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マスメディア衰亡時代のメディア戦略

観光地としての知名度を上げるためにはメディア戦略、特にマスメディアに取り上げてもらうことが大変重要でした。
かつて、石川県金沢市が観光地として認知されるようになった契機として、金沢を訪れた著名人(TV・ラジオ・新聞・週刊誌で発信する立場の人)を見付けては厚遇して、金沢の魅力に触れていただき、各々発信の場で話題としてもらう戦術が成功したことにありました。このような立場にある人たちは話のネタを渇望していますから、「先日、金沢に行きましたら、地元の老舗○○〇に連れていかれて、そこの料理が京都とは違う品のある上質のもので、東京ではあまり知られていませんが、金細工の器に盛られた日本海の幸は素晴らしいものばかりでした・・・」のように各所語ってもらった結果、一気に認知度が高まったそうです。

そんなマスメディアの凋落は、栄枯盛衰の法則通りに突き進み、新聞の発行部数は減り続け、NHK紅白歌合戦も史上最低視聴率を記録するなど、影響力の低下基調は今後も続きそうな状態にあります。では、Webでの発信か?といえば、多様化が進み過ぎ受け手が細分化されていますので、どこかの動画チャンネルで紹介されれば大ブレークという構図は期待できそうにありません。

一方、外国人観光客にとっては昔ながらの観光名所が新鮮なので、オーバーツーリズムの弊害が目立つまでに殺到しています。カニの脚を焼いて1本3千円くらいで中国人観光客に売り付けている関西の観光地もあるようですが、昔懐かしい観光地(ぼったくり)商法が息を吹き返していることは、観光文化の健全な進化の観点からは望ましいことではありません。互いの国の優れた文物に触れて相互に敬意を抱き、良い点はまねて生活質の向上を世界規模で実現することが、観光行動に期待される「可能性」なのですが、ぼったくり商売は・・・わが国だけの現象ではないにせよ、感心したものではありません。

さて、後発の観光地にとって、マスメディアを通じた一発逆転劇が難しいとなれば、ニッチな市場を確実に押さえていく道しかありません。しかし、遠く離れた大都会に無名状態でアクセスする戦術は難度が高いため、近場の地方都市を攻略目標にすることが現実的です。
歴史ある祭礼のある地域が、JRの駅で広域的にポスターを有料で貼っているのに、自動車で30分圏にある隣県の地方都市でのPRを全くと言って良い程にやっていないというケースもありますので、「観光客=遠くに住む人」という思い込みを直す必要があります。ちょっと離れた所に居るこれまでに行き来のない人々を狙う・・・大勢集まっているということが、知名度向上の初歩なので、近距離観光客の拡大に取り組む意義を検討いただきたいと思います。

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