「今夜も月がきれいですね」「はて、今夜は新月ですが…。ははあ、なるほど、さてはあなた、キノコを召し上がりましたね?」

好きな元アイドルやTwitter(xという呼称にちっとも慣れない)でよく見る小説家の方が定期更新しているのを見ていたので、長らくnoteには憧れがあったものの、自作小説とか評論とか絵とか、いわゆるクリエイター系の文章を書く機会がなく登録せずに人生を過ごしていた。しかしこのたび無事に登録の理由が見つかったので、はじめることにした。

ずばり趣味の話。
唐突なタイミングで、急速にハマって抜け出せなくなっている、キノコホテルについて書こうと思う。

現時点(2023年9月)でハマってから1か月経過したけど熱が冷める気配がなく、当面この状態が続きそうなのでそれはそれでハッピーではあるのだけど、いったいなんでこんなことになったのか、いまだに自分でもわけがわからなくて、ちょっと心を持て余しているところがある。

お酒飲みつつ誰かに話せば感情を整理できそうな気もするけれど、かといって、リアルの知り合いに話を聞いてもらうのはなんか申し訳ないし(そちら方面での熱い推し活をしている友人が周囲にいないのでひたすら気を遣わせてしまいそう)、Twitterで少しずつ言葉にして熱意を消費させる方向に向けるのも今回はなんかちょっともったいない気がするし、もしかしたら似たような状況に心当たりのあるかもしれない優しい先達の皆様(=先輩胞子)と交流する機会が万が一持てたとしても、好きなものの話題になると熱が上がりすぎてしまう(たいてい聞き手に引かれる)私には、求められるコミュ力&敷居が高すぎてうまく伝えられそうにないし…という思いがあり、ならばできるときにできる範囲で、自分の感情を文章にしていこうと思った。

もともと二次元大好きオタクなので、これまでもいろんなものに心を奪われてきたのだけど、今回は熱意の方向性が今までのとちょっと違い、そのせいか推しに求めるものも違うので、記録したいとも思った。

かれこれ十年くらい前に批評の勉強をしていたこともあり、なんとなく、そういう生態?状態?というのが、心理学とか生物学とかの論理にあてはめるとどういう意味を持つのか、みたいな視点での推論とか評価までできたら面白い文章にできるんだろうなーとは思うのだけど、体力的にも時間的にもたぶんそこまではできなさそうなので、そこはちょっと残念な気持ちもある。

でもこの気持ち自体いつ消えるかわからず(なんせ突然湧いてきた感情だからいつ消えてもおかしくない)、これが消えてしまえば、そもそも文章にすることすらできなくなってしまうので、とりあえず速記的に記録したいと思う。だからオチがない話が続くと思うし、そういうのが苦手な方はごめんなさい。noteなら、そういうふわっとした話を受け入れてくれる方も多いんじゃないか、と勝手に思ってもいるけれど。


ということで、はじまりの話。
きっかけは8月の、サロン・ド・キノコ女の館に参加したこと。
たまたま東京に用事のある日に開催されるお知らせを見て、生演奏聞いてみたかったし行ってみよう、という軽いノリで、着の身着のまま1人で参加したら、支配人と臨時従業員(バンドメンバー)のみなさんのきらびやかさと演奏の凄みに圧倒されて、あっという間に終わってしまったのだった。

生で聞いた、私あなたの悪夢になりたかったの、のフレーズと支配人の表情は、一生忘れないと思う。緑の浴衣とパンダの帯留めも…。
そしてこれだけゆるがない美学とビジュアル、演奏がめちゃめちゃかっこいいことが両立しているバンドは他では絶対見られないと心底思った。

同時に、このバンドの本気度、そしてかける労力の大きさが察せられて、歌ってくれてありがとう、とこちらが頭を下げたい気持ちにもなった。

エンターテイメントのプロに対して、ただの素人である自分が書くのもおこがましいのだけど、一応、支配人と同じ性別ではあるので、時が過ぎ、加齢やホルモンバランスその他でどんどん体の状態が変わっていく中、ミニスカや網タイツをはじめとする素敵な衣装を、人前でかっこよく着こなし続けることがいかに大変かは、ほんの一部だけど想像はできる。(一般人ですら体形維持するの大変なのに、いわんやプロをや…)

そこに加えて、本来業務である「かっこいい演奏・ライブ」をするための技術やセンス、腕利きのバンドメンバー集めなどの準備がさらにいるわけで。(しかもバンドメンバーも全員、上記の「美」の基準を満たせる人でないといけない…)

これを実現するには、魂を削るレベルの本気度が必要だし、実際にものすごい準備と労力がかかると思う。
でもそういったことは微塵も感じさせず、見事な演奏をして颯爽と去っていく姿を見て、支配人もバンドメンバーも本当にすごいし、心からありがとうございました、と伝えたくなった。
ものすごく腕のいい熟練の職人が最高級の刃でカッティングしたダイヤモンドを、一流の加工職人のみなさんが目の前で加工してくれた上、「持って帰っていいよ」と、そのオリジナルのブローチをぽんっと放り投げてもらえたような気持ち。

(ちなみに実演会の中で、支配人がカメラタイムを設けてくれたときに、胞子のみなさんが「ありがとうございました!」と声をかけていらっしゃいましたが、あれは訓練とか教育とか、いわゆるコールみたいなその場のノリではなく、自然にそういう気持ちがあふれて声になっているのかも、と個人的には感じました。人それぞれとは思いますが。)

さらに、次回以降の実演会は、なんというか自分なりにおしゃれをして行こう、とも思った。目立ちたいとか認知されたいとかの自意識を満たすためではなく、これだけすごいものを準備して見せてくれる大切な存在に会う空間に身を置くのだから、せめて「このバンドの客、なんかださいな」と他の人に思われないレベルの、ちゃんとした服を着ていこう、という感情になったのが理由。
本当に美しいものを見せてくれる支配人やキノコホテルが誤解されないような見た目で、これからも演奏を聞きにいきたいな、と思った。
いままで生きてきた中で、こういう気持ちになったことがなかったので、自分としてはとても新鮮。



帰宅してから、8月の実演会の音源に一番近いテイストな気がした、10周年記念ライブ盤をサブスクで聞き始めたら、そのまま止まらなくなってしまった。
1週間後、6月の営業再開時の1曲目が「有閑スキャンドール」だったというライブレポートを読んで、どんな曲なのかなと思ってサブスクで聞いたら、これまたかっこよくてやられてしまった。2曲目以降の振れ幅の広さに、こんなの作られたら一生聞き続けるしかないのでは、と頭を抱えた(でも口元はにやにやがとまらない)。

(ただのオタクトークですが、営業再開の1曲目でこの曲を演奏するの、超絶かっこいいと思う。冒頭から高音に飛ぶメロディライン、明けない夜を笑い飛ばそうとか、あなたのため、という歌詞とか…。営業再開という状況をふまえた上で、この曲の持つキレ味が最強に出る曲順という気がして、センス抜群!と思った。6月、現地で聞いてたらたぶん魂を持っていかれていた。くわばらくわばら。)

そのまま3週間が経過して、9月、つまり現在。
キノコホテルと支配人ソロ名義の、サブスク配信されている楽曲を延々聞いていて、全然飽きが来なくて辞め時がない日々を送っている。
本当に、食べても食べてもなくならないのはなぜ?状態。

そもそも大人になってからは、アルバム収録曲のうち好きな曲だけつまみ食い的に聞くのが基本だった(そういう聞き方しかできなかった)のだけど、キノコホテルは、全曲通しでアルバムまるごと聞き返すことが圧倒的に多い。

そんな感じで、おはようと目覚めた瞬間からおやすみと意識が落ちる瞬間まで、脳内でなにがしかの楽曲が流れており、ある意味イヤホンもいらない状態が続いている。(でもなんだかんだ結局原曲が聞きたくなってきてまた聞き返す、のエンドレスループ。)

こういう状態になったのは、勉強の合間にいろいろ聞いてた中学生のころ以来なので、随分懐かしい感覚。
そのせいなのかどうなのか、最近、換気扇とかエアコンのファンとかの雑音が、たまに和音に聞こえるようにもなった。(日常生活に支障はないので放っておいています。なんか不意打ちで聞こえると楽しいし。)


ずいぶんと長くなりましたが、ひとまずキノコホテルとのなれそめ?話でした。
今日も変わらずキノコがおいしい、今夜もきっと月がきれい。


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