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SLAM DUNKを鑑賞して、たぎった話  ※ネタバレなし

映画『THE FIRST SLAM DUNK』を鑑賞してきた。
※ネタバレはなく、思ったこと書いています。

中高とスラムダンクの影響でバスケを始めた自分としては、
絶対見たい作品であった。

一言で言うと
最高に面白かった!

ネタバレしない程度に熱い気持ちをこのnoteに書いてみた。

何度も何度もスラムダンクは読み返してきた。
何度も何度も本当に何回読んだかわからないくらいに。

今回の映画『THE FIRST SLAM DUNK』も結末や結果はわかっていた。
何度も漫画で見たシーンや、キャラクターの動きが本当にバスケになっていた。普段からBリーグやNBAを見ている自分にとって、違和感のない滑らかなプレイだった。漫画では止まっていた動きも本当に純粋にプレーをしていた。

そして、なぜか結末をわかっているのに、何度も漫画で読んだのにどうしてこうも感動するのだろうか。
わかっている結末に何か違った要素を付け加えると面白みが増えることに感動を覚えた。
何度も読んでいるのだが、本当に初めて見る映画として楽しむことができた。

また、12/16に販売された「THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE」を読んで、
0→1の前にも物語があるということも知ることができ、
井上先生が映画の物語をずっと温めていたことも印象的だった。

話は変わるのだが、
前出した通り、僕は中高バスケットボールをやってきた。
真面目にやっていたし、高校では弱小だがキャプテンを務めていた。
僕にとってカッコイイスポーツはバスケットボールだった。
軟派な理由だが音楽と密接に関係していたし、ファッションとも親和性が高かった。
DUNK SHOOTという雑誌には、NBAプレイヤーの私服コーナーがあった。2004年当時、ほとんどの選手がBboyスタイルだったが、当時の僕としては非常に刺激的だった。

アレン・アイバーソン

そしてスポーツとして何より自由に感じた。
その象徴がAND1 MIX TAPE だった。みんなでプロフェッサーの真似したり、ダンクはできないけど中学のみんなでスキルを磨いた。それなりに厳しい練習もあったが、ゲーム形式の練習では自由を感じることができた。
僕にとってバスケットボールは他のスポーツよりも自由でアグレッシブで創造的なスポーツだった。


憧れたクリス・ウェバー

そして僕が高校を卒業する年に、SLAM  DUNK の作者、井上雄彦先生が「SLAM DUNK 奨学金」制度を立ち上げた。最初はこれを聞いた時は何だろうと思いながら見ていたが、僕の年のNO.1プレイヤーだった並里成選手が、この奨学金を利用して、アメリカへ渡った。

当時は何も思わなかった。
バスケの上手い人がアメリカで勝負をしてくるものだろうと、ただただ思っていた。
だが、サイトには下記のように書かれている。

スラムダンク奨学金は、『スラムダンク』の作者である井上雄彦の
「この作品をここまで愛してくれた読者とバスケットボールというスポーツに、何かの形で恩返しがしたい」
という志から始まりました。
高校を卒業後、大学あるいはプロを目指し
アメリカで競技を続ける意志と能力を持ちながら、
経済的その他の理由でその夢をかなえられない若い選手を支援することで
その目的を果たそうと設立されました。
奨学金の原資は、『スラムダンク』の印税の一部と、
有限会社アイティープランニング、株式会社 集英社の拠出金で成り立っています。

スラムダンク奨学金

その当時は、この志を読んだ時、「へぇ〜そうなんだ、井上先生も太っ腹だな」ぐらいにしか思っていなかったが、大人になった僕は、今違った視点で考えることができようになってきた。
かれこれこの奨学金制度が始まって15年。コロナ禍で中断はしたが、数多くのプレイヤーがアメリカに渡って行った。
本当にこの制度のおかげで、日本と世界の差が徐々に縮まってきたと思う。

そして今現在、2人の日本人NBAプレイヤーがいる。八村塁選手と渡邊雄太選手だ。
世界中でも限られた人しか入れない世界に2人の日本人プレイヤーがいる。
本当に僕が学生時代の頃からしたら考えられないこだ。直接この奨学金の制度を利用したわけではないが、大きく日本のバスケットボールに貢献していると思っている。

最近の渡邉選手は、毎試合泣けるようなプレイをしている。
もちろん本人たちの努力や才能でNBAのコートに立っていると思うが、
少なからず「SLAM DUNK」という漫画が少しは寄与したんじゃないのかなと思っている。というか多大なる貢献をしたのは間違いない。バスケットボールの裾野を広げてくれたと思っている。

日本における漫画のパワーはものすごいと個人的には思っており、その最たる例がサッカー漫画だ。日本におけるサッカーは面白く、日本にJリーグが出来て30年だが、ヨーロッパや南米ではサッカーの文化が100年以上も積み重なって出来上がってきた。
日本はまだまだそういう意味では歴史が浅く、サッカー新興国なのかもしれない。


でも、その土壌にはキャプ翼があり、個人的に好きなホイッスルがあり、ジャイアントキリングがあり、フットボールネーションなど、最近ではブルーロックやアオアシなどのサッカー漫画があると心の中で思っている。
日本サッカーは、今回のW杯でドイツやスペインに勝ったように、トップの国から勝利をもぎ取ってきた。30年で強烈な成長だ。
(確かジャイキリで達海監督が言ってたような・・・)

そう思うと日本は漫画やアニメというコンテンツの力によって、サッカーは強く成長していったのではないだろうか。

どうしてもプレイヤーに目が行きがちだが、特にクリエイティブによってもスポーツへの貢献に寄与してくれていると思っている。
日本の場合は漫画であったりアニメがスポーツの裾野を広げて、興味を持った少年少女たちがそのスポーツを体験してみる。僕の場合はバスケットボールの入り口を「SLAM DUNK」が作ってくれた。

ファンタジスタというサッカー漫画だと、主人公がACミランに行ってプレイしてたけど、その後本田圭佑選手が本当にACミランにいった。小学校の頃、中田英寿がペルージャで点を決めたらトップニュースだったけど、今のサッカー選手は点を決めてもトップニュースにならない。ヨーロッパで活躍するのが当たり前になったのだなと日本のサッカーのレベルがどんどん上がっているのだと普段のニュースからも見ていると思う部分がある。
バスケでも僕ら世代の当たり前を普通に若者が壊してくれている。今の子供たちにとって、日本人のNBAプレイヤーがいることが当たり前になると思っている。

今回『THE FIRST SLAMDUNK』を鑑賞して、何だか熱くなった。
観終わった後、言葉では伝えられない高揚感があった。漫画で読んでいた世界に新たなエッセンスが加わるだけで、止まっていた「SLAM DUNK」がまた動き始めた気がした。僕の中で違った側面を見せただけで、キャラクターへの想像が広がっていった。
サッカーでもバスケでもそうだが、裾野を広げてくれる幅広いコンテンツがある。選手も観戦し応援する側も記者もこのコンテンツの力によって徐々に成長していくんだろうなと。
私には井上先生のように奨学金の制度を作る経済力もないが、応援する側として何かしら選手やクリエイターや従事している方に貢献できればと思っている。少しでも何かに貢献することが誰かの喜びに繋がったり、笑顔になったりするのが僕にとって最高に嬉しいことだから。
そんなことを思いながら今の仕事をしている。
人が喜ぶことに、僕も喜びを感じる。娘や妻が喜ぶ姿は僕にとっての生きる糧だ。少しでも多くの人に喜びを提供できることができれば、映画とはプロセスは違えどこの気持ちが誰かに共感してもらえればと思って書いてみた。

井上雄彦先生の「THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE」のあとがきに書かれていたように。

・・・・・

最初のオープニングで、大好きな The Birth day の曲が流れた瞬間、非常に燃え上がった。最初から興奮しっぱなしで、映画が終わったら、ものすごく手のひらに汗をかいていた。


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