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コンビニスイーツ

コンビニに愛想は必要ない、なんていう人もいるけれど。

今日仕事帰りに、いつものコンビニに寄ったら、「研修中」という札を提げた男の子が過剰なくらい丁寧に、熱心に接客してくれたものだから、一週間で疲れ切った心も、なんだか少し綻ぶような感じがした。

君の熱心さは、一人の社会人(おっさん)の心を少し暖かくしたよ。がんばれ青年、君の未来に幸あれと。そんな言葉を送りたくなった。


コンビニと愛想で思い出すのは、学生時代、横浜で最初の部屋に住んでいた時に毎日のように通っていた、コンビニの店員スガヤさん。相鉄線の和田町駅を降りて左に曲がり、短い商店街を抜けて正面、国道16号線を挟んだ交差点の向かい側にあったスリーエフ。

スガヤさんは年が一つか二つ上くらいの男性で、アルバイト帰りの深夜帯にほとんど毎回見かけていた。今はトラブル回避のためかな、名札を提げることが少なくなったけど、当時は名札があるのが普通のことだったし、すっかり名前を覚えてしまった。

とにかく愛想がなくて、いつも抑揚のない声で無表情でレジ打ちしてくれていた。べつにそれが嫌だったわけではないのだけれど。

ただ一度だけ、鬼のように忙しかったアルバイトの帰りに寄ったそのコンビニで、うきうきとした声で、少し笑顔まで見せながらレジ打ちしてくれるスガヤさんを見たんだ。不愛想な姿をずっと見てきたものだから、スガヤさん何かいいことあったのかなって、なんだかこちらまでうれしくなったことを、よく覚えてる。

もう一度そんな姿を見れるかもしれない、とか少し期待しながら、しばらく通い続けたけれど、笑顔のスガヤさんを見かけることはもうなかった。そっちが普通なんだけれど。あの夜は疲れ果てていたから、幻でも見せられていたのだろうか…などと思ったものだ。

それから自分はアルバイトを辞め、引っ越しもしたから、スリーエフからは足が遠のいてしまった。スリーエフ自体もいったん閉店を挟んで「ローソン・スリーエフ」にリニューアルしていたし、数年後深夜に寄った時には、スガヤさんの姿はなかった。

まあ、多分大学を卒業したんだよね。自分は大学院に進学したタイミングで見かけなくなったから、年上に見えて案外、同い年だったのかもしれない。

スガヤさん元気にしてますか。あの日のスガヤさんの姿は、今でも自分の心に残っています。社会人になった今なら、一緒にお酒を酌み交わせそうな、そんな気さえする。


ところでスリーエフのオリジナルブランドのスイーツにもちぽにょというお菓子があって、これがなかなかお気に入りだったのだけれど。スリーエフが「ローソン・スリーエフ」になってオリジナルブランドがどうなったのかわからないし、そもそも茨城にはスリーエフが存在しないので、自分には確かめようがない。

もちぽにょ、今もあるんでしょうか。

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