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溶けていく思い出も体温も


『失くして ただ切なくて
追い求めたのは 幻』

君がいない日常に蓋をしたくて街を歩く
『綺麗な思い出ばかりではないけど
2人で過ごした日々は〜』みたいに恋の終わりを
粛々と語れる人はいれど
私のそれは、まだ痛く。脆い
これは手に入れた体温を失った女の子のお話

『美味しい?』
モグモグとよく食べる私を彼は
ニコニコ笑いながら見つめる
私の一口は大きい、よく食べよく眠る
私を彼は不思議なもので可愛い可愛いと
撫でてくれたものだ
可愛い内装の小さな街のハンバーグ屋さん
前を通り『あの席に座ったなあ』と感傷に 
浸るのは少しキモイだろうか?
もう歩き出した君と
まだ思い出を思い出と言えず綺麗に
消化できない私
あれだけ大きなハンバーグも幸せの轍に
いれば愛せるし、胃もたれだってしないのに
今はもう 食べれないだろうなって思う。

試着したら可愛い可愛いと褒めてくれ
そのままなんでもない日に買ってくれた
服屋さんも
『来年も一緒に、この先も!』と誓った
大晦日の神社の明かりも
2人、なんの飾りもない装いで寒い寒い
と言いながら歩いたあの川縁も
何もかもなかったことになるのかな。

懐かしい君の声を聞いた
ネット越しで歌う君の顔は綻んで
輝いて、たくさんの人に愛されていて。

私は運命じゃ無かったし君の体温には
なれなかったんだなと思い知らせれる
『            』たった4文字
この空白を埋める別れの言葉は唐突だったし
『これからも関わっていけたら!』なんて
残酷でセンスがないなあと思うよ。
ありったけの愛で私を満たした割に
離れてく時は事務的で
そこに体温は無かった。私を満たした
あの君の触れば少しゴツゴツしてるけど
愛おしい、抱きしめたら抱きしめ返して
くれる最愛だった君の体温はもう戻らない。

『戻れないなら、私から消えてよ』

思い出も街の景観も装いも私を殺す
前に進みたい私 過去に縋りたい私
どうしようもない馬鹿な女の恋心にきっと
終わりなんてない。
君が最愛だった時の写真フォルダはそのまま
私の隣で眠ってくれたこと
私の隣で笑ってくれたこと
私が最愛でこれからを、口約束でも誓ってくれた事
誓いの指輪も、素敵な台詞もいらないから
ずっと隣にいて欲しかった
それだけが、私なりの、私の。私だけの
君で埋まらない体温を他の男で埋めてみる
比べてしまうことを許して
君の体温を思い出し眠る夜を
泣く夜を気持ち悪いと一笑しないで
ふと、代わりの体温の部屋にある花瓶を
見つめる。
飾られていた花はハルジオン
花言葉は追想の愛

笑えないな。と思った。






追記

私は新社会人さんの君の体温が1番好き
これ私が高校生の頃からある曲なん
やばくない?私もう29歳だよ、死。
相変わらず自己満足の自慰小説だけど
誰かの目に止まれば嬉しいです🎌

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