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スタートアップにおける法務機能立ち上げについて言語化してみた

どうも、Asobicaのすとうです。X⇒(gomashioJr)
約1ヶ月振りのnoteとなります。ちょっと時間が空いただけなのですが、広報チームからは「最近noteの記事作成サボってませんか?」というお言葉をいただき、締め切りに追われる作家の気持ちがちょっとだけわかりました。
実はその間、「スタートアップにジョインしたら妻にXのアカバレした話」という内容をドラフトしたのですが、公開ボタンを押す勇気が出ずお蔵入りしただけで、サボってはないんですよ。

さて、本日のメニューはこちらです。


今回のnote記事を書こうと思った背景

本日は、スタートアップにおける法務機能の立ち上げについて取り上げたいと思います。
スタートアップのコーポレート機能って、最初は数字を整理するため経理面にフォーカスされる印象が強いのですが、法務機能やコーポレートIT機能も早めに立ち上げることで結果的に事業をドライブさせることができるんですよね。
ただ、スタートアップの法務機能の立ち上げについて取り上げる記事があまり見つからなかったので、自分の経験を備忘録的に記載するとともに、スタートアップにおける法務機能の重要性の認知が少しでも高まればよいなと思い、今回noteを書くことにしました。

読んでもらいたい方々

なんとなく、以下の方々に少しでも参考になればよいなと考えています。

①スタートアップで法務機能立ち上げようとしている方々
②スタートアップの法務業務に興味がある方々

【重要!!!】ちなみにAsobicaでも2人目の法務メンバーを募集を開始しました!

上記の採用エントリーでも、あるいはXへの直接DM等でも構いませんので、ご興味ある方はぜひご連絡いただけると嬉しいです。

はじめに

今回の記事作成に当たっては、以下の前提があります。

①最初に法務業務を担当したすとうは特に法務スキルのバックグラウンドはない。
②現在、Asobicaは法務担当が専任で1名存在。
③アーリーからミドルフェーズの法務機能立ち上げについて言及。
④BtoB向けSaaS事業が前提。

上記前提を元に、私が感じたことをつらつら記載していきます。

法務機能立ち上げについて

Asobicaにおける法務業務

いざ法務機能を立ち上げる際、法務業務ってなにすればいいの?みたいな状況になろうかと思います。
この点は、LegalOn Technologiesさんがまとめている記事が参考になりまして、弊社も概ねこちらの記事に記載されている業務内容が主となっています。

ダイジェストで記載すると以下ですね。

【法務の基本的な3つの役割】
①臨床法務:訴訟などのトラブルが「発生した際」に対応する法務のこと
②予防法務:トラブルが「発生する前」に、それを予防する対策をする法務のこと
③戦略法務:経営戦略を踏まえた法務のこと

【法務の具体的な仕事内容】
①契約・取引法務
②契約書の作成及び確認
③紛争(訴訟)への対応
④機関法務
⑤コンプライアンス推進
⑥社内規程の整備
⑦労務のサポート
⑧法律相談の対応
⑨弁護士との連携
⑩知的財産権の管理
⑪債権の管理・回収対応
⑫法令調査

株式会社LegalOn Technologiesが掲載しているLegalForce Columnnより抜粋

この後、上記を踏まえながら、法務機能の立ち上げ等に関して言及していきます。

法務機能の立ち上げで最初に取り組むべきこと

個人的には、法務機能を立ち上げる際に最初に行うべきことは、サービスの利用契約書(申込書、利用規約等)の内容の整理と考えています。
契約内容が自社の役務提供内容と見合っているか、それを踏まえて内容が法務リスクを合理的な水準に抑えられているものになっているか、という観点を整理するイメージです。
事業推進と直結する部分なので、この部分の整理は早急に着手すべきです。
結構、アーリーな会社だと利用規約と役務提供が見合ってなかったりするケースも多く、会社として法務機能のレベルが如実に利用契約書の文言に現れたりします。
また、法務リスクを合理的な水準に抑えているかという観点は事業継続性に多大な影響があるため、その見直しは非常に重要です。
例えば極端な例ですが、「役務提供の過失・事故があった際に、過失の程度に限らず損害賠償を無制限で負う」、みたいな文言にしてたら事業継続性を損なうレベルで法務リスクを過大に負っている状況なので、改善の必要があったりします。(さすがにそんな内容見たことないですが。)
顧問弁護士との連携やツールを利用しながら、早急に見直しを図りましょう。

法務機能の立ち上げで価値を発揮するツールあれこれ

法務機能に関して、昨今様々なLegal Techサービスがリリースされています。弊社でも複数のツールを利用していますが、レベルの高い価値が提供されていることに本当に驚きます。
できるだけこのような投資に積極的になるスタートアップが増えるといいなという願いを込めて、自分が利用したという観点にはなりますが、立ち上げで価値を発揮するツールご紹介します。
ちなみに完全に自分の主観で記載するだけなので、PR案件じゃないです。

①未上場企業の機関法務のペインをほぼほぼ解消する強い味方、smartround

すでに私の記事で何回か紹介していますが、何回でも紹介します。
株主総会の事務手続きに溺れていた私を救ってくれた命の恩人です。
スタートアップ企業に入り、自分で総会対応の実務をまわす際、最初に感動したツールです。
未上場企業において、株主総会対応をマニュアルで行っている企業はすぐにいれるべきだと思います。
最初の段階で株主情報をすべて登録する必要がありますが、そこを乗り越えれば「これぞSaaSによる業務課題のペイン解消や!」という世界が広がっています。委任状の回収、決議項目の設定、決議に必要な議決権の回収状況をシステム上で簡単に管理してくれます。

②契約法務の社内外コミュニケーション、ステータス管理、台帳まで一気通貫に管理、Hubble

契約書締結までのバージョン管理と承認までの社内外コミュニケーション、電子サインとの連携、台帳機能が一連で管理することができ、運用がスムーズになりました。法務メンバーが感激しているツールでして、おススメです。

③契約書のAIレビューの精度で文言チェックを自動化、プロダクトでペインを解消するお手本のSaaS、Legal Force

AIレビュー機能を利用して、レビューした契約書の変更点を自動で洗い出し、新旧対照表としてエクセルにまとめてくれる機能はとても役立っています。契約書のバージョンレビューはもちろん、社内で規程変更をする場合の新旧チェック、上申用の資料を即座に生成してくれるので非常に助かっています。
また、実はLegalForce内で、各種規程や契約書の雛型を自由にダウンロードすることができます。当時、規程の整備も必要だったAsobicaにおいては、雛型を自由に入手できる点はとてもとても役立ちました。法令改正にあわせて随時更新してくれる点もGood。

法務メンバーリソースの妥当性について

①法務メンバーはどのくらいのタイミングで選任を採用すればよいのか、②法務機能が立ち上がったらどのタイミングで人員を増やせばいいのか、正解がない問だと思います。
事業成長、捌く契約書の数、ファイナンス等コーポレートイベントとかに左右されますが、個人的な肌感としては、①はPMFした前後(従業員20~30人フェーズ)に立ち上げの専任メンバーを採用し、②はグロースがしっかり乗って事業も組織も急拡大した時期(従業員でいう150人くらいまで。)に2人目を採用するというイメージです。
そこからは、150人増えるごとに1名ずつ増やす肌感です。グロースすると、コーポレートイベントも多岐に渡り、ひとつひとつの案件が重い戦略法務対応が増えると思います。その一方で、臨床法務や、契約書の捌きの物量も増えるので、ある程度、法務メンバーの拡充を図る必要があります。
なので、だいたい組織150人に1名の法務メンバーという割合が目線かと思います。(それを超えると、法務メンバーのタスクがパンクする可能性が高いので、120人前後で採用活動進めるイメージがよいかと。)

番外編コラム:契約書の法務レビューに関する法務部とフロントサイドのコミュニケーション-イケてる会社のモデルケース

本筋からズレますが、契約法務においては、法務部フロントサイドとのコミュニケーションをどの範囲でとればいいか、という論点があります。
案件のclosingフェーズに入り、いざ契約書を締結しようとする際、フロント部門が相手方のフロント部門と契約書の内容について、調整を図ります。
ところが、契約書の内容は法律に沿った文章であり、ひとつの表現に大きな意味があったりするので、実際の文言の調整は法務部のチェックが入ることが大半です。(これは大企業、スタートアップ関係なく、いずれにおいても共通ですね。)
この際の社内法務チェックは、会社のカルチャーによって、以下の2パターンにわけられると思います。

①フロントサイドが契約書の内容、文言に無関心で、契約書調整は法務の仕事と割り切り、ビジネスジャッジを考慮することなく横流しで法務部に依頼する。
②フロントサイドがある程度契約書の内容、文言を理解し、ビジネスジャッジを踏まえて相手方と調整のうえ、社内法務に依頼する。

若干バイアスかかる表現にしていますが、イケてる会社は②のケースが多い印象です。というのも、フロントサイドの調整レベルがしっかり高いので、社内外におけるコミュニケーションコストを削減できて、受注までのリードタイムも結果的に短くて済む=全体最適に向けた動きができているんですよね。
ここでお伝えしたいこととしては、フロントサイドがすべての利用規約の法律表現を理解する必要はありません。ただ、closingに至るまでの提案ストーリー、調整を踏まえた内容がどのように契約書の文言に記載されているか、最後までチェイスすることはフロントサイドの責任管掌だと思います。
法務部は一般的な法務リスクの観点、および提案ストーリーを踏まえた交渉内容について、専門的な法律文言を記載する責任という棲み分けがあるべきです。
(あと、実際にclosing作業を数回やるとわかるのですが、調整が入る箇所って実は3~4箇所の決まった条文になるよね、みたいな肌感が掴めてくるので、フロントサイドにおける調整ってそこまでハードル高いものじゃないんですよね。)
Asobicaも会社としての中長期的なレベルをあげるために、②の方向でフロントサイド、法務グループが連携して鋭意体制構築中です。

さいごに

以上、法務機能の立ち上げについてつらつら書いてきました。
今後の展望として、Asobicaではより事業がグロースして、組織も大きくなり、きっと将来的に新規事業展開、資金調達、IPO、M&A、海外展開…etc等といったイベントも発生していくと思います。(まだ具体的な予定はありませんが。)
予防法務、臨床法務の機能はもちろん、戦略法務の重要性も増してきて、より刺激的、かつ貴重な経験が積める環境です。繰り返しにはなりますが、このような会社の成長を支えてくれる2人目の法務メンバーを募集しています!
改めてAsobicaの環境はまとめますと、以下のとおりとなります。

①HubbleやLergal Force等のSaaSツールを積極的に利用し、本質的な業務にリソースを充当するカルチャー
②顧問弁護士や顧問弁理士と契約しており、専門的な壁打ちが可能
③相互尊重のカルチャーが浸透しており、他部署との良好なコミュニケーションがとれる環境

上記の採用エントリーでも、あるいはXへの直接DM等でも構いませんので、ご興味ある方はぜひご連絡いただけると嬉しいです。
ご応募お待ちしています!

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