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観光といっても旅行という行動の危険性

この度の震災被害に遭われた皆様には心よりお見舞いを申し上げます。容易なことではないかもしれませんが、1日も早く復興に至ることを祈念いたします。

古代において囚人の拷問に使われた道具「3本の杭」をラテン語で「トリパリウム」と言い、これが転じて苦難を象徴する言葉に変化して、中世には「苦労」を表す「トラベイル」となり、後にトラベルになって今日に至るのだそうです。旅行には苦難に出会うリスクが付き物。

現代の観光旅行でトラブルに見舞われることは皆無ではないまでも、多くの場合、珍しい話に入ると言えましょう。でも、こうした大災害に遭遇することも実際に起きてしまいます。

とある市役所の危機管理担当幹部が、自治体は市民サービスを行うことが優先なので、災害時に観光客の世話は出来ない、と言っていました。日頃は観光客を歓迎すると言いつつ、災害時には後回し。ひどい話とも思えますが、地元自治体は職員自身も被災者になっている確率が高いので、削られたマンパワーを振り向ける先は住民を優先する他ない、とも言えます。

非常時に自分のことは自身で何とかする覚悟がなければ、生活拠点を離れることが出来ないという現実は、残念ながら否定できません。大災害に遭遇すれば、途端に一種の難民になってしまいます。被災地は戦場にも等しい状態に化してしまうのですから、離脱こそ最優先。被災した現地住民の生活リソースを奪わない配慮は献身的な行動とさえ言えましょう。

しかし、交通手段が一気に壊滅したらどうするのか。動けるならば、避難所に行って緊急ボランティアになり、外部からの支援者と接触しやすいポジションに身を置くことで、帰りの移動手段に出会える可能性が高まります。災害時に観光客を送り返す算段をしている観光協会の話を聞いたことがないので、お持て成しの範疇にこうしたことは含まれないと覚悟して、交通手段の脆弱な場所には気軽に旅行しない方が安全です。

なお、聞いた話ですが、避難所が開設されると地域外からホームレスが集まって来て、被災者のふりをして配給品をゲットするばかりか、居心地の良い場所を占領してしまうのだとか。避難所が定まったら早く行って日当たりの良い場所を確保することもサバイバル戦略上大事なことのようです。

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