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ニワトリをさばいた話と、培養肉。

読書の秋、みなさんいかがお過ごしでしょうか。家の積読を確実に消化する「読書の秋」に加えて、今年は「思考の秋」にしたい。
というのも、一度読んで再読したのがこちらの2冊。
「書く習慣(いしかわゆき)」
「キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々(品田遊)」
ちょっと調べてみたら、ほとんど自分と同世代で、しかも毎日ノートを書いてらっしゃる。書かないことにはなにもはじまらないのよね。

培養肉の普及によって、価値観は変わるかも!?

「キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々」で1度目から気になって付箋をはっていたのが、p39「培養肉」の話。
イスラエルで本格的な培養肉生産施設が作られたらしく、今後、①培養肉が当たり前になった世界では、畜産肉を積極的に食べる理由は味の優位性のみになる、②畜産肉を食べることが残虐であるなどへとコンプラ意識も変化していく可能性が示唆されていた。

思考その①「”培養肉"って、すごく合理的でおいしくなるだろうけど、それでいいんだっけ?」

ニワトリとおしゃべりする私 当時4歳(笑)

保育園の頃、私の朝は、鶏小屋に行って卵をところからスタートした。今でも、秋田出身の父方の親戚からは、年末になるとニワトリが1羽絞められてごちそうとして送られてくる。これまでの人生、一体何匹のニワトリのお世話になって生きてきたのか分からないし、これからもスーパーで白いトレーにのっけられた100g64円の胸肉を安いと言いながらカゴにいれる人生を送るのだけど、一度も自分で絞めた経験もないし、有事のとき大丈夫かとか、自分の知識見聞を広めたいとか、スキルをあげたいとかいう気持ちがずっとあった。

いろんなご縁もあって、今年、念願(?)叶って、生きたニワトリを捕まえ、捌く経験をした。
まず生きたニワトリを捕まえるのが難しい。ふつうに彼らは小屋の中を走っているし、ばたつく。枝にとまっているニワトリの足を不意打ちで奇襲することに成功。続いて、2人一組で、ニワトリの首を落とす人と、暴れるのを抑える人に分かれて、一匹のニワトリの命をいただいた。キュッととかかわいいものではなくて、グルングルンと首をなんども回して、骨をギリギリとナイフで切り落とす。その後、身体を逆さにしてしばらく血抜きをして、お湯につけて羽をちぎったら、あとはクリスマス時期にみかける七面鳥の身体っぽくなる。もはやそこからは肉。
自ら志願したとはいえ、首を切り落とす側になれなかった自分。躊躇してしまった理由をいまだ言語化できていない。人生であれだけ食べているのに。

このときの解体したニワトリは、食肉用ではなく卵用に品種改良された+大人のニワトリだった。食肉用のニワトリは、通常成長に5ヶ月かかるところを、成長スピードがはやまるようにずっと照明をつけて、50-60日で出荷されるらしい。(※ニワトリは平均寿命10年)
今回解体させて食したお肉は、正直いうと、食べられる肉の部位はごく少量で、かたいし、くさいしで、おいしく食べるのはとても難しかった。

今回の経験を通じて思ったことは、「昔は~」「食育のためにも~」「動物愛護の観点で~」とは全く空想論を言えるようなものではなく、おいしい食肉用に積み重ねられた人類の知見にけっこう感謝するきっかけにもなった。

じゃあ、培養肉ができたら…動物福祉とか言わずに、なんの呵責もなく、安心安全に、命を殺めずに、おいしい肉を食べれるのかもしれない…
で、それでいいんだっけ?ニワトリの命1つもまともに「いただくこと」ができないのに、なぜか少しだけモヤモヤともする。

思考その②「ハラル培養肉って、あるのかな?」

本を読んで、もうひとつ思考がとんだのが、インバウンドで日本にやってくるイスラム圏の方々がよく課題にされるのが、「日本食食べたいけど、ハラル認証じゃない!高い」ってこと。ハラルフードとして、培養肉はどう捉えられているのだろうか?ネットでみる限りでは、こんな風にイスラム法学者は捉えているらしい。

一般的に以下の基準を満たせば、培養肉はハラールであると結論づけています。
鶏や牛など、食べることが許されている動物の細胞株を用いていること。
細胞を採取する動物は、イスラム法に則って屠殺されていること。
細胞に与える栄養分は食べることが許されており、流れ出た血液、アルコール、不適切な方法で屠殺された動物や豚から抽出された物質など、禁じられた物質を含んでいないこと。
培養された肉は食用にでき、人体に害を及ぼさないことが、その国の食品規制機関などの専門家により確認されていること。

培養肉はハラールになり得る、イスラム教の指導的学者が見解を発表 – Framtiden



そういえば、カップヌードルには、よく分からない謎の肉が入っている。
しばらく食べてないけど、あれはなんの肉なのだろうか。


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