「機動武闘伝Gガンダム」

※『電撃TV&ビデオ攻略ガイド』(2001年1月5日発行)より再録

放送日時●1994年4月1日~1995年3月31日
毎週金曜日17時~17時30分、全49話
放送局●テレビ朝日系列

■作品解説 ガンダムファイト・レディゴー!
富野由悠季による宇宙世紀(UC)の世界観を離れ、未来世紀(FC)という時間軸の中で描かれた全く新しいガンダム・シリーズ。
4年に1度、コロニーの主導権を賭けて、各国代表のガンダムファイター達が各々のガンダムに搭乗、地球をリングにガンダムファイトと呼ばれる格闘戦を繰り広げる。『機動戦士Vガンダム』の後継番組とは到底信じられないこのブッ飛んだ設定は当時のファンの度肝を抜いた。

●見どころ 俺のこの手が真っ赤に燃える!
ネオジャパンの代表ドモン・カッシュはシャイニングガンダムを駆って第13回大会で激闘を続ける。しかし、大会の裏では不滅のDG細胞を持つデビルガンダムを巡る陰謀が渦巻いていた。
この、正直普通のストーリーに転機が訪れるのが第12話「その名は東方不敗!マスター・アジア見参」。ドモンの武術の師匠が登場、素手で巨大なメカをブチ抜き、師弟によるド派手な必殺技、超級覇王電影弾で敵を一掃。これを契機に『Gガンダム』は目覚ましい変貌を遂げる。ドモンは熱血ヒーローに、各国ガンダムはますます個性豊かに、ガンダムファイトはひたすら熱く面白く。拳を交えることで深まるドモンと仲間の熱い友情。更に16話からは濃くて怪しい謎の覆面ファイター、ネオドイツのゲルマン忍者(何じゃ、そりゃ)シュバルツ・ブルーダーが登場する。
ギアナ高地の特訓で明鏡止水の境地を会得したドモンは真のスーパーモードを発動。ドモンとマスターガンダム、デビルガンダムの激突を描く23話、新型機ゴッドガンダム登場の24話は、今川流ダイナミズムとロマンチシズム溢れる傑作だ。

●見どころ 見よ!東方は赤く燃えている!!
そして始まる決勝大会。新必殺技、爆熱ゴッドフィンガーの問答無用のカッコよさ! 敵味方に別れながらもドモンに最終奥義、石破天驚拳を伝授するマスター。決勝戦を前に立ち塞がる強敵シュバルツの必殺技のモノ凄さ。東方流の技といい、これはもうマジと笑いが紙一重の今川流の芸の世界。シュバルツを倒したドモンが知る意外な真実。そしてマスターとの最終決戦。勝敗が決した時、ドモンは初めて師匠の真の心を知る。ドモンの腕の中で共に東方流の名乗りを叫び、息を引き取るマスター。この44話「シュバルツ散る!ドモン涙の必殺拳」と45話「さらば師匠!マスター・アジア暁に死す」の2本は熱い血のたぎりと涙なくしては見られない最高のクライマックス。監督自ら絵コンテに「Gガンダム完」と書き込んでしまった位力のこもった傑作回だ。

●見どころ 石破!ラ~ブラブ天驚拳!
再生したデビルガンダムの生体ユニットとして取り込まれたレイン。最終形態に進化したデビルガンダムの中で心を閉ざすレインにドモンは初めて愛の叫びをぶつける。ドモンの胸に飛び込むレイン。二人の最終拳がデビルガンダムに炸裂するシーンのスゴさは見るしかない。最終回の見本のように見事な完結を見せる49話。かつてこれほどテンション高く愛に満ちて感動的な最終回があったろうか。『Gガンダム』は「キング・オブ・ハート」の演出家今川泰宏の真骨頂であり、最高の賛辞としての娯楽作なのだ。

▲周辺情報
ガンダムヘッドさえあれば何でもありの設定で各国ガンダム(以下G)は極めてユニークな物に。シーマンなマーメイドG、釣り鐘状のマンダラG、風車のネーデルG。極め付けはまんまセーラー○ーンなノーベルG。コミック版ではセ○ムンスーパーに進化した。各国コロニーもお国柄丸出しでバカばっか(ホメ言葉)の世界観を彩った。
東方不敗は今川監督が愛する香港映画から。愛馬風雲再起も、デビルガンダム四天王の名も同様。それにしても決勝大会で「東西南北中央不敗、スーパーアジア宣言」をするマスターって?
『Gガン』ファンならCD「新香港的武闘戯曲」は必聴。ドラマがスゴイぞ。また田中公平入魂の本編挿入歌「勝利者達の挽歌」はファンの間で「嗚呼ガンダム」の愛称で親しまれている名曲だ。

※初出:電撃ムックシリーズ『電撃TV&ビデオ攻略ガイド』メディアワークス発行(2001年1月5日)、構成・編集=島谷光弘
※内容は執筆当時のものです。

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