」と思ったり、「Cさんとは何度も話しているから性格はよくわかっている」と思うことがあります。
また、私がエンジニアと接触する際には、チームのメンバーなど誰かしらがすでにコミュニケーションを取っていることがほとんどですので、そのメンバーから情報を取ることになります。その際に「Dさんはこういう人かな」と想像することがよくあります。

自分としては、先入観を排除する、フラットに臨むことを意識しています。
自分の目と自分の感覚でそのエンジニアを理解することを大事にしたい。
どこまでできているかわからないし、事実、先入観を持っていたことを後から反省することもありますが、これを意識するようになってから大けがすることはなくなりました。

質問しないとわからない、というのはまさにその通りで。
私   「この仕事、Eさんどうかな?」
メンバー「Eさんはたぶん興味ないと思いますよ」
私   「Eさんに直接聞いてみたの?」
メンバー「いや、聞いていないです」
というやりとりはよく起こります。

問われると、考える

私たちは、質問をされると、その質問に答えようとして考え始めます。外に向いていた意識が、質問されたことによって、内側へと向かうからです。
(中略)
目の前にいる援助職から直接的に質問されれば、適度な強制力も加わって、相手に問われた内容に向き合ってもらうことができるでしょう。援助職が一方的に話し続けると、相手は、話に耳を傾けているだけの受け身の状態になり、その話とは関係のないことを考えてしまうかもしれません。援助職が問いかけると、相手は他のことを考える余裕がなくなります。自分のこととして、主体的に考えてもらうためには、相手に質問をすることが効果的なのです。

引用 対人援助の現場で使える質問する技術便利帖p28

これは会議や研修などに参加することをイメージするとわかりやすいですよね。ただ聞いているだけなら、自然と違うことを考えたり、聞いているフリして別のことをやってしまいがち。でも「あなたはどう思いますか?」と質問されたら、意識を質問に持っていかざるを得ないし、発言しなければいけなくなります。おのずと主体的になる。
会議や研修以外にも、例えば、顧客クレームや勤怠不良などを起こしたエンジニアを指導をしなければならないときも有用ですね。
一方的にこちらが話すだけでなく、相手に積極的に質問をして、意識をこの会話に集中してもらえるようにする。

内接的なかかわりに質問は有効

話には「話の内容」と「話に伴う感情」の2つの構成要素があります。相手の言葉を額面どおりに受け取って、話の内容に働きかけることを外接的なかかわりと言い、それに対して、その話に伴う感情への働きかけを内接的なかかわりと言います。
質問は、内接的にかかわるうえで欠かせないコミュニケーション技術です。援助職が質問することで、自分でもはっきりしていなかった気持ちが徐々に整理されて、相手は、自分の感情と向き合えるようになるのです。

引用 対人援助の現場で使える質問する技術便利帖p30

人は、自分が思っているほど自分の感情や思いを自分でわかっていない。
だから、カウンセラーが質問することで、クライアントの感情や思いを引き出していく必要がある、ということですね。
モヤモヤしているものをハッキリさせるために壁打ちする、というのをよく聞きますが、質問をすることでハッキリさせているということなんですよね。これを自分でできる人は自問自答すればよいわけで、多くの人は難しいので、相手が要る。

なぜ?どうして?を言い換える

原因を明確にしたいときは、人に焦点を当てない質問をするとよいでしょう。「どうして、(あなたは)今まで相談しなかったのですか?」と尋ねるより、「相談しなかった理由は何ですか?」などと事柄に焦点を当てて質問します。主語を「あなた」から、「相談しなかった理由」に言い換えるだけで、質問の意図が誤解されることなく伝わります。

引用 対人援助の現場で使える質問する技術便利帖p54

私の会社では、管理職や経営とのコミュニケーションでは、なぜ?→なぜならば・・・の構文のやりとりが多いです。これは感情と事実を一緒くたにしてしまうと判断に困るからだと理解しています。だから淡々と事実のみを綴る。
逆にカウンセリングとか援助を必要とする場面では、なぜ?どうして?と質問をしてしまうと、相手を委縮させてしまう。
人に焦点を当てるのではなく、物事や事柄に焦点を当てる。なるほどなるほど。
X なぜ、やらなかったの?
〇 やらなかった(できなかった)のは何か理由があるの?
〇 やらなかった(できなかった)のは何か障害があったのかな?

質問ありますか?を言い換える

わかったことを前提とせずに、「気になっていること」「不安を感じること」「もう一度説明してほしいと思うところ」などの表現を使って確認するほうが、相手の心理的な負担を軽減することができます。

引用 対人援助の現場で使える質問する技術便利帖p59

よく私もカウンセリングのときに、「何か不明点や質問などありますか?」と聞いています。確かにこの言い方だと、不明点や質問があることを前提にしているように感じてしまうかもしれませんね。
X 何か不明点や質問などありますか?
X ここまでの説明、わかりましたか?
〇 ここまででもう一度聞きたいと思うところはありませんか?
〇 何か気になっていることがあれば教えていただけませんか?

「どうして」と「どうしたら」

私たちの思考は、ネガティブな状態にあるときは狭くなり、ポジティブな状態にあるときはより広がる傾向があります。「何がわからないのですか?」と問うより、「わかっていることは何ですか?」と質問するほうが、相手に、ポジティブに考えてもらうことができます。

引用 対人援助の現場で使える質問する技術便利帖p90

「どうして〇〇なのですか?」のような質問は、ネガティブな方向になりがちです。それは、「どうしてできないのですか?」「どうして上手くいかないのですか?」のように、「どうして」には「できない」「しない」と否定語がセットになるからです。
質問は相手に半ば強制的に意識を向ける力があるので、「どうして」と水を向けると必然的にネガティブ方向に意識を向けることになります。
いっぽう、「どうしたら」には「できる」「する」と肯定語がセットになるので、ポジティブになります。

質問で承認する

コーピング・クエスチョンとは、困難な状況にいる人に対して、どのように対処してきたのかを尋ねる質問です。「つらい状況を、どうやって乗り越えてきたのですか?」「そんな大変な状況のなかで、どのようにして頑張ってこられたのですか?」などと、最悪の事態にならずに済んだことに焦点を当てて、どのように対処してきたのかを尋ねるのです。

引用 対人援助の現場で使える質問する技術便利帖p100

カウンセリングにおいて、クライアントを承認するということは大事なことです。普段の仕事においても、メンバーの仕事ぶりを承認することを心がけていますが、「すごいですね」「よくできていますね」「さすがですね」と直接誉め言葉をかけるだけが承認ではないんですね。
正直、すごいね!とは恥ずかしくて言えない場合や、お相手がかなり年上の方だと、少々軽すぎる響きになってしまうので躊躇するときもあります。
その点、「どうやって乗り越えてきたのですか?」というように間接的に承認する言い方は、使いやすく同じ効果を生んでくれそうです。
ちなみにコーピングとは、対処する、切り抜けるという意味を持つcopeに由来する言葉だそうです。

相手が沈黙したら・・・

対応2 今の状況を質問する
「今、どのようなことを考えていますか?」「思い浮かんだことは、どんなことですか?」などと尋ねてみましょう。そこから、話を掘り下げていきます。

引用 対人援助の現場で使える質問する技術便利帖p127

カウンセリングとは少し違う話を。
私は仕事上、ネガティブな面談もよく行います。顧客クレームや重大なミス、明らかな能力不足が顕在化している場合などです。
そういった面談は重い雰囲気ですので、沈黙もよく起こります。
沈黙に対しては、ひたすら待つ、しか策がありませんでしたが、なるほどこれは勉強になりました。
私の経験上、沈黙する場合というのは、答えにくい質問を受けたときや難しい選択を迫られてすぐに答えが出てこないようなときが多いですので、発言することの重みがグッと増している状態です。こんな発言して揚げ足とられないかな、とか。
そこに「いまどんなことを考えていますか?」「どんなことが思い浮かんでいますか?」と、直接の答えを聞きにいくのではなく、相手の心情を聞きにいくということですね。それによって新たな展開が開けるかもしれません。

ここまで長文駄文をお読みいただき、ありがとうございました!

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