かける言葉がない

少し前の話だが、夫に犬を押し付けられてクサクサしていた。散歩でもめんどくさいし可愛いとか子犬だから特別な時とか全く、、
そんな時いつも散歩の時に出会うおばさんと老犬のシーちゃん。
唯一と言っていいほど会話をして犬同士挨拶をしていた。
あちらは老犬でぶるぶるしていてお互いの匂いを嗅ぐ。それだけ。飼い主同士はその老犬のしーちゃんを多分家族の中でこのおばさんだけが散歩してる。暑い日も寒い日も雨の日も嵐の日も。。
カッパを着て、カートから電信柱ごとだきおろしておしっこをさせる。
介護、、
介護は誰か決まった人がする。
しーちゃんの面倒はきっとこのおばさんだけがしてたんだ、
優しくて、コミュ障で好きではないのに犬を飼ってる私にも優しかった。「旦那さん面白いねぇ、、」たまーにしか散歩しない夫とも話したことがある希少な存在。
犬が一歳くらいの頃、そのおばさんが小さな骨壷を持ってた。
「亡くなったの、、しーちゃん。」
そう言われて、わたしは生まれて初めてかける言葉が見つからなかった。
1日に何度も、雨の日も風の日も嵐の日もしーちゃんをおしっこさせるために散歩に出てた。
私に、愛犬家とはかくいうもの、と思い知らせてくれた人。
わたしは、
「苦しまなかったですか?」
そう言った。
「ずっと介護してたんだけど、その時は眠るみたいに、、」
胸が押しつぶされそうだった。
おしっこがでない、外に連れ出していつもおしっこしてた電柱を巡ってた、、
なんて、愛、
だから電信柱ごとカートからおろして、、
そんな辛い中でこんな私と会話をしてくれてた。
去勢って?歯磨きって?
しーちゃんは去勢や歯石除去など元気なのに犬の生死に関わる全身麻酔はしない派で 天寿を全うした。
今よくある犬ドックなどやんなきゃひとでなしか?と思ってた私。
考えさせられた。
犬のことって、犬は自分がこうしたいとか言えず飼い主の考え方によるものが全てだ。
この犬は、私の考え方次第なのだ。
今、そこで四肢投げ出してラグの上で眠ってる。
お腹が呼吸で上下していることに最近とても安心を覚える。
もしかしてこれが、愛なのか?
と、思う。




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