心中デイト 女王蜂様



『今夜、2人で永遠になろうよ。』

私の隣の最愛が最低な選択を口に出す
震えた手で私の手を握る
『一緒に生きたい』じゃなくて逝きたい
ときたか、本当に弱くて可哀想な男の子
仕方ないね、2人でやめちゃおっか。





ねえ、〇〇、私って実は君ほど絶望してないし
君と違って気まぐれにパフェを食べに行く友達はいるし、親は私を殴らないし世界は優しいって口に出して言えるんだ。
それでもこの、熱を帯びていく気持ちは何だろう
〇〇が私に最後のデイトを提案してる。
それが逃げだとしても、"たまたま"私だったとして
だとしてそれがなんだろうか。
噛み砕いたマイスリーをセブンのソーダで流し込む君の陶器よりも透き通った肌の、その温度を私で終わらせてくれるの?
こんなのプロポーズみたいなものだ。
現世で満たされないなら、私が〇〇と地獄に落ちるのははっぴいえんどではないか。

『ねえ、キスをしようよ
あっちじゃ出来る保証はないし』
『ごめんなさい、僕で、ごめんね
ごめんなさい』
道連れに選んだくせに今更謝るとか本当に最後の最後まで自分の保身に必死な〇〇が可愛くて
可笑しくて
もうずっと、もしかしたらおかしくて
手を伸ばした先に私がいて
連れてってくれるのがディズニーランド
じゃないのは少し残念だけれど

『地獄でスキップも悪くない!
さあ、終わらせようよ!愛してる』

胸に一輪百合の花を挿して
大好きな〇〇の唇に小鳥みたいなキスをして
人生最後のカーテンコールが始まる
永遠でいようね、〇〇。

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