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不要不急の近況報告

4月末の緊急事態宣言以来のリモートワークが一部解除されて、久しぶりに仕事先に行って、仲間に会えました。
77日ぶりです。

リモートワークが続いているので仕事先に行くことがなく電車にも乗ることもろくにありませんでした(一度宝塚に行ったのを思い出しました)。話をするのは母と猫と近所のおばさんとおじさんとその家の少年と犬だけ。敬語も忘れそうでした。

仕事先に着いて、軽く挨拶して、レターケースにたまっていた書類を整理する。それだけなのに「元気ないでしょ」といわれました。わかるのがすごい。ごまかす気力もなくて、なんで分かるんですか?と訊くと、「目を見て、声をきいたらすぐわかるわ」と笑われました。

マスクしてるし、大したことは話してないのに、声から感情を測り、目の表情から思考をたどって、存在を受けとめてくれる。わかってもらえるのってこんなにも楽なんだと思いました。


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6月になったある日、家の中で熱中症にかかって、体力と気力が戻らないと思っているうちに、ダメ人間になりました。

以来、LINEの未読件数、1500通。

未読が千通を超えると〔+999〕と表示されるのを初めて知りました。

仕事の連絡には対応していますが、友だちのLINEとメール、ツイート、このnoteは、友だちだからこそ、大事なことをいつも書いてきたツールだからこそ、どんな言葉で何を何と書けばいいか分からなくなって、そのうち元気になったら書けるかもと思っているうちに全く書けなくなりました。

LINEは既読スルーをするのが申し訳ないし、元気になったらきっと言葉が浮かんできて何か書けると思うから元気になったらねと心の中で思って今日は開けられず。明日はと思いながら、全く一向に元気にならないので全く開けられません。

つもりつもって千通超えた時、もう2度とLINEは開けられない気がしました。千通もの重みをとても受けとめられないから、わたしのことなど忘れてくださいと思いました。


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こぼれそうでこぼれないしずくが心象の暗喩のように感じて
こんな写真ばっかり撮りためてました


言葉は使わないと使えなくなります。
今まで書いたツイートを見てもこれを書いたのが自分とはとても思えない。なんにも言えなくなります。でもなにか渦巻いているのでなにか言いたいんだけどなんと言えばいいのかわからなくて苦しいのです。

あまりのLINE未読ぶりに、関東に住んでいる幼馴染みの友だちは自宅まで電話をかけてきてくれました。電話を取った母に「あやさんはご病気ですか」とあせって訊いてきたらしく、母が「は!?どういうことよ!?」とびっくりしておりました。かえって申し訳ないことをしました。その子は病院での仕事を終えて夜遅く帰る途中だから長くは電話はできなかったけれど、久しぶりにその友だちの声を聴きました。あぁやっぱり疲れてるんじゃないかなと気になる。声は大量の情報を与えてくれます。なのに電話をかけてくれてありがとう。


で、冒頭に書いた話。

わたしの仕事先のリモートワークがやっと一部解除されて、LINE未読1500通のひとりにやっと会えました。
未読を謝ると、「生きててくれてよかった」と言ってくれました。
「既読スルーでもいいから見て」と言われました。
そうなんだ。そうなんだ。そうなんだ。

わたしがふらふらしながら書類を整理している様子を見てくれること。
声をききわけてわたしの気持ちを想像して
目の表情や目線から私の思考の文脈をたどって
しんどさを察知してくれること。
言葉にならない想いを感覚で受けとめる「言語外コミュニケーション」の力ってほんとうにすごいと思いました。

「しんどいんでしょ」と言われ、どうしてこうなったのかわからなくて説明できなくてしんどくて、その「しんどい」という4文字の言葉さえ書けなかったので、しんどいんだとわかってよかったです。

だからってすぐ元気になれるわけではなくて、昨日も仕事が終わった後に寄り道してNHKに行ったものの、ベンチに座り込んだまま立ち上がれなくてへにゃっとなっていたので、まだ元気じゃないかもしれません。
まだしんどい。
でも、ひとに会えて嬉しかったんです。
ひとはありがたいなあと思いました。


自分が伝えることについて、別に自分が生きてようがへにゃへにゃになってようがそんなことは「不要不急」の近況報告だと思っていたけれど、どうもそうじゃないらしいと気付きました。
きれいな言葉に比べたら不要不急に感じる「しんどい」の方が大事なのかもしれない。
不要不急っていやなことばで、思考を縛られてしまいます。

こうして書けていることに自分でびっくりします。
ほんとに無だったから。


今こうして書けているのは、
ひとに会えたのがうれしかったのと。
あふれる気持ちを声に乗せて届けてくださった歌に励まされたからです。

伝えるって伝えた相手にすごい力を与えるんだと思いました。
頭で考える以上に、体感しました。
すごいですね、ひとの声って。

なにをいまさら当たり前なことを言っているのかしらと謎の女につっこまれそうな、ただただそれだけのことなんです。
けれど、ひとのありがたさ、声の力、伝える力が心に沁みたので、ここに書いておきます。

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お花がきれいだと思えるからきっと大丈夫です


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