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ちょっとした期待で投げ掛けたつもりがずっと消えないシルエットを焼き付け返されてしまった、マリアンヌ東雲性誕祭2023の話

2023年12月17日のマリアンヌ東雲性誕祭、遊びに行ってきた。キノコホテルを追い始めたのが2023年9月からなので初参加。先輩胞子の方と知り合ったのも12月からで、尋ねる機会を逸したのと、せっかくだから予備知識なしで参加してみたいという思いから、リクエストカヴァーとは?シャンパンタワーって何??という状態で見てきた。

性誕祭本編の感想はもちろんだけど、その前後にあった楽しい出来事と、何より、初めて応募したリクエストカヴァーで今年たまたま採用された「Silhouette」(Night Tempo feat.土岐麻子)のこと、リクエストした理由やキノコホテル版カバーを聞いたときの感想をどうしても書き留めておきたくて、こちらにまとめておこうと思う。


ざっくり言うと、リクエストが採用され、キノコホテルによる実演が見られて単純にうれしかったというだけではなく、そこから垣間見えるマリアンヌ東雲という方のものづくりの姿勢と真摯さにあらためて惚れ直してしまい、さらには性誕祭前には思いもよらなかった、リクエストカヴァーの素敵な醍醐味を享受することになったので、いろんな意味で、人生で忘れられない実演会になった、という話。
Xでもさんざんつぶやいているけれど、キノコホテル総支配人と従業員のみなさまには感謝しかない。本当に末永く応援したい気持ちでいっぱい。これからも音楽を作り続けてほしいなと思っている。

最後にも書くけれど、FC会員の方には、聞いてみたいという曲が1曲でもあるなら、その曲だけでもいいから、(もし来年以降も続くなら)リクエストカヴァーに応募することをおすすめしたいなと、勝手に思っている。
採用されるかどうかは別だし、応募しなくてももちろん楽しめるイベントなのだけど、応募した人にしか味わえない楽しさや感動があると、実際にやってみて感じた。FC会員でこの楽しみを知らないのはちょっともったいないかも、とも思う。




1.性誕祭前のあれこれ(アクスタ遊びの話)

開演前は銀座へ。行きつけの喫茶店がイベントのため臨時休業だったので、銀座三越のアートアクアリウムに行き、暗がりでごそごそしながらこっそりマリアンヌ様アクスタで写真を撮ってみたり、そのあとはウィンドウショッピングしてみたり。

12月の銀座は特にきらきらしていて、アクスタ遊びにぴったりのきれいな風景がたくさんあって、冬休み期間中ならば浮足立っている人が多いので、推し活グッズを持ち歩く大人がいても、ささっと取り出しささっとしまえば、たぶんさほど目立たないのではないかと思った。

せっかくなので、こんな感じで遊んでいましたという写真も載せてみる。ここで使わないともう載せるタイミングがなさそうなので…。

きらきらしてた銀座駅の壁にて
いろんな色彩が入っている背景もお似合いかなと思ってぱしゃり
たまたま撮れた金魚とネオンな水草とのツーショット。色味が好き
身体に侵食する青い照明と黒い背景も良いのではと思ってぱしゃり




2.性誕祭 第一部(の前のあれこれ、セットリスト、第一部の感想)

夕方、ホテルに荷物を置いてから、新宿へ。

キノコホテルに限らず、普段からツアーグッズ的なものは身につけないタイプなのだけど(他のファンの方々のようにいまいちうまく着こなせないので)、今日だけは年に1度のお祭りだしと言い訳して、性誕祭の長袖Tシャツを着た。

ライダースジャケットなどのロックな格好が悲しくなるほど似合わない顔のつくりと体形なのと、今回はなんとなく青系統の、とにかく毒々しくポップな(それでいて中二病的な痛々しさがない)スカートを着たかったので、新商品のチェキファイルみたいな水色に黒ドットの、長めスカートをあわせてみた。
(いまにして思えば、初対面の方にはじめましてのご挨拶をするにはかなり奇抜な色使いで、もしかしたらぎょっとさせたかもしれないという気もしてきた。普段の実演会ではもう少し落ち着いた(?)格好で参加していますので何卒。)


性誕祭Tシャツを着てみて感じたけど、誰が見ても胞子の人だというのがまるわかりなので、写真撮影タイムの時に、パートタイム従業員の方やゲストの方が視線を向けてくれやすいなと思った。写真をがっつり撮りたい場合は、公式Tシャツ着用の方がいいのかもしれない。

年に一度のお誕生日を祝うお祭り、全国から胞子のみなさまが参加されるということで、X(旧Twitter)でとてもお世話になっている遠方胞子の方と開演前にはじめましてのご挨拶ができたり、入場チケットがその方とたまたま連番で、冷え切った新宿ロフト前で入場順を待ったり、その方を通じてさらに別の胞子の方にはじめましてのご挨拶ができたりと、開演前からすでにいろいろ楽しくて、テンションが上がる一方だった。

こっそり持参したマリアンヌ様あてのお誕生日のプレゼント、どうやって渡せばいいんだろうと思っていたら、お世話になっている先輩胞子の方がグッズ購入の際に物販受付で手渡しされているのをたまたま見かけて追随。
一般入場(Cからはじまる番号)でもカレンダーをはじめ、新グッズが購入できてよかったなと思った。



そして迎えた本編。終わってすぐには感想がでないくらいの楽しさと衝撃があったのだけど、なにはともあれ、まずはキノコホテル公式様があげていたセットリストを。

公式様のポストより。何度見ても良いセトリ

15分押しではじまった第一部。
トー横の母的なSEにくすっとした後、「キネマパラノイア」(開幕から最新アルバムの曲で、”ほらね 始まったわよ”という歌詞なのが、ワンマンらしさがあってとても良いなと思った)、「アケイロ」と「愛はゲバゲバ」(この2つだけでnoteに長文を書いてしまったくらい個人的に入れ込んでいる2曲)で徐々に盛り上がったところで、実演会では初めて聞く「東京百怪」の眩さと「雪待エレジィ」の渋さにぐっときて、「ばら・ばら」から「もえつきたいの」までの破竹の勢いがとにかく楽しかった。現在のキノコホテルを一気に楽しめるセットリストだなと思った。

第二部開演までの間は総支配人のお着換えタイム。その時間にパートタイム従業員のみなさんのトークがあり、普段聞けない馴れ初め話(なんでキノコホテルで演奏することになったのか)や、従業員のみなさまの間に流れている空気感のようなものが伝わってきたのが、ファンとして見ていて楽しかった。第一部の激しいドラムの後でも、明るく軽快に話を回していくバーバラさんが素敵だった。過去にはあったのかもしれないけれど、2023年から追いかけ始めたので、従業員のみなさまのみのトークを見ること自体がはじめてで、新鮮だった。

3.第二部の話(「ろくでなし」から「真夜中のドア」まで)

そして第二部のリクエストカヴァーへ。
「ろくでなし」はかろうじて知っていたけれど、それ以降の曲は不勉強のために原曲を知らないまま拝聴。それでもどの曲もとても格好良くて、「乙女の美学」や「堕天使ロック」はキノコホテルにとても合う!と思った。

マリアンヌ様のMCが入って、次の「真夜中のドア」へ。
この曲は他の方のカバー版を何度か聞いたことがあったので耳馴染みがあり、やっぱり良い曲だなーと思いながら、そのまま演奏に圧倒されて一気に没入して聞いてしまった。
普段のキノコホテルやマリアンヌ様ソロでは聞けない、どちらかというとかわいらしくピュアな歌声で、マリアンヌ様、こんな歌い方もできるのかー、すごく良い!というシンプルな驚きと満足があった。もちろん演奏もとても良くて、Xでのポストを見ている限り、ベストの演奏に挙げていらっしゃる方も複数お見掛けした。

そしてその後、「Silhouette」へ。
リクエストした曲のためどうしても感想が長くなるから、章を分けて書く。



4.第二部の「Silhouette」の話

リクエストを聞いた時の感想、リクエストした理由をどうしても先に書きたいからその順で並べているけれど、実を言えば、リクエストカヴァーという企画の隠れた魅力と、そこから垣間見える総支配人の真骨頂について触れているのは一番最後の「その3.」だったりするので、時間がない方はそこだけでも読んでもらえたらうれしい。


その1 イントロを聞いた時の衝撃と、総支配人の心意気に胸打たれてしまった話

「最近の曲で」「キノコ史上、最もおしゃれ」という短いMCの後、マリアンヌ様が確かめるように、1音だけ、最初の音を鍵盤で弾き、うんと小さく頷かれたのを見て、その時点で、リクエストしたあの曲の最初の音と、音色も音程も一緒だなとは思ったのだけど、「いやでも、まさかね~」と思っていたら、そのままものすごく聞き覚えのあるイントロがはじまり、



「……えええまじか!!??演奏してくれるの!!!???」


と、口に手を当てながらも、つい声に出して言ってしまった。
(お近くにいた方にはご迷惑をかけたと反省しています、びっくりしすぎてしばらく自分をおさえきれず…。すみませんでした。)


普段のキノコホテルの実演会、マリアンヌ様をメインで見ているのはもちろんだけど、パートタイム従業員のみなさまの演奏や表情を見るのもとても好きで、合間を見てはちょこちょこ視線を動かすようにしている。
でも、今回の「Silhouette」に関しては、最初から最後まで、マリアンヌ様しか見る余裕がなかった。文字通り、釘付け。

何度も聞いたあのシンセサイザーの音を、伸びやかなメロディを、推しが鍵盤を弾きながら歌っているという、現実離れした光景。

本当に、夢のようにきれいだった。すごく心地よかったので体を動かしながら聞いていたけど、頭の中は曲の半ばまでぼーっとしてしまい、細かな部分はすぐに思い出せないくらいの衝撃で、気が付いたら曲の終わりに差し掛かっていた。
「ああ、もうすぐ終わっちゃうんだなあ」と思いながら、前に立つお客さんのすき間から、最後のフレーズを力強く弾く指先と、シャラララ…と歌う姿をずっと見ていた。歌い終わりに斜め下に伏せた横顔と頬にかかった黒髪は、きっとずっと忘れないと思った。

キノコホテルが好きな方のうち、ネット発の音楽ジャンル「フューチャー・ファンク」という、こういった系統の音楽に親しまれる方が果たして会場にどのくらいいらっしゃるのか、つまりはみんな楽しめる曲調なのだろうか、というのをリクエストした側として、曲がはじまってから少し心配する気持ちにもなったのだけど、はじめは様子見していた方も、次第にリズムにのっていくのを見て、大丈夫だったみたい、さすがキノコホテルとそのお客さま、と、余計なお世話すぎると思いつつもちょっと胸をなでおろしたりもした。


演奏について正直に言えば、「真夜中のドア」がものすごく完成されていて鮮烈だったこともあり、もしかしたらまだ伸びしろはあるのかもと、感じたところもあったような気はする。
(サイン会でリクエストのお礼を伝えた時、マリアンヌ様が一瞬ふっと微笑んだ理由は、このあたりにあるんじゃないかと勝手に邪推しているけれど、全然違う理由かもしれない。真相はわからない。)


ただ、それでも、キノコホテルカバー版はかなり原曲に忠実で、これぞキノコホテル!と誰もが思う遊びやアレンジはあえて施さずに、今のキノコホテルと総支配人の姿を率直に見せてくれるような演奏をしてくれた気がして、リクエストに込めた「今のキノコホテルで、今までにないおしゃれでポップな曲を聞いてみたい」という期待(初メールで勝手がわからず、勇気が出なかったので、本文では文章にしていない)を真正面から受け止め、直球ど真ん中ストレートで返してくれた総支配人の心意気に、完全にノックアウトされてしまった。
その度胸と潔さ、何より見せてくれた演奏が美しくも恰好良すぎて、ぐぅの音もでないです総支配人、と思った。
(もっとも、全然別の理由でたまたまアレンジしなかったというような、ただの総合的なご判断だっただけかもしれないけれど。やっぱり真相はわからない。)

その2.リクエストの理由と「Silhouette」という曲に関する個人的な思い入れの話

秋ごろ、FC会員向けのリクエスト募集の告知を見て、せっかくの機会だから応募してみようと思い、どの曲にしようかなと考えた時に、キノコホテルのルーツにあたる昭和歌謡や60~70年代ロック、年代がずれていてもキノコホテルがカバーしたら絶対魅力的な曲(採用された曲で言えば「乙女の美学」のようなテイストの曲)に関しては、たぶんすごくリクエストが集まるだろうな、と思った。

そもそもそれらのジャンルにさらっとしか触れてきていない私がいきなり思いつくはずもなく(不勉強ですみません)、どうせならまったく違う、最近のジャンルの曲で探してみようとも思った。

もともとジャンルにとらわれず、さまざまな音を操る抜群のセンスをお持ちの総支配人なら、どんな曲でも今のキノコホテルの演奏にして返してくれるだろうし、採用されてもされなくても、その先の、今後のキノコホテルがより面白くなりそうな方向に自分の賽は投げてみたいという、とても自分勝手な期待の気持ちがあった。却下されてもそれはそれでよし、というかむしろそれが前提という精神。


これいいなと思った曲はたいてい暗く、とてもじゃないけれどお誕生日のライブで歌ってもらうタイプのものではなかったりした中で、キノコホテルのチルアウト曲があったらいいのになと思っていたこと(想像がつかないからこそ、あったら面白いのになと考えていた)、マリアンヌ様ソロの「mitsugetsu」の雰囲気が好きなのでそんな感じもいいのでは、と考えながら過去のインタビュー記事を読んでいたら、「私がオバさんになっても」を性誕祭でカバーしたことがある、という記述を発見。

なるほどこういうポップな曲も場合によってはありなのか、というのを手掛かりに、自分の好きなジャンルからたまたま見つけたのがNight Tempo feat.土岐麻子の「Silhouette」だった。

おしゃれできらきらしつつもゆったりしていて大人っぽく、新宿という都会で開催されるお誕生日パーティで流れても良さそうな曲の雰囲気、歌詞に出てくるネオンライトな東京の夜景、ソウルの街は韓流ドラマがお好きなマリアンヌ様に、戻らない恋人をひとり思う灯火のようなさみしさの描き方はキノコホテルに合うのではと思ったこと、何より、今のキノコホテル(特にジャネットさんのギター。実はひっそりとTenbin Oの音も好き)と総支配人なら、とても素敵な演奏をしてくれるんじゃないか、と思った。

Night Tempoは「ザ・昭和グルーヴ」というシリーズで昭和歌謡のリミックスも手掛けているので、キノコホテルのルーツと年代は少し違うものの、近からずとも遠からずとも思った。(ちなみに「真夜中のドア」も2021年にリミックスされていて、そちらも個人的にとても好み。)
なお、他の2曲は、キノコホテルの曲では絶対に口にしない言葉を歌う総支配人が見てみたいというちょっと邪な好奇心と、ラップなキノコホテルと総支配人も恰好良いのでは、という気持ちで選曲。きっとどちらの思惑もお見通しだったと思うけれど。


リクエストメールを送った後、実は心身ともに疲れ果ててまともにキノコホテルの曲が聞けなくなった時期が少しだけあり、その時に気分転換がてら、真夜中の薄暗いリビングで、クッションに身をうずめつつ天井を見ながらこの曲をひたすら流して、もし歌ってくださるならどんな感じになるのかな、というようなことを考えていた。
原曲に忠実なカバーも聞いてみたいし、プレイガール大魔境の「風景」みたく、途中でテンポアップがはさまったり、いっそ「カモミール」みたいに転調したりしても面白そうだし、などなど。思考するだけならいつだって自由。

実はその当時のつらい記憶が結びついてしまい、しばらくこの歌を聞けずにいた時期があったのだけど、性誕祭で聞いて、あらためて良い曲だなと思って、ライブが終わって宿泊先に戻り、ひとりで聞いていたら、うるっときてしまったりもした。気持ちの整理はついたと思っていたけど、できていなかった部分があったみたい。数年後に見たら赤面ものだろうけど、せっかくなのでその際のつぶやきも埋め込んでおく。あらためて自分の中で整理をつけられたのも性誕祭で採用してもらえたおかげなので、ありがたい限り。


その3.リクエストカヴァーというサービスの醍醐味を知ってあたふたした後日談

感想の途中ではあるけれど、いったん先に終演後の話をする。

アンコールが終わり、徐々にお客さんが動き始める中、なんとなく余韻で立ち尽くしてしまい、新宿LOFTの幕が下がりきる最後の最後まで、お辞儀の姿勢のまま微動だにしない総支配人のとがったヒールに敬意を払いながら目にも焼き付けつつ、物販で記念にチェキを買ってから、女性胞子のみなさまとサイン会の列に並んだ。

せっかくなのでお礼を直接言いたいなと思ってサイン会でお話ししたところ、話の流れで、この曲をリクエストしたのは私1人だったと聞き、そうだったのかー、まあそれもそうか、と、その場ではなんとなく納得。
受け取ったリクエストメールは1つ1つ、ご自分で丁寧に確認されているのだなというのを感じて、音楽やお客さまに対するひたむきさと真摯さに、あらためて頭が下がる思いだった。


結局、性誕祭当日の余韻で夜はほぼ眠れず、翌日は朝イチでどうしても外せない用事があったため、始発の新幹線で弾丸帰省。寝たら九州まで行ってしまう便だったので、もうどきどき。とても寒い日で、道中、ふと窓を見たら一面雪景色だったのは良い思い出。

帰宅後に用事をすませて仮眠して、そのまま数日たってからもなんだかふわふわのままで感想がまとまらず、やっぱりまた「Silhouette」が聞きたくなってきて、ふと再生してみたら。

冒頭から、あの日のマリアンヌ様の姿とそれを見ていた時の情景が浮かんできて、そのまま消えないことに気づいてしまった。
特に曲の始まりと終わり。電気オルガンを奏でていた、あの日のあの姿が、どきどきしながら見ていたあの時の感情が、焼き付いてしまって離れない。

なまじ思い入れのある原曲で、忠実なカバー演奏だったことに加えて、おそらくあの日、あの会場で、あの曲が始まった時の驚きと嬉しさと終わっていくのが惜しいと感じた気持ちを、リクエストした客として感じられたのは私だけだったんじゃないかという事実がようやくずっしりと現実味を帯びてきて、だからなおのこと、原曲とあの日の光景が結びついて、消えなくなってしまった。


たぶんこの先一生、この曲を聞くたびに何度でも、あの時の新宿LOFTを、黒いヘアバンドと肩を覆う黒い羽根のショール、大きめスパンコールできらきらワンピースな総支配人を思い出してしまう、ということに遅まきながら気づいた。


と、同時に、ああ、なんてことだろうとも思った。
ちょっとした期待で投げ掛けて、お誕生日をお祝いする楽しさや実演が見られたうれしさとともにさらりと消えるだろうと思っていたのに、どうやら総支配人は、あの日のご自身とキノコホテルという唯一無二のシルエットを、「Silhouette」という曲自体に、一生消えないように全力で焼き付けて、投げ返してくれたのか、と思った。

つまり、「Silhouette」という曲をリクエストしたら、永遠に消えないあの日の美しいシルエットを逆に、総支配人から焼き付け返されてしまったという、因果応報にして、とてもよくできた話。
その日限りのレアな曲目が見れるのみならず、リクエストした曲そのものにまで、忘れられなくなるほどの大切な記憶をさらにプラスしてくれるサービスがリクエストカヴァーという企画に隠れているなんて、夢にも思っていなかった。

もしかしてこうなることまで考えて、「Silhouette」という名を持つこの曲を採用したのだろうか。(そうだとしたらもう、一枚二枚どころか数十枚は上手すぎて、本当にお手上げである。)

それに気づいた瞬間、そもそもFC会員とはいえ私のような音楽の素人からのものも含めて、リクエストを1つ1つ確認して吟味し、咀嚼し、バンド演奏の形にし、一般のお客さまが当日も、帰宅した後も楽しめるものにするという途方もない労力のかけ方にようやく想像が至り、あらためてものすごいものを見せられてしまったと、終わって数日してから実感がわいてきて、本当にいまさらだけど、ものすごく恐縮してしまった。
チケット代も、FC会員費も、その他もろもろグッズも買ったりはしているけれど、なんだか、それ以上のものをいただきすぎてしまったような気がした。(当日に気づいていたらサイン会で直接お話もできたのにと思うけれど、そんな余裕があるはずもない。)

だからあらためて、末永く応援しようと思った。


誰かにリクエスト曲を送るのも初めてで、参加するのも初めてだった性誕祭。ライブそのものはもちろんだけど、ライブ後も続く、なんとも粋で、極上のサービスを受けられるのが、FC会員限定で行われるリクエストカヴァー企画の、隠れた醍醐味なんだと思った。
だから、FC会員の方は気が向いたらリクエストしてみてほしいと思う。採用されなくてもリクエストに参加したというだけで楽しみが増すし、運よく採用されたなら、さらにもっと楽しいと思うので。

5.第二部の話(スーパーカー~真赤な太陽)、シャンパンタワー、アンコール

話を戻して、第二部の続き。

思い入れが深すぎた「Silhouette」のあとは、「スーパーカー」のイントロ好きだなと思ったり、「JESUS」で初めて見たゲスト2人の姿と美声に戸惑いつつ、「何してんだよ」と突っ込みながらも心底楽しそうに笑うマリアンヌ様の表情が素敵だなと思ったり、「瑠璃色の地球」の美しさにわあっとなったり、最後の「真赤な太陽」の格好良さにものすごく盛り上がったりした。

シャンパンタワー開始前の総支配人お着換えタイムのもりしげさん、「スーパーカー」のカバーが聞けてうれしかったなーと、心の底から楽しそうに話されていたのが印象に残っている。

そしてシャンパンタワー。実物を見るのも、実際にシャンパンタワーでのお祝いに出席するのも初めて。観客席側でやると思っていなかったので、こんな感じなのか、と思った。
下戸なのでお酒を無駄にするのが申し訳ないという気持ちから、一般入場チケットで参加したため、もっぱら写真撮影に専念していたけど、それはそれでとても楽しかったので、もしかしたら来年以降もそうするかもしれない。(車の方とかもいる気がするので、FC会員向けにソフトドリンクな乾杯チケットも出してくれたらうれしいなーと、ひっそり願う夜。)
個人的には、さっとステージ側に退避されたパートタイム従業員のみなさまが、カメラを向けたら乾杯ポーズをとってくれたことがうれしかった。

その後、総支配人からのきちんとしたお礼の言葉と、3/3にジュリエッタ霧島さんが1日限りで復帰されることなどのお知らせがなされて、アンコールへ。「真っ赤なゼリー」も「キノコホテル唱歌」も、本当に楽しかった。

サイン会後は先輩胞子の方にお誘いいただいて、軽く夕飯へ。やっぱりみなさま素敵な方で、それぞれにキノコホテルやマリアンヌ様の好きなポイントが違うので、話していてとても楽しかった。



6.おしまい

長すぎて自分でもどうかと思うけど、ひとまずマリアンヌ東雲性誕祭2023の感想でした。演奏はもとより総支配人のいろんな表情が見られて楽しかったのはもちろん、いろんな意味で忘れないライブになってしまった。何より、一番書きたかった「Silhouette」のことをなんとか形にできたので、今夜はゆっくり眠れそう。性誕祭、来年も行けたらいいな。


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