新月に焦がれて
月の脰を見上げていた
真円の輝く金青の夜に
太陽と私から顔を背ける
その後ろ姿に恋をした
月の頬骨を見上げていた
半円の佇む呉須色の夜に
彼方を見やる瞳に私の姿はなく
その冷淡な横顔に恋をした
月の頤を見上げていた
弓形の光が残る青藍の夜に
憂いを帯びた眼中に私はいるのか
その流し目に恋をした
何も見えない空を見上げていた
新月に沈む濡羽色の夜に
見えなくとも目は合っているのだろうか
そう願って恋を続けよう
夜ばかり見上げている
貴女に恋をした日から
痛々しいと自嘲に酔っても
目だけは貴女を探している
そして貴女に背を向ける
一月後にまた会いましょう
そして貴女は背を向ける
焦がれる私の気も知らないで
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